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【特集】ゲームブックはオワコンなのか―「ドルアーガの塔」を電子書籍化した幻想迷宮書店が語る今と未来

注目度が高まる“幻想迷宮書店”に直撃し、これまでとこれからに迫るインタビューを敢行。記事をゲームブック風にしてお届けします。

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──現在ゲームブックが置かれている状況に、“幻想迷宮書店”はどのような姿勢で今後向き合っていかれるのでしょうか。

酒井氏:多くの方は“オワコン”と捉えているコンテンツですが、一部の方は熱意を持ち、また可能性があると捉えているジャンルだと思っています。というのも、“幻想迷宮書店”を立ち上げて2~3ヶ月ですが、「新作を書いたので見てもらえませんか」という問い合わせがすでに来ているんですよ。

──そうなんですか!

酒井氏:もちろん、既に書いた作品があって、こういうブランドが現れたので持ち込んでみた・・・という形だとは思うんですが、すでに2人がいらっしゃいました。これは大きな数です。ゲームブックを一冊書き上げるといのは、本当に大変なことですから。少なくとも私には出来ません(笑)。だから編集をやっているわけで。

──2ヶ月で2人というのは、ゲームブックの現状を考えると、かなり多いように感じます。

酒井氏:中身も、かなり作り込まれていていましたしね。販売という形に持っていくとなると、文章レベルなどの問題もありますので、そのまま商品化とはなかなかいきませんが、一番大切なのは作り手側の熱意ですから、まだまだ広がりがある世界だと感じました。

──その受け皿があるというのも、嬉しい話ですよね。“幻想迷宮書店”が今はそのひとつとなりましたし。

酒井氏:小説もそうですけど、書きたいと思った時に一人で書けて、それを手軽に持ち込めるのは嬉しい点だと思うんですよね。これがコンピューターゲームとなると、一人で作るのは大変ですし、制作期間も段違いですから。

──ゲームの場合、企画段階では見てもらう機会はまずないですし、完成形に持っていくのはかなりの時間と労力が必要となりますからね。それをどうにかしようと思えば、今度は人手が必要になり、規模が大きくなりがちになりますし。

酒井氏:ですよね。

──ゲームであると同時に本である、というのが、ゲームブックが持つ強みのひとつなんですね。

酒井氏:今後ウチが、復刊ではない新作を良好なペースで出していければ、更にいい流れが生まれてくるんだと思います。(創土社では)14年間で数冊ですからね、新作は。

──「魔人竜生誕」と「夢幻の双刃」ですね。

酒井氏:せめて1年に1作くらい新作をお届けできるペースであれば、「ゲームブックと言えば“幻想迷宮書店”」になるのかなと。当面の目標はそこですね。

──では、新作が年1、既刊の復刻を月1が、まず目指すペースなんですね。

酒井氏:(復刊の方が)どんどん出てきている状況なんですよね、今は。著者さんが見つかれば大体OKと言ってくれますし、原稿があがってこないというリスクもありませんから(笑)。例えば、すでに著者の方にOKをいただいており、6~7月辺りに発売を予定しているもので、鳥井加南子先生の「悪夢の妖怪村」「悪夢のマンダラ郷」「悪夢の幽霊都市」
の刊行を予定しています。

──江戸川乱歩賞を受賞した方ですよね。

酒井氏:あとは、創土社でリリースする予定だったものの発行することができなかった、「パンタクル2」や「ティーンズ・パンタクル」、「スーパー・ブラックオニキス」なども是非やっていこうかなと考えています。

──鈴木直人先生の作品が続々と登場するわけですね。そうなるとつい、鈴木先生の新作も読みたいなと思ってしまいますが。

酒井氏:それは・・・難しいですねぇ(笑)。「ぜひパンタクル3を!」と再三お願いしているんですが、「もう忘れた」の一点張りで(笑)。

──なるほど(笑)。ではやはり、ゲームブックを取り巻く空気を変えていくことが大事なんですね。

酒井氏:はい、そうですね。新作が展開していくことで、現役のゲームブックファンのみならず、新規の方へのアピールにも繋がっていくと思いますし。爆発的に売れるとは考えていないので、長く続けてくこと、刊行ペースをなるべく守ること、このふたつを大事にしながら進んでいこうと思います。

──活動を続けていくことで“幻想迷宮書店”を知る方が増え、そして購入を検討する母数が増えていく、と。

酒井氏:この流れが大きくなっていくと、余所の出版社さんも乗り出してくると思うんですよ。それが僕の最終目標地点ですね。どこもかしこも、とはならないでしょうけども、リリースする側が10倍くらいに増えていくと予想しています。

──ゲームブックというジャンルの“復刊”を目指されているわけですね。

酒井氏:10年後に10倍になって欲しいですね。もう少し大手が積極的に参入してくれたらなぁ(笑)。

──そこも、今後期待したい面のひとつですね(笑)。それでは最後の質問となりますが、“幻想迷宮書店”の展開に期待しているゲームブックファンの方々に向けて、メッセージをお願いします。

酒井氏:(創土社時代のように)シリーズもの3作を出すのに数年かかる、といったことはなく、やると決めたシリーズはなるべく早くリリースしていきますので、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。

──これはちょっと変な質問になりますが、“幻想迷宮書店”でのゲームブックのリリースは、少なくとも酒井さんが引退されるまではずっと続けていきたい、という姿勢でしょうか?

酒井氏:はい。自分のライフワークになるといいな、そうしたいなと考えて臨んでいます。電子書籍という今の形であれば、ゲームブックはビジネスモデルとして成立するものだと思っていますので。

──それを、自らの行動で証明しているわけですね。

酒井氏:(“幻想迷宮書店”を見て)余所の出版社さんが「ゲームブック、いけるんだ」と判断したら、それが自分にとってのゴールです。

──10年後の10倍を目指し、ライフワークとして築いていく酒井さんの姿を、今後も注目させていただきます。本日はありがとうございました!

おめでとう、「インタビューを読む」という冒険はこれで終わった! 君の帰りを待ちわびている人々のところに戻るといい。もちろん、この冒険で得た情報が、彼らへの手土産だ。存分に振る舞ってくれたまえ。さあ、凱旋だ!

ここでブラウザを閉じてもいいし、敢えて「14」へ進んでもいい。

《インサイド》
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