『溶鉄のマルフーシャ』思い入れのあるキャラや、気になる続編は?制作者hinyari9氏に直撃インタビュー【TGS2022】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

『溶鉄のマルフーシャ』思い入れのあるキャラや、気になる続編は?制作者hinyari9氏に直撃インタビュー【TGS2022】

先日家庭用機への移植が告知された『溶鉄のマルフーシャ』。開発者のhinyari9さんへインタビューを敢行しました。

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『溶鉄のマルフーシャ』思い入れのあるキャラや、気になる続編は?制作者hinyari9氏に直撃インタビュー【TGS2022】
『溶鉄のマルフーシャ』思い入れのあるキャラや、気になる続編は?制作者hinyari9氏に直撃インタビュー【TGS2022】 全 6 枚 拡大写真

2021年8月27日に発売され、そのディストピアな世界観や、魅力的なキャラクターたち。そして重く悲しいストーリーで話題を博したシューティングゲーム『溶鉄のマルフーシャ』。先日にはPLAYISMから家庭用機への移植も発表されました。

Game*Sparkは東京ゲームショウ2022にて、同作を開発したhinyari9さんへインタビューを実施。東京ゲームショウは今回が初参加という同氏に、制作過程のエピソードや『マルフーシャ』の醍醐味ともいえるその世界観、そして気になる『マルフーシャ』続編について質問を投げかけました。

◆hinyari9さんインタビュー「『溶鉄のマルフーシャ』のその後の話になるかなと

――まずは簡単な自己紹介をお願いします。

hinyari9さん:イラストレーター兼個人開発者のhinyari9と申します。よろしくお願いします。私は無機物や退廃的な世界観が好きで、そういったコンテンツを世に増やすべくイラストレーターやゲーム開発者として活動しています。

――hinyari9さんはイラストレーターとのことで、ゲーム制作経験のない状態から『溶鉄のマルフーシャ』を作られたと伺っています。FANBOXでも、手探りで作られた過程を後続のクリエイターのために公開されていますが、その中でも「最も大変だったこと」を教えてください。

hinyari9さん:厄介なことだらけではあったのですが、「最も大変だったこと」だと……私自身が「ゲーム好きなイラストレーター」くらいの存在だったので、イラストレーターやゲーム好きの視点からだけだと「見積れない作業量の多さ」、そこが不透明だったのが最も大変でした。

具体的に話すと、たとえばジャンプをする敵を作りたかった時のことです。ゲームファンやイラストレーターの視点だと、「ジャンプをする敵の絵」と「ジャンプをする機能」のふたつさえあれば良いものと思っていました。その「ジャンプをする機能」も掘り下げていくと、地面に足が接地しているかどうか……ジャンプ中に障害物にぶつかった時どうするかと、色んなことを内包している機能になっていまして。今まで漠然と「ジャンプする機能」として考えていたものが、本当は膨大な作業のもとに成り立っているものなんだな、と気付きました。

――「『溶鉄のマルフーシャ』を作ってよかった」と、特に実感できたエピソードについてお聞かせください。

hinyari9さん:今までイラストレーターとしてグラフィック周りしかやってこなかった人間だったんですが、本作の開発ではイラスト・一枚絵から、アニメーションやプログラミング、サウンドまですべてを一通り触りました。表には出てこない「とんでもない作業量」というものを自分で体験することが出来たので、今まで以上に世の中に出てるゲームがどれだけすごいのかわかるようになりました。

また、イラスト・グラフィックという私の専門が「ゲーム制作全体の中でどれくらいの作業量で、どのような役割を持つのか」が俯瞰的に見えてきたことも良い経験でした。今までイラストやグラフィックはゲームにとって「素材」という認識でしたが、全体を見られるようになったのが貴重だったかなと。

――『溶鉄のマルフーシャ』ですが、そのブラックな世界観が高い評価を受けています。私としても非常に好みで、武器を持たざるをえない少女の悲しさが現れていると感じました。また、独裁国家そのものの作りこみも非常に完成されているなと感心しています。そういった根幹にある雰囲気はいつごろから考えられていたか、どのように着想されたのかお教えいただければ幸いです。

hinyari9さん:世界観に着目頂けるのは今回ゲームを作った上でやりたかったところなので、大変光栄です。『マルフーシャ』のベースになった世界観を考えていたのはかなり前のことで、今から6年前の2016年になります。当時から一枚絵を趣味として描いてまして、その中で「特徴的な世界観を含んだものを1枚のイラストで表現する」という制作を連作でやっていたんですね。その中でたまたま出来た「鉄」と「熱」をテーマに、独特の世界観を作ってみようというアイデアで作ったのが『マルフーシャ』の世界です。

ゲームを始めて起動すると現れる「お城っぽい建物を見下ろしているイラスト」をベースにイメージをどんどん広げていって、他のイラストやキャラクターを作ったりして世界観を広げていきました。俗にいう“ファイナル構図”ですが……(笑)。

――ありがとうございます。ところで、なぜ「マルフーシャ」は“パン屋の少女”だったのでしょうか?

hinyari9さん:Twitterでは察していらっしゃる方もいますけれど、いくつかのゲームへのリスペクトを込めています。まずひとつは、私が『マルフーシャ』を作る参考元となったもの。『ドールズフロントライン』という中国のスマートフォンゲームがあるんですけど。あちらのゲームが出来る前の同人ゲームがありまして……。今度Steamでリメイク版が出るのですけど、そちらが『面包房少女(パン屋少女)』っていう、主人公とパンが関わるものだったのです(笑)。

そこをさらに辿ると、銃を持っている主人公が無双する『戦場のヴァルキュリア』。同作の主人公もパン屋をやっていたので……「銃をもって強い主人公はパン屋かぁ」という単純な思考から制作しました。

――銃を持つ少女の、ある種の“伝統”を受け継がれたということですね(笑)。

hinyari9さん:これがテンプレになって、他の方の同ジャンル作品もパン屋が主人公だったらとても面白いなと思います(笑)。

――作中には「マルフーシャ」や「ライカ監査官」など、魅力的なキャラクターが多く登場します。hinyari9さんご自身が最も気に入っている、あるいは思い入れのあるキャラクターは誰でしょうか。

hinyari9さん:一番好きなキャラクターは優劣がつけられなく、皆気に入っているのですが、思い入れという意味で一番をつけさせていただくと「エノス」という黒髪のぼけっとしているキャラクターに結構思い入れがあります。

キャラクターの中で一番地味で、プレイヤーとしても何を考えているのか分からないキャラです。しかし、とあるセリフで“自分なりに精一杯頑張っているけれど、どうしても成果が出なくて世の中に求められず辛かった”と、ポロっと本音を言うところがあるのです。その内面について、作者としてのこれまでの経験とか、色々思うところが重なることがあるので、結構な思い入れがあります。

――『マルフーシャ』のトゥルーエンドは、その後を色々と想像させられるものでした。自分としてはその後の物語の存在を強く期待してしまいます。『溶鉄のマルフーシャ』に続編の構想はあるのでしょうか。

hinyari9さん:続編については考えております。ぜひとも制作したいと思っていまして、内容についてはまだ詳しくお話しできないのですけれど、同じくらいのゲーム規模、そして『溶鉄のマルフーシャ』のその後の話になるかなと思います。そちらを現在、必死に制作しようとしております。

――インタビューの枠を超えて、個人的に大変嬉しく思います。

hinyari9さん:『マルフーシャ』は、正直言うと「誰にも見向きもされずに終わっていく作品」になると考えていました。これっきりで終わりにするつもりだったのですけど、応援してくださった皆さんのおかげで、続編を作ってみようと思えました。

――最後に、読者ならびにコンソール版リリースを期待しているユーザーにメッセージをお願いします。

hinyari9さん:家庭用ゲーム機向けの『溶鉄のマルフーシャ』リリースに、PLAYISMさんにもご協力いただいて……作者としては大変ありがたいです。家庭用にまで移植されるということは本当に、制作時点では全く想定していませんでした。ここまでお話を頂けたのはSteam版を遊んでいただいた方や、配信だとか創作、『溶鉄のマルフーシャ』を盛り上げてくれた方々のおかげだと思っています。この場を借りて感謝の言葉を伝えさせてください。本当にありがとうございます。

――本日はありがとうございました!


『溶鉄のマルフーシャ』はSteamにて発売中。ニンテンドースイッチ/PS4/PS5/Xbox向けにおいてはPLAYISMより今冬リリース予定となっています。

UPDATE(2022/09/17 20:20): 記事タイトルを修正しました。ご指摘、ありがとうございました。

《高村 響》

高村 響

多義的に面白いことが好きです 高村 響

兵庫県生まれ。子供の頃からゲームを初めとしたサブカル全般にハマっていたものの、なぜか大学にて文学研究で博士課程まで進むことに。本が好きで、でも憎い。純文学を中心とした関係性の中で生きていたが、思うところあってゲームライターに転向。その結果、研究のさなかゲームをしまくっていたことが恩師にバレつつある。 読んでくださっている皆様、どうぞよろしくお願いします。

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