Game*Sparkのスタッフが気になるタイトルをピックアップしてご紹介する“気になる*Spark”。今回は、2019年2月11日に配信された、Dogless Head Gamesが手がけるリアルタイムシミュレーションRPG『Fated Era』をお届けします。
ほぼ1人のクリエイターによって開発された本作は、シミュレーションRPG色が非常に強いリアルタイムストラテジー。プレイヤーは青国(アズールネイション)の志願兵を率い、侵攻してきた赤国(クリムゾンステート)に対抗するための戦争を繰り広げることになります。
ゲームの基本進行としては、事前に構築したユニットを戦術マップ上で出撃させ、各地の街を占領しながらマップ上の目標の達成を目指すといったもの。敵と味方のユニットがマップで遭遇した場合には、コマンドRPG風のオートバトルが展開するという、全体的に『伝説のオウガバトル』に近いスタイルとなっています。それぞれのマップを攻略した後は、全体戦略マップへと移り、装備アイテムの購入・装備や、各ユニットの強化・再編成を行った後、次のマップを選択していくことに。
そんな本作の最大の特徴は、ゲーム開始時に入力したシード値によって、ゲーム展開がランダムに変化すること。様々なマップ構成を攻略していくことになり、仲間になるキャラクターや入手可能なアイテムも大きく異なってきます。また、世界の全体の広さも含めた細かい難易度設定が可能であり、9マップの小規模なものから最大では176マップのゲームを体験することも。さらに、やられたユニットの復活の有無も設定可能です。エンディングを迎えたあと、そのまま同じ全体マップで延々遊ぶこともできます。
キャラクターの成長要素は、ベースレベルとクラスレベルの2種類。クラスレベルが上がるごとに、ランダムで様々なパークを入手可能となっており、これでキャラクターごとの個性付けができます。クラスチェンジはマップ間で、パークやベースレベルを維持したまま金銭のみで任意に可能なので、複数クラスのパークを兼ね備えたキャラクターも作成できます。キャラクターはリネームやカラー変更にも対応しています。
戦術マップでは、占領した街ごとに存在する特殊施設の恩恵を受けることも可能です。例えば、キャラクターの加入は一度だけ使用可能な兵舎や、マップの隠しポイントでのみ行え、任意での補充は不可能となっています。
プレイヤーのユニットは、ベースレベルから算出されるコスト内で出撃することが求められるため、マップ初手から強力なユニットを登場させるのは困難。コストが軽いユニットを編成しておいて、まずは各地の占領や、日毎にランダムポイントに現れる補給物資の確保が求められます。ユニットを拠点に戻し、コストの補填を図ることも可能です。そして、ベースレベルはマップ間で任意に“下げる”こともできます。金銭消費で、レベルを下げつつ更なる強化の余地を得ることも。
街の占領では、マップの隠し要素の大まかな位置を知ることができる他、街の人と話すことで、マップ上から直接様々な効果をユニットに与える消費アイテム“ボム”が稀に入手できます。街では待機中のユニットのHPの回復や、ユニットの行動力(街の外で随時減少していき、なくなると休憩状態になって一定時間行動不能に)の回復効果も。また街の占領状態や戦闘で貯まるゲージと金銭を消費し、強力な効果を持つ市民軍を切り札として、戦闘中にコマンド使用できる要素もあります。
そんな本作ですが、全体的な印象はひとえに「素朴」。ドット絵も音楽もレトロ風の落ち着いたテイストで、キャラクターデザインもどこか牧歌的です。演出も簡素で、スーパーファミコン世代に見られた画像の拡大・縮小といった要素もナシ。また、ストーリーや幕間のストーリーデモは存在しているものの、ほとんどの要素の詳細説明がないままに会話が進む、ファミコン世代を思わせる演出感です。更に、メインになると思われるキャラクターに専用ドットが用意されているわけでもないので、そもそも登場人物の区別を付けることすらできなかったりもします。カラー変更での調整にも限界があります。
本作は日本語にこそ対応していませんが、英語は非常に平易でわかりやすいもの。ゲーム本編自体は非常にスムーズに楽しめます。
一方、ストーリーデモでは「各地に仕掛けられた旧文明の超強力爆弾」、「裏で進む謎の計画」、「敵軍の非道を伝聞で聞いて逃げてきた報告を受け、果たしてそれが真実であるのか訝しむ姿」、「開放した町の住人から逆に誹りを受けた主人公(暫定)が自分の取った道は間違っていない、と独白する」などなど、なまじ面白そうな要素を読み取れてしまうだけに、日本語で細かなニュアンスを掴めないのが少し惜しくもあります。
他にも、UIがマウス操作に非対応であったり、全体マップでセーブしないと画面解像度などのゲームオプションの保存ができないといった部分が目立ちます。戦術マップ上の時間経過速度が随時変更できないのも(一旦オプションまで戻れば可能ですが)悲しいところ。
一方、(設定にもよるものの)歯ごたえのある難易度や、ランダム生成によるボリュームやリプレイ性の高さは確かなものです。ゲーム自体の素朴さと相まって、気を張らずに、どこか懐かしさすら覚えるようなシミュレーションRPGを非常に楽しめます。比較的安価なタイトルですし、気になる方は要チェックです。
『Fated Era』はSteamにて、930円でWindows向けに配信中です。
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