Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―『FF7』が辿り着いたオープンワールドRPGの新境地。奥深くスタイリッシュなバトルシステムと、押し寄せる大量のミニゲーム | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―『FF7』が辿り着いたオープンワールドRPGの新境地。奥深くスタイリッシュなバトルシステムと、押し寄せる大量のミニゲーム

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Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―『FF7』が辿り着いたオープンワールドRPGの新境地。奥深くスタイリッシュなバトルシステムと、押し寄せる大量のミニゲーム
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Game*Sparkでは、全7本の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』レビューを掲載します。
いずれの記事もネタバレを含むため、閲覧の際には留意してください。



星と命を巡る物語……『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(以下、『FF7 リバース』)がついに発売されました。

一作目であるFINAL FANTASY VII REMAKE(以下、『FF7 リメイク』)の長所を引き継ぎ、圧倒的なまでのボリュームでゲーマーたちを熱狂させている本作に、筆者も80時間以上没頭してしまいました。どこまでも続く美しく広大な世界と、とんでもなく奥深いバトルに、どんどん難解になっていくシナリオと、語るべき点が山ほどある一作です。今回はそんな『FF7 リバース』を、世界観やバトル、ストーリーにミニゲームなど、あらゆる点からレビューしていきます。

オープンワールドRPGとして生まれ変わった『ファイナルファンタジー7』

本作は1997年に発売され、その後のプレイステーションの好調を決定づけた歴史的なRPGである『ファイナルファンタジー7』(以下、『FF7』)の3部作リメイク、その2作目となります。

オリジナルの『FF7』は、初代PlayStationによく見られたような一枚絵の背景の上をカクカクしたポリゴンのキャラクターが動き回る一本道のRPGでしたが、本作はPS5の性能をフルに活かし、目が覚めるほど美しいフィールドを駆け回るオープンワールド(もしくはワイドリニア)型のRPGに変貌しました。

ゆえに、本作『FF7 リバース』をプレイする上では、オリジナル版『FF7』と前作である『FF7 リメイク』のストーリーを知っておくことは必須だと筆者は考えています。確かに本作のタイトル画面で『FF7 リメイク』のダイジェストを観ることはできますが、多くのカットシーンが『FF7』と『FF7 リメイク』のシナリオの展開を前提とした作りになっているので、出来れば順番に遊んでいただければと思います。

では、レビューに入っていきましょう。

アクションRPG史上最も素晴らしいバトル/奥深くスタイリッシュで、なおかつコマンドRPGの醍醐味に溢れている

本作のバトルシステムは、はっきり言って極上、いや、完璧です! この世で売られているどのオープンワールドRPGよりもバトルが面白いと断言します。

基本的なシステムは『FF7 リメイク』同様、□ボタンの通常攻撃を繰り返してATBゲージを溜め、武器アビリティや魔法や召喚術のために消費していく作りなのですが、まずシンプルにこれだけでも完成されています。

いわゆるソウルライク系のバトルシステムと同じく、ドッジロールやガードを利用して敵の攻撃をいなし、隙を見てこちらの攻撃を当てるわけですが、ATBゲージが奥深さに一役買っています。回復しようにもゲージ、相手をスタンさせようにもゲージ、召喚獣に頼ろうにもゲージなわけで、どんなにピンチでも敵の攻撃に付き合ったり、こちらの攻撃を当てたりしないといけないわけです。このリスクリターンを考え出しただけでも100点をあげたいですね(本作からジャストガードの重要性も上がりました)。

とはいえ、ここまでは前作にもあった仕様。本作はこのシステムをさらに奥深くしております。

まずシンプルに、キャラクターのすべての行動が見直されています。飛んでいる敵にクラウドの通常攻撃を当てる方法が格段に増えた上、それらがすべて〇ボタンと□ボタンで完結しています。安易に空中攻撃を用意せず、ほぼすべての行動にホーミングを付けているのが直感的で素晴らしいです。

また、アビリティも同じ性能のものはほとんどなく、これは大ダメージ用、これは範囲攻撃用、これは属性攻撃用、これはバースト狙い(スタンと同義)用という形で、大まかな用途が決まっています。これが全キャラにあり、尚且つキャラ差までしっかり用意している……もはや格ゲーのバランス調整の域です。

そして何よりも今作の目玉は、連携アビリティ連携アクションです。これらは操作キャラクターが2人で掛け合って攻撃を繰り出すもので、正直アクションRPG史においては山ほど出てきた概念ですが、その豊富さアクションのかっこよさは特筆すべきです。

性能こそ2種類ほどしかありませんが、すべてに特殊なモーションと、カッコいいエフェクトや熱の籠もった専用台詞が付いており、バトル班の底力を感じる最高の盛り上がりポイントになっています。溜まり次第バンバン使ってください!

かつて『キングダム ハーツ』が目指したアクションとコマンドRPGの完全な融合は、ここに完成しました。(『キングダム ハーツ』と『FF7』シリーズのディレクターである)野村哲也氏の理想がついに実現したと言っても過言ではないでしょう。

変化に富んだ美しい世界……オープンワールドを見て回る楽しさが詰まっている

本作のフィールドもまた、本作が傑作たる所以のひとつです。

カームのあるグラスランドエリアという牧草地帯から始まり、湿地帯を抜けて鉱山、港町、地方都市に砂漠と、RPGで訪れがちなベタなエリアやバイオームが続きますが、ベタだからこそ、徹底して美しく描けております。密集した下生え、漁村の使われていないボロボロの網、岩山に転がる小石ひとつ取っても、リアリティと重力を感じる絵になっています。

同じアセットを繰り返し用いているような箇所は少なく、一区画ずつ丁寧にコンセプトを決めて絵作りをしているのが伝わってきます。特にカームやコスモキャニオンといった街や集落は、見て回るだけでも何時間も楽しめてしまう作り込みでした。

前作の『FF7 リメイク』は、特に終盤において、神羅ビルや魔晄炉といった無機質かつSF及び現代設定のゲームでよく見た背景が多かっただけに、今回は特に変化を感じますね。

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場面を繋ぐ大量のミニゲームの存在価値を考える

『FF7』といえばミニゲームを思い出す人という人も多いでしょう。その期待に答えるため『FF7 リバース』にも凄まじい数のミニゲームが用意されています。

コスタ・デル・ソルやゴールドソーサーといったバカンスが楽しめるエリアだけでなく、メインクエストの進行中にも突然ミニゲームは挟まり、探索・バトル・カットシーン・ミニゲームと、ゲームを飽きさせないループのひとつとして、機能はしています。

しかしながら、残念ながらその出来はまちまちです……。

ゲーム全体で繰り返し遊べる「クイーンズ・ブラッド」「ピアノ演奏」は、流石に何十回ものプレイに耐え得るほどの工夫が盛り込まれていますが、ニワトリを缶でおびき寄せる「いとしのニワトリちゃん」のクエストや、ローポリの姿になって決められた順に相手のボディを殴る「3Dバトラー」などは、単純にどこで快感を覚えたらいいのか教えて欲しいほど退屈でした。

特に、神羅屋敷でケット・シーが箱を穴に投げ入れるミニゲームは、クリアするためには必ず遊ばなくてはいけない上に、それをしなければストーリーが進まない理由もないので、本当に蛇足です。次作では、もっとミニゲームひとつひとつに魂が籠っていると信じたいですね。

また、正確にはミニゲームと呼べるか難しいですが、ワールドマップを調査して魔晄の泉や召喚獣の祠を探したりする「ワールド・レポート」なるコンテンツも、中盤からは繰り返し感を覚えました。このあたりも、次作での改良を期待します。

『FF7』を語り直すリメイク二作目、そのシナリオの出来はいかに?

『FF7 リバース』のシナリオの出来について、なるべくドラマ自体のネタバレに配慮して語っていきたいと思いますが、しかしながら、語れることが少ない……というのが本音です。

本作はオリジナル版の「忘らるる都」までを収録しているのですが、多くの謎は今後発売されるであろう3作目に託したままで、何なら『FF7 リメイク』よりもさらに風呂敷が広がってしまいました

特に13章から14章にかけての長いカットシーンは、キャラクターたちは重要な話をしているものの、具体的にどこで何が起きているかを説明してくれることはなく、こちらの読解と考察に任せる作りになっています。現状、その答え合わせをする要素が(筆者が通してプレイした限りでは)見当たらないため、ただ奇天烈な劇を見せられただけ……という印象は拭えません。もちろん、何度も何度も見返して細かい差異を見つけたり、ファン同士でじっくりと考察したりすれば、分かることもあるのでしょうが、一見して驚けるポイントも欲しいと思ってしまいました。

3作目ですべての伏線が回収され、筆者がぼんやりしていたということであればそれはそれで良いのですが、今のところはこの物語がちゃんと帰結するのかという不安だけがあります。よって、ただただ次の展開を待つばかりですが、とはいえ80時間以上もプレイをしたのだから、少しくらい持ち帰れるものがあってもいいのではないか? とも思いました。

反面、キャラクター個人に焦点を当てた小さな物語は非常に良く出来ております。特に、原作にもあったバレットやレッドXIIIのパーソナル・ストーリーは、演出や展開に肉付けがなされ、涙なしでは見られない感動の名シーンに進化しています。

感動の要因として、フェイシャル・モーションへのこだわりが挙げられます。例として、ゴールドソーサーに向かうゴンドラに乗る直前で、バレットが自身の過去を初めて仲間たちに語るシーンがあります。心の痛みを吐露する決意をした際の、諦観や悲哀が複雑に入り混じったあの顔と来たらもう……あんなにじっくりオッサンのツラを観察したのは人生で初めてかもしれません。

昨今のビデオゲームは、喋りではなく表情で感情を伝えるという、実写映画が太古の昔から行ってきた手法を忠実に真似てきた歴史があると思いますが、ついに『Detroit: Become Human』に負けずとも劣らない“顔面”が制作できたのではないでしょうか。

総評

『FF7』という偉大過ぎるIPの看板を背負いながら、スクウェア・エニックスが遥か昔から頑張ってきたアクションRPGというジャンルに完全な正解を叩き出したという意味で、本作は間違いなく歴史に残る傑作と言えるでしょう。駆け引きの醍醐味や美しき景観といった、ビデオゲームに求められているものが充分すぎるくらい詰まっています。

その反面「本当に納得行く形で終わるのだろうか?」と不安になるほど散逸していくシナリオや、粗製乱造としか思えないほど適当なミニゲームなど、大規模開発ゆえの歪みもしっかりと残ってしまっているのが残念です。これらの不安要素が3作目にどうなっているのか、とても気になるところです。

総合評価:9/10

良い点
・オープンワールド史上、最も面白いバトルシステム
・フィールドや街の作り込みと美しさ

悪い点
・雑な上に多すぎるミニゲーム
・(1本のゲームとして見ると)納得できないストーリー


《各務都心》

各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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