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【TGS 2017】『War Thunder』開発“Gaijin Entertainment”CEOインタビュー―社名の由来や海軍について聞いた

千葉で開催された東京ゲームショウ2017にて、Gaijin EntertainmentのCEOであるAnton Yudintsev氏にメディア合同のインタビューを行いました。多くのことを聞いたこのインタビューの内容をお届けします。

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千葉で開催された東京ゲームショウ2017にて、Gaijin EntertainmentのCEOであるAnton Yudintsev氏にメディア合同のインタビューを行いました。多くのことを聞いたこのインタビューの内容をお届けします。

――Gaijin Entertainmentはどういう由来で付けられたのですか?

Anton Yudintsev氏(以下、Yudintsev氏):Gaijin Entertainmentは2002年に開設した会社なのですが、その時はコンソールプラットフォ―ムに集中し最高のゲームを作られていた日本のゲームが好きでした。日本のゲーム市場が海外に解放されていないことや、有名なゲームでも日本国内しか流通していないので、それを持って世界中に残したいことから「Gaijin」という文字を入れました。「Gaijin」という言葉を使っていますが、皮肉な事に正直誰も意味を知らなくて、中国へ行っても「Gaijin」と言えば何とか通じるようになったので良いと思います。


2009年に『X-Blade』というゲームを日本で発売しまして、その時は結構ヒットしPS3ではトップに入り、Xbox 360では1位でした。ゲームとしては日本のアニメ風に作られており、日本のフォーラムに入った際にも「Gaijinのほうが日本○○のユーザーより上手いなあ」というユーザーからのコメントをいただきました。

――それに関係することですが、Gaijin Entertainmentの経歴などの特徴を改めて教えて下さい

Yudintsev氏:初めて日本の市場に入ったのは2009年のことで、それより前の時期にも日本のマーケットに入りたかったんですけれど、日本で有名なゲームはだいたい日本のゲーム会社が作っているので、入れるかどうかも夢みたいな話でした。日本人はだいたい外人(Gaijin)と言う意味をわかっていますので、我々もGaijinだし、そのまま使っていても大丈夫ということです。


――『War Thunder』は結構長い間サービスを続けていますが、他のゲームに負けない『War Thunder』ならではの魅力や秘訣はどういったところにあるのでしょうか?

Yudintsev氏:こんなに長く続くゲームとして『War Thunder』は唯一ではありませんが、もちろん他のゲームもありますけれども、理由としては進化し続けている所にあります。5年間の間にたくさんの新しい機能を追加しました。例えば陸上車両に様々な国の飛行機、最近なら現代的な戦車や飛行機も追加されました。最近のアップデート1.71では新しいマップが2つ、新車両、装甲概念としても複合装甲と爆発反応装甲(ERA)機能も入っています。この様にゲームが常に進化していることから、5年前のゲームと完全に内容が異なっています。例として『Battlefield 1』を挙げますがアップデートの量が本作と近く、最近は2ヶ月から3ヶ月の間に1回アップデートを行い、他のゲームと比べるとアップデートは3倍入っています。


このことから利用者も多く増えていっていけばいいなと思っています。実際に開発チームの規模も大きくなっており、最初に設立した頃と比べると、今の開発速度はかなり早い方です。リリースされた当初での更新内容と現在を比べてみると、断然に今のアップデート内容だけで初期リストより多いことがわかっています。

機能を追加するだけでなく、元々あるものをアップグレードしたり、古いモデルを更新したり、ゲームエンジンも2回ぐらい更新しました。なるべく今の品質(グラフィックやゲームエンジンなど)を合わせるようにしています。

――日本でのサービスがDMM GAMESを通じて始まってから、一年ほど経ちますけれども日本のサービスの感想や印象はどうですか ?

Yudintsev氏:パートナーとなる前には、日本のユーザーにあんまり知られていなかったり、例えばカスタム関係も出来ていなくて、マーケティングの問題や課金システムも問題があったのですが、DMMに入ってからはすべてカバーされているので良いサービスと思っています。

PS4版は日本で最近リリースしたんですけれど、PSマーケットも凄く良い反応でした。日本はコンソールの方がPCより少しマーケットが広いので、そちらにも入れたので嬉しく思っています。また、これからの展開についてもワクワクしています。


――これから日本の市場はどのように伸びていくと思っていますか?特にPCゲームは『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』の流行からPCゲーマーが増加傾向にありますが、日本の成長にはどれくらい期待していますか?

Yudintsev氏:一般的に言えば、PCゲームについてはコンソールに比べて開発されている程度は少し低いなと思っています。なぜかと言うと、皆ほとんどスマートフォンで済ませてしまうことがあるからです。また、もう一つの問題として日本のPCゲームでは、ほとんどがローカライズされていない状態で日本語のみになっているという、自給自足な状態になっているというがあるんじゃないかなとは思っています。

もちろんDMMからも良い品質のPCゲームを出しているので、それを考慮するとPCマーケットのユーザーは増えるのではないかと思っていますし、コンソールでもPCでもユーザーが経験していることは変わらないと思います。今回もPCマーケットについて、ユーザーは増えるのではないかなとも思っています。

日本のマーケットは他の国と比べると閉じているマーケットなので、コンソールと比べるとPCのほうが少し不利な部分もあります。とはいえ、コンソールでのリリースに向けても障害が多く、日本でPS4版を出すにあたっては必ず日本の開発者か責任者が必要です。今はDMMがパートナーですが、それでも時間がすごくかかっています。それでいうとPCの方が早く出せるというアドバンテージもあります。

――ちなみに『War Thunder』のXbox One版は考えているのでしょうか?

Yudintsev氏:PS4版とXbox One版のリリースについて、やはりそこには法律的な問題が結構入っています。また『War Thunder』はユーザーの人口が大事で、今はPS4版とPC版は同じサーバーでやっていますけれども、Xbox One版ではそれが不可能です。個別にサーバーを作ることもできますが、もしXbox One版で人口が足りなくなるとオンラインのマッチメイキングができなくなります。一つの方法として考えられるのは、マッチングシステムをいじり、Xbox One版とPS4版をマッチングさせることです。しかし、技術的にかなり難しいので考えてはいません。


――今の説明ですと、同じ世界にPC/PS4/Xbox Oneがいるのですが、「PS4とXbox Oneは絶対にマッチングしない」みたいな話ですよね

Yudintsev氏:そうですね。『CROSSOUT』は、欧米でXbox One向けにリリースされ、PC版と違うサーバーですが、プレイヤー数は充分なので可能です。しかし『War Thunder』は別の話です。やはりゲームシステムが違いますし、空軍と海軍、そして陸軍もあるので、ある程度の人口がないとゲームを維持できません。「Xbox One向けのサーバーを作る」というのは危険性が高いです。しかし、個人的な意見ですが、Xbox One Xは凄く強いコンソールだと思っています。

――ゲームの中身について質問です。『War Thunder』の魅力になっているのは戦車や戦闘機の再現だと思うのですが、こだわりや再現方法について詳しく教えてください

Yudintsev氏:『War Thunder』の戦車と飛行機の正確性についてですが、自分達としてはなるべく現物に近づける様に頑張っています。その方法は複数存在し、実際の戦車や飛行機がまだ存在するのであれば実際に見て、3Dスキャンを行い、設計図といったリソースを全て集め、なるべく実物に近くに作ります。例えリリースされた後でも、もし間違いが見つかれば修正します。同じ車両でも写真で結構違う場合があるのですが、どちらが正しいのか、もしくは別のモデルでもあるのかを調べてから作っています。


実際にモデルを作る前に“パスポート”という 10ページほどの資料を用意します。その中に車両に関する資料があり、それに基づいて戦車や飛行機を作ります。問題なのはその資料です。あったとしてもそのほとんどが機密であり、皆に見せられないというわけではないのです。普通に博物館や図書館に行けば見ることはできるんですが、曖昧な法的条件があって実際に政府に許可を取らないと、皆に見せられないと言う問題があります。見るのは大丈夫なんですけど使うのは良いのか、コピーしてもいいのかという機密性があるため、いつも遠回りをしやっと資料を入手してモデルを作るため時間がかかってしまいます。

また、日本の機体に関しては一番難しいです。言語的な問題ではなく、入手方法が結構大変で。しかもほとんどが破壊された状態なので、資料を集めるのにとても苦労しました。そういう問題を解決したからこそ、最近やっと日本軍の戦車をリリースすることができました。

――兵器に関連することですが、Gaijin Entertainmentから見た日本軍と自衛隊の兵器の特徴はどんなところに表れているのでしょうか?


Yudintsev氏:日本の戦車についてですが、 日本の戦車は他国と比べてすごく特別で全く違うと言っても過言ではありません。全てを言うのは難しいのですが、発射レートや動き方が他国の機体と比べても別物で、他国の戦車を導入しているものもありますが、ほとんどのものは完全に違う形をしています。とにかく、動きも作りも外見も違うので、良い経験になりました。


次に航空機なのですが、日本軍の機体はヨーロッパの航空機に負けない強さを持っています。文化が違うことから機体の姿や遊び方も違いますし、実際自分も日本軍の機体を使って遊ぶ時間は長いと思っています。

――『War Thunder』海軍について教えてください

Yudintsev氏:海軍については10ヶ月ぐらい作っており、ユーザーからのフィードバックや感想をいっぱいもらっています。システムに関しては変更やテストもあるのですが、ポジティブな良い意見をもらっているので、新しいコンテンツを追加することもタスクのひとつです。まずコンテンツとなる駆逐艦が追加される予定で、魚雷艇も入ります。クローズドベータでは入ると思うのですが、テストする規模が大きいほどテストする時間も増えます。戦艦や空母については考え中ですが、恐らく出ないと思います。


もちろん大きさの問題もありますし 加速や主砲の発射など時間の問題もあるので、それらを変更して「ここまで加速できる」」ことや、距離的に「すぐそこまで到達する」ことをできることはできるのですが、『War Thunder』のゲームシステムは現実のものになるべく近づけたいと考えています。なので、それらを変更すると『War Thunder』の特別性が崩れてしまうのではないかと思っています。現実にダメージシステムやサイズの問題もありますし、実際に空母を導入したとしても面白くないと思っています。役割としても、移動しパイロットが発艦して着艦するだけなので、それらを理由として実装は予定していません。

戦艦に関しては、敵を倒したことについてはそれで良いと思いますが、実際に水平線の向こうから撃ってくるので、撃ったとしても当たるかどうかわからないという問題があります。それを簡略化し、すぐ着弾するようにしても現実性がなくなってしまうので、実装はしないと思います。プレイヤーが戦艦を好きなのも分かりますが、『War Thunder』というものは現実に即したものであるため、フィクションにするのも違うなと思っています。ただ、プレイヤーが操縦できない形ではありますが、戦艦大和を作る予定はあります。

CBTに関してですが、こちらとしては今年中にリリースできればと思います。遅くなったとしても来年のはじめ頃にリリースするかと思います。

―― 最後に日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします

Yudintsev氏:まず、日本のプレイヤーと一緒に『War Thunder』へ携われることを嬉しく思います。自分も昔から日本のゲームの大ファンなので、今回はお客ではなくて一緒に参加できる主催者として嬉しく思っています。これからももっと沢山のプレイヤーに『War Thunder』を遊んでいただきたいです。

そして、ゲーマーはもちろん、日本のプレイヤーで日本の歴史も知りたい人も『War Thunder』を遊んでみてください。軍隊の歴史や戦車について『War Thunder』以上のゲームはないと断言出来ます。歴史的なものも入っていますし、珍しい戦車の資料も見ることができます。ゲームとしては結構ハードコアですが、新しい日本の戦車や日本のマップも追加されていて、これからも日本のユーザーに面白いと思って頂けるものを多く追加していく予定です。

PCを持ってない人でもDMMのおかげでPS4版リリースすることができたので、是非そちらも試してみて欲しいですね。日本と欧米で文化の違いはありますけれど、日本人のゲーム人口は非常に高いと思うので、自分的にもこれからすごくワクワクしています。よろしくお願いします。

――ありがとうございました。

《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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