すっかり肌寒くなり、家から出ないでぬくぬくと知的遊戯にでも耽りたい季節となってまいりました。読者の皆さんはどうお過ごしでしょうか? 今回は、そんな季節にピッタリの新作パズルゲーム『Opus Magnum』をご紹介させていただきます。
『Opus Magnum』は『TIS-100』や『SHENZHEN I/O』など、パズルゲームを数多く産み出してきたデベロッパー「Zachtronics」の新作で、Steamでの早期アクセスが10月20日に開始したばかり。Zachtronicsのゲームはこれまでも、その独特のフェティッシュさとやり込みがいがある難易度の高さで古今東西の強者パズルゲーマーから支持を受けてきました。しかし、その反面、筆者のようなライトなパズル好きにとっては少々とっつきづらく、「ちゃんとできれば面白そうなんだけど……」と思いながらもチュートリアルをクリアしたぐらいでヘトヘトになってしまい、Steamのライブラリの中で休眠につく、というようなことにもなってしまいがちでした。
そんな筆者にとって、まずうれしいことに、今回の『Opus Magnum』には日本語が搭載されています。早期アクセスなのでまだ未訳の部分もあるらしいのですが、プレイするのには充分です。おかげでストーリーや主人公たちのキャラクターなどフレーバー要素は過去作にくらべてぐっと読みやすくなっており、完成度の高い世界観もあいまって非常に没入感が強いです。
チュートリアルも非常に充実しており、かつ分かりやすいので、つまずくことなくすんなりと本編に入ることができるのも筆者のようなライトパズルゲーマーには嬉しいところです。また、背景画像や雰囲気なども美しくZachtronics独自のフェティッシュな美的感覚がわかりますね。
今作のルールはいたってシンプルで、「“インプット”を適切な形に変換して“アウトプット”する」というZachtronicsの過去作とも通じるものになっています。なので、筆者のようなライトパズルゲーマーにとってもひとまずルールを覚えるだけであれば、それほど難しくない印象でした。とはいえ、言葉だけで説明するのは困難ですので説明用の画像をご用意致しました。
三角形が書いてある色のついたビー玉のようなものが「試薬」です。これを「アーム」と呼ばれる装置をつかって金枠のところに持っていくとアウトプットされます。「アーム」はプログラミングによって動作を1コマごとに制御することができます。制御といっても『SHENZEH I/O』のような言語を用いるのではなく、アイコンの組み合わせによる簡易的なものです。できる命令は「エレメンタルをつかむ/はなす」「アームを回転する」「掴んでるものを回転させる」などシンプルなものばかりです。
ゲーム序盤では主に「石灰化」と「結合」を取り扱ったパズルが出題されます。大丈夫、どちらもあまり複雑なものではありません。「石灰化」は試薬を塩に変化させるものです。石灰化パネルが存在するので、決まった試薬をその上に移動させてやれば石灰化します(画像中心部参照)。
「結合」は名前通り、二つの試薬を結合しつなげるためのもので、これも結合パネルの上を通過させることによって行います(画像右参照)。
「石灰化」「結合」(他にも色々あるのですが、入門ガイドのため割愛させていただいきます)を利用して、与えられた試薬を適切な形に変換し出力する、というのがこのゲームの目的です。
では、実際のパズルを解く方法を、チュートリアル最後のミッションである「安定化した水」を例にとって説明しましょう。
これがゲーム画面です。プレイヤーはこのボード上で「変性機関」と呼ばれるものを組み立てて、ミッション目標の達成を目指すことになります。
このミッションでは、プレイヤーは「エレメンタル(水)」の試薬を最大で2つ使って、今回の目標生成物である「安定化した水」を生成するための変性機関を組み立てます。「安定化した水」は、「塩」と「エレメンタル(水)」の試薬が1つずつ結びついたものですね。
前述の通り与えられている試薬は「エレメンタル(水)」が2つのみなので、水は「石灰化」して塩にしなければなりません。それだけではなく石灰化によって生成した「塩」と「水」を結合してやり、それを出力することも必要になります。
つまりこのミッションではプレイヤーはこれらのものを組み合わせ「水を塩にしたものと水を結合させて出力する変性機関」を作ればよいということになります。
そんなわけで、筆者が作った装置はこちらです。画面左下でエレメンタル水を塩に変化させ、画面真ん中で結合させて、画面右上へと出力しているわけです。
パーツごとに値段が設定されていたりもするので、安さを競ったり、工程数を削ったり、使用エリア数を減らしたりなどのスコアアタック的なやりこみ要素も搭載されています。また、クリアしたあと、自ら完成させた変性機関のムーブメントをgifアニメにして出力する機能も備えていますので、友達のと比べたり、自慢することだってできますよ!なにせすごく自由度が高いので、1つのパズルに人の数だけ解法があるでしょう。
見ていただけるとわかるように変性機関の動作には独特の気持ちよさがあって、「もっと複雑な装置を作りたい」という欲求がどんどん喚起される作りになっていて、非常に中毒性があります。いままで『TIS-100』や『SHENZHEN I/O』を途中で挫けてしまった筆者でも、このゲームなら続けられそうです。ただし、間口が広いというだけで決して簡単なわけではないので、歯ごたえのある旅路になるでしょうが……。
今作はSteam Workshopにも対応。他のプレイヤーが作ったパズルをプレイすることや自分でパズルを作ってアップロードすることも簡単にできるようになっていて、やろうと思えば一生遊んでいられるかもしれません。みなさんも遊んでみて、自らが作り出した変性機関を眺めてはウットリしてみるというのはいかがでしょうか?いままでZachtronicsのゲームを「難しそうだから」という理由で諦めていた人は、もしかしたら『Opus Magnum』が発売された今こそが最良の入門タイミングなのかもしれませんよ!
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