ダークな「赤ずきん」モチーフの2D童話ホラー『Mucorales』は短編ながら“静かな恐怖と衝撃”に満ちた作品【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ダークな「赤ずきん」モチーフの2D童話ホラー『Mucorales』は短編ながら“静かな恐怖と衝撃”に満ちた作品【プレイレポ】

プレイヤーの決断によって複数の結末が用意されています。

連載・特集 プレイレポート
ダークな「赤ずきん」モチーフの2D童話ホラー『Mucorales』は1時間程度の短編ながら“静かな恐怖と衝撃”に満ちた作品【プレイレポ】
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※本記事は『Mucorales』のネタバレを含んでいます。閲覧の際にはご留意ください。

今回は、2024年3月19日にSteam向けに発売した短編ホラー『Mucorales』のプレイレポートをお届けします。なお、本記事ではストーリーに関するネタバレがありますので、閲覧の際には十分留意してください。

暗く陰鬱な「赤ずきん」の世界へようこそ

本作は、誰もが知っている古典童話赤ずきん」をダークに再解釈したホラーアドベンチャーです。美しくもシュールな夢探索ゲーム『shita ni』のLuN氏が手掛けており、日本語訳をゲーム翻訳者のnicolith氏が担当しています。

全エンディングを網羅するまで約1時間程度と、気軽にプレイできます。しかしながら、緻密で可愛らしいビジュアルのドット絵とは裏腹の陰鬱な世界観、ミニマルだが寂寥感と不安を誘う素晴らしいサウンドは本作の魅力。そして不気味なフィールドでの探索要素、多彩なキャラクターとの会話、プレイヤーの決断によって変わる結末などを特徴としています。

おばあさんを訪ねてきた少女

本作はキーボード入力のみに対応しています。移動は矢印キー/ファンクションキー、インタラクトはスペース、セーブやメニュー画面はMキーで行うシンプルな操作です。

物語は、赤ずきんを被った少女ブランシェットが、おばあさんを訪ねてきた場面から始まります。どうやら近頃のどしゃぶりで心配になり様子を見に来たようです。

ブランシェットは町で買った美味しい食べ物を持ってきていて、台所に置くように言われます。本作は、要所要所にプレイヤーに決断を迫る選択肢が提示され、のちにこれが物語の結末に影響を与える重要なものになります。

言われたようにバスケットを置いたら、おばあさんに会いにいきましょう。おばあさんは一番左奥の部屋で横になって休んでいる様子。扉を開けると、画面にはベッドなどは描写されておらず、そこはかとなく不穏な印象を受けます。ここでは、おばあさんの顔を見るか、話しかけるかを選択可能です。

穏やかに休むおばあさん

話してみると、おばあさんの具合は良くなくずっと寝たきりのようです。それを聞いたブランシェットは、さびしくないようしばらく一緒にいることに。そして、作り置きのキノコシチューを食べるように言われます。自分で買ってきた食物はありますが、今回はおばあさんの好意に応えてシチューをご馳走になりましょう。

シチューはちょっぴり変な味がしたけれど、美味しかったのでお腹いっぱい。おばあさんにお礼を言って今日のところは眠りにつきます。翌朝ふたたび様子を見にいくと今度は「シチューに入れるキノコを森へ取りに行ってほしい」と頼まれます。

穏やかに休むおばあさん。今日は微笑んでいるように見えます。

不穏な森を探索する

霧が立ち込めた薄暗い森へ足を踏み入れると、枯木に張り紙がありました。いったい誰がこんなところに……?

張り紙には血のりで書かれたような「I WILL KILL YOU」の文字が。誰かのイタズラにしては非常に不気味です。すでに筆者のSAN値は崩壊気味ですが、引き続き森を探索していきます。森は思いのほか広く、キノコを見つけるのも簡単ではありません。

道中は、精緻に描かれたドット絵とBGMのせいか本当に心細く感じてしまい、ホラーゲームとしての雰囲気は抜群でした。

それぞれのエリアを探索していると、道を塞ぐ大きな倒木があったり、何かに寄生され変異した血まみれの鹿とネズミに「オオカミに捕まるぞ!」と脅されたりと、中々スリリングでハード。それでもなんとかキノコを全部探し出して帰路に着きます。

おばあさんにキノコを見せると大喜びの様子で、台所の机に置いておくようにと言われます。ついでに、お腹が減ったので今日も鍋に残っているシチューを食べて就寝。次の朝、またもやおばあさんから「もっとキノコがいる」とお願いされます。

ふたたび森へ……

「なぜそんなにたくさんのキノコがいるのだろう?」そんな疑問が湧きながらも、また森へ。すると、張り紙のあった場所には大量の血痕が。先ほどとは明らかに違う異様な光景です。ここにはヤバい何かがいる。そう思いながら、張り紙を見ると……

これがオオカミ……?

手足と首の長い異形の生物の落書きと共に「WOLF」と書かれており、この血痕の原因であることを匂わせます。不安と恐怖が加速する中、急いでキノコを探し出し、家へと帰ります。

果たして物語の結末は

無事にキノコを持っていくと、いつものように台所に置いてシチューを食べろと言われます。しかし、命令するように行動を促すおばあさんと、すべてを受け入れるブランシェットの二人の様子は、最初と比べて何かがおかしいのです

翌朝起きると、ドンドンドンッ!と激しくドアを叩く音が。「誰が来たのかを確かめる」のか「眠ろうとする」のか、重要な決断を下します。

ドアを確かめると、張り紙の落書きによく似た「異形のオオカミ」が待ち構えていました。

パニックになり家から出れないと悟ったブランシェットは、おばあさんの元へ駆けつけます。ホッとしたのも束の間、話をすると「よし!やっと準備が出来た」などと意味不明なことを言い出すので、おばあさんの顔を覗き込みます。

おばあさんの顔面は、狂った道化師のように歪んでいました。何かに憑依されたように別人のおばあさんは、ブランシェットに「針と糸を渡しておくれ……」と静かに頼みます。果たして、赤ずきんの少女は生き残ることが出来るのか。ここから先の衝撃的な結末は、ぜひ実際にプレイにして確かめて欲しいです。


本作は、古典童話のスタンダード「赤ずきん」を大胆にアレンジした作品で、ストーリーはもちろん、陰鬱でダークな世界観やサウンド、ジャンプスケアではなく静かに導入される“恐怖感”や“不気味さ”、Nikolith氏によるハイクオリティな日本語訳など、小規模ながらホラーゲームとして没入感が非常に高く秀逸でした。

また、プレイヤーの選択によって変わる結末、徐々に明るみになっていく物語は、何度もリプレイしてようやく理解ができる面白い仕組みだと感じました。プレイ時間は約30分~1時間程度でお値段も235円と気軽に遊ぶことが出来ます。

  • タイトル:『Mucorales』

  • 対応機種: PC(Steam

  • 対応言語:日本語字幕

  • 記事におけるプレイ機種:PC(Steam)

  • 発売日:2024年3月19日

  • 著者プレイ時間:1.5時間

スパくんのひとこと



短編ながら、恐怖と衝撃が連続する密度の濃い作品スパ……!



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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《DOOMKID》

心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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