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形を変えて今も続く、ゲーム作りにまつわる60を過ぎた父との絆―中年ヤクザアクションADV『Fading Afternoon』【開発者インタビュー】

『The friends of Ringo Ishikawa』の開発者による最新作!発売前にインタビューさせていただきました。

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形を変えて今も続く、ゲーム作りにまつわる60を過ぎた父との絆―中年ヤクザアクションADV『Fading Afternoon』【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、『The friends of Ringo Ishikawa(以下Ringo)』で知られるyeo氏開発、PC向けに9月15日にリリース予定の中年ヤクザアクションアドベンチャー『Fading Afternoon(消えゆく真昼)』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、日本を舞台に出所して組に戻った中年ヤクザ、丸山誠二の物語を描くアクションアドベンチャー。長い獄中生活で老いて人生の岐路に立った丸山が過去の名誉のために血みどろの戦いを始めるか、あるいは心を入れ替えて平凡に生きるかはプレイヤーの選択にかかっています。日本語にも対応予定。

なお、本作の開発者は『Ringo』の開発時に、キャラクターのドット絵アーティストに巡り会えず困っていたところ、父親が名乗りを挙げゲームの完成へと漕ぎ着けられた、というエピソードでも知られています。そのエピソードについて語ったインタビューについてはこちらをご覧ください。


『Fading Afternoon』は、9月15日にリリース予定です


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

yeoこんにちは。モスクワ出身のソロ開発者、Vadim Gilyazetdinovです。yeoとしても活動しています。私が好きなゲームのトップ3は、『ファイナルファンタジー7(PS版)』『ゼノギアス』『ダウンタウン熱血物語』ですね。

――現在の開発チームの規模を教えてください。今でもお父様と一緒に開発をしているのでしょうか?

yeo現在、私は2人のアーティストと仕事をしており、音楽はロイヤリティフリーの楽曲を使用しています。背景は今回も素晴らしいArtem "Wedmak2" Belov氏に描いてもらいました(彼は唯一無二の存在で、いつかそれにふさわしい評価を得られると信じています)。アニメーションは日本人アーティストのUeda M.氏が担当しています。

Ueda M.氏とはSteamの『Ringo』フォーラムで知り合い(彼女がこの作品のファンでした)、『Ringo』の日本語翻訳者を選ぶのを手伝ってくれたり、翻訳の校正をしてくれたりしました。メールでやりとりしているうちに、彼女は文面を強調する時、面白い色を使っていることに気づいたので、彼女は実はアーティストなんじゃないかと私は思ったのです。彼女の倫吾ファンアートを見て、それは確信に変わりました。

それから、私は一緒にゲームを作ろうと彼女に提案し、JRPG『The Concrete Sutra』の開発に取りかかりました(この作品において、アニメーションも背景もすべて彼女が描きました)。その後、『Ringo』のマンガとニンテンドースイッチ向けのパッケージ版のための絵を描き、『The Concrete Sutra』のマンガも描いたのですが、上手くいかず、ゲームの開発も中止しました。それでも、彼女と一緒に新しいゲームを作ると約束しましたので、新しいプロジェクト(後に本作、『Fading Afternoon』となる)を始めるときに、彼女はリード・アニメーターとして参加してくれたのです。

父にはUeda M.氏と一緒に仕事をしてほしかったのですが、彼女のペースとクオリティに追いつくことができず、そのことを悲しみつつも、私のゲームを最高のものにしてほしいという思いから身を引いてくれました。それでも、父とは毎日ゲーム開発について話をしていますし、本作のためにメロディーを作曲してくれたり、ギターのトラックを収録してくれたりもしています。ですから、本作において父は絵を描いていないですが、まだ開発チームの中にはいるのです。

――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

yeo私はいつもアクションゲーム部分から開発を始めているので、今回もそうしました。『Ringo』では物語やメインとなるアイデアのため、アクションゲーム部分を「犠牲」にしてしまったので、今回はよりアクション寄りのゲームを作り、アクションゲームを作る自分の能力を示したいと思ったのです。

『Ringo』のアクションゲーム部分は、最終決戦で輝きを放ちました。1対2の戦いです。ゲーム本編では「レベルアップシステム」を追加するために様々な機能を削ったり、集団戦ができるように敵を増やしたりしました。しかし、『Ringo』はあの最終決戦のゲーム性でスタートしました。ですので、今回はその続きから始めることとし、『Ringo』の最終決戦のアクションをベースにしています。また、本作では3つ目のボタンをなくして、2つのボタンですべてのバトルアクションができるようにしました。本当によくやったなと自分でも思っています。理論上は、ファミコンのコントローラーでも本作は遊べますよ。

全体の構成を考えると、本作では歳をとっていく感覚を表現したいと思いました。しかし、今回はゲーム性やリプレイ性を高めるためにこのアイデアを犠牲にしてしまったので、結果には満足していません。「選択」と「メッセージ」を同時に伝えるのは難しいです。あるプレイスルーでは自分が望んでいたことを感じられましたが、別のプレイスルーではそうではありませんでした。そういう意味で、私の観点では、本作はもっと良くなる可能性があったと言えるでしょう。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?

yeo歳を取るという感覚は、昨年41歳になった私が歳を取ったことから影響を受けています。これまで私が作ったゲームでも、自分の経験から得た何かや自分が気になることをゲーム内で語ったりするよう、常に心がけてきました。

ビジュアルに関しては、福作欣二、北野武、鈴木清順、そして私の大好きな篠田正浩監督のヤクザ映画「乾いた花」など、ヤクザを題材にした素晴らしい日本映画にインスパイアされているのは明らかでしょう。本作の主人公である丸山誠二のグラフィックは、同映画で村木を演じた池部良をベースにしています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。

yeo特に印象深いものというのはありません。というのも、ゲーム開発というのはマラソンや川下りのようなもので、多かれ少なかれ安定していて、穏やかで、あまりピークがなく、長期的に楽しめるものだからです。ですので、この3年間はただゆっくりと開発を行ってきました。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

yeo大丈夫だと思います。私が一番心配しているのは、クレジットロールで流れる歌で、私はその歌のライセンスを持っていますが、YouTubeが依然として警告を送る可能性があるのです。他の曲は大丈夫でしょう。ロイヤリティフリーの曲を使うことは最大のマイナス点ですが、私にとっては今のところゲームに音楽を付ける唯一の方法なのです。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。本作も日本語には対応するのでしょうか?

yeoもちろんです!私は舞台が日本であろうとなかろうと、自分が作るゲームにはすべて日本語対応させるつもりです。なぜなら、私にとってゲームは日本語のテキストがあってこそ、初めてビデオゲームになるのです。子供の頃、日本のゲームは私にこの魔法の世界を教えてくれましたし、私の青春に彩りを与えてくれました。日本のゲームが一番好きです。

『Ringo』のおかげで、私が日本と日本文化をリスペクトしていることは日本のプレイヤーの皆さんに知っていただけたかと思います。しかし、私は外国人ですし、ヤクザについては映画や本やマンガでしか知りませんから、もちろんゲームの中で間違ったことをするかもしれません。もしそうだとしたら、どうか許していただきたいです。決して意図的なものではないのです。

そして最後に、もちろん皆さんには、本作を楽しんでいただきたいです!

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

《Chandler》
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