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Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―ただの“続編”と侮ることなかれ。「ゲーム史に残るレベルのハイクオリティなRPG」の光と陰

充実のコンテンツや「再構築」されたストーリー、グラフィックなど非常に高い完成度を誇りますが、「原作があるからこそ気になる」ポイントも。

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Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―ただの“続編”と侮ることなかれ。「ゲーム史に残るレベルのハイクオリティなRPG」の光と陰
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Game*Sparkでは、全7本の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』レビューを掲載します。
いずれの記事もネタバレを含むため、閲覧の際には留意してください。



『FF7 リメイク』の登場から4年、続編となる『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(以下、『FF7 リバース』)がいよいよPS5向けに発売となりました。

これまでにもメディア先行体験やプレイレポート、プロデューサーを務める北瀬佳範氏とディレクターを務める浜口直樹氏、クリエイティブ・ディレクターの野村哲也氏などにもインタビューを実施してきた筆者の視点から、『FF7 リバース』をレビューしていきます。



待望の『FF7 リメイク』続編が遂に登場

筆者が初めて触れた『FF7』タイトルは『FF7 リメイク』であり、その後にリマスター版の『FF7』や『FF7 エバークライシス(EC)』といった作品をプレイしていきました。

本作は、全体的なストーリーの中で見ても大きなターニングポイントとなるロケーション「忘らるる都」までを描く物語である、ということは事前にも明かされており、「決定された運命」と「そこに至るまでの過程」がどうなるか、非常に期待を持っていました。

ストーリーの詳細な評価については後述しますが、改めて読み直すと人物の細かな動きや伏線など新たな発見と出会えたりする推理小説のように、本作も『FF7』をプレイしたことがあって、ストーリーを知っていると驚かされるような展開が用意されています。

これまでのプレイレポートなどでも触れてきたように、本作は「展開が読めない重厚なストーリー」と「広大なフィールド探索」というふたつの要素が両立された新しい『FF7』です。ただグラフィックやBGMの品質を向上させただけでなく、『FF7』の世界が再構築された意義のあるものになっていると感じます。

新たに描かれるクラウドたちの運命―「誰もわからない」物語がそこにある

それでは実際に、『FF7 リバース』のストーリー面について評価していきます。前提として「かつて『FF7』をプレイしたことがあるか」、そして本作を「“ひとつのRPG”として見るか、“3部作のうちの2作目”として見るか」によって、評価の軸や見え方が変わってくるでしょう。

『FF7 リメイク』プロジェクト作品では、「運命の壁」を超えたクラウドたちが、たびたび原作にはなかったような物語の場面に直面することがあります。当然、原作を知っているプレイヤーなら「この後はこうだな」という展開は頭に浮かびますが、新たな運命によってオリジナルの『FF7』を知っているプレイヤーも驚かされ、たとえこれまでに『FF7』の世界に触れてこなかった人でも引き込まれるような、ストーリー展開や演出がなされています。

この「誰も先が読めない物語」はどちらのプレイヤーにとっても新鮮であり、ただの“続編”という言葉では済ませられないようなストーリー展開は「ひとつのRPG」として非常に惹かれるものがあります。

一方で、本作を“3部作のうちの2作目”として見た場合にはどうでしょうか。開発陣のインタビューなどでもある通り、『FF7 リメイク』でキャラクターの人となりや関係、世界の勢力図といった「プロローグ」を描き、『FF7 リバース』ではキャラクターの肉付けや関係の深堀りといった細かい描写がなされるなど、2作目という立場だからこそできる描写が散りばめられています。この点は原作プレイヤーとしても嬉しいポイントです。

さらに、グラフィックや表現力が向上したことで、原作では表現しきれなかったキャラクターの表情や細かな動きを描写している点が非常に良く、カットシーンは声優陣の見事な演技も相まって非常にクオリティの高いものになっています。

ところで、本作は“前作『FF7 リメイク』をプレイしていなくても楽しめる”とされており、前作のストーリーダイジェストの動画などもゲーム内で視聴できます。しかしストーリーの大筋を紹介するだけで、「そもそもどういうキャラクターなのか」という部分や、キャラクター同士の関係性といった部分のフォローは少し物足りないように感じました。

旅の中で訪れる各地ではところどころ気の抜けるようなコメディタッチなシーンが描写されるなど、全体的なボリュームはアップしていますが、物語が「間延び」しているようにも感じられます。「セフィロスを追う」という大きな目標はあるものの、「結局、今……何してるんだっけ…?」「こんなことをしている場合なのか…!?」と感じてしまうような場面もありました。

ストーリーに沿って展開されていく『FF7 リメイク』やオリジナル『FF7』では描ききれなかった要素を本作にて補完している……と言えばそうなのですが、逆にその「進化し過ぎた要素」「増え過ぎた要素」によって、本来の味が薄まってしまうような状況に陥っていると言えます。

また、2作目にあたる本作は、いよいよクライマックスを迎える3作目に向かってプレイヤーの興味を大きく引くという大切な役割も持っています。『FF7 リバース』という、ひとつのタイトルとしてストーリー的に終わりを迎えるものの、本作で物語は完結しきらないので、不完全燃焼気味な部分があることは否めません。

それでいて、特に終盤にかけてのボリュームが尻すぼみしてしまっているようにも感じられ、神殿で自らの身を挺するケット・シーや最終局面でのセフィロスと対峙するクラウドのセリフなど、そこはもっと深堀りしてほしかったな……」と、痒いところに手が届かないような演出にやきもきするような場面もいくつかありました。

加えて、ヴィンセントについてももう少し関連するシーンがあっても良かったのではないかと思うので、彼に関しては三作目に期待といったところでしょうか……。

ザックスやエアリスが生存している「複数の世界」が存在していて、それぞれが交わったような描写については、本当に新たな『FF7』を語ろうとしているようにも思えますが、現状では“どっちつかずな終わり方”となってしまっていて、複雑な心境でもあります。もちろん「エアリスやザックスには生きていてほしい」という気持ちはありつつも、彼や彼女、仲間たちの「」を乗り越えることが『FF7』のストーリーと世界を儚くも美しく彩っていて、それが長年にわたって愛されてきたというのも事実です。

3作目ではそれぞれの世界が交わり、新しい『FF7』の物語となることが予想されますが、オリジナル版『FF7』のプレイヤーが当時抱いた感情がどこまで尊重されるか、そしてどのような「新しい終わり」を迎えることになるのかについては、いい意味で「すべてのプレイヤーを裏切る」展開であってほしいと思います。

時間を忘れて没頭できるようなコンテンツ満載のフィールド

前作『FF7 リメイク』でミッドガルを脱出したあと、本作ではワールドマップに出て「グラスランドエリア」「ジュノンエリア」「コレルエリア」など世界各地を探索します。

行く先々には多数のサイドコンテンツが用意されています。特定の条件を満たしつつ敵を倒すコンテンツや、宝探し、ミニゲーム的要素などそのジャンルは多岐に渡り、独自のストーリーやカットシーンが用意されているものも、マンネリ化しにくいポイントです。特に「クイーンズ・ブラッド」はシンプルなルールながらも奥深い戦術が楽しめるミニゲームとなっていて、筆者のお気に入りでもあります。

また、サイドコンテンツを消化することで経験値をはじめ、冒険に有利なマテリアなどを入手できるので、「サイドコンテンツで遊ぶこと」が結果として「冒険のモチベーション」に繋がるようなゲームデザインとなっている点は高く評価できます。

一方で、フィールドの探索については、パルクール要素や多彩なチョコボが用意されているものの、少し不便に感じてしまう部分もあります。近年のオープンワールドアクションの感覚で崖を飛び降りたり登ろうとしても出来ないことが多く、ちょっとした回り道をしないといけないところが少しストレスに感じる場面もありました。

しかし全体的に見れば気になる点はそれぐらいなもので、『FF7 リメイク』で指摘されていた「プレイヤーの選択の幅」「探索の自由度」といった部分はブラッシュアップされており、最新のグラフィックや技術で『FF7』のさまざまなフィールドを壮大に描いている点はファンとして嬉しい限りです。

連携技によって「仲間との絆」を描くバトルシステム―マテリアの「ビルド要素」も充実

本作では、基本的には『FF7 リメイク』を引き継ぎ、アクション要素とコマンドバトルが融合したバトルシステムを備えています。「連携アビリティ」「連携アクション」が追加されたことでさらに選択の幅が広がり、パーティーメンバーの入れ替えでさまざまな構成を試せるように。お気に入りのパーティーで冒険するもよし、キャラクターを気分転換で入れ替えてみるもよしと、ここでも自由度の高いゲームデザインが見られます。

今作ではマテリアの種類が大きく増加し、キャラクターの編成だけでなくマテリアのビルド要素も楽しめます。ゲーム序盤のグラスランドエリアから便利なマテリアも入手でき、ガードを強化するマテリアなど、コマンドバトルだけでなくアクション面のプレイフィールを改善してくれる要素が存在しているところも嬉しい点だと感じました。

また、本作ではキャラクター同士のボイスの掛け合いにも注目したいところ。お互いの名前を呼んだり息を合わせるように声をかけるだけでなく、キャラクターが動けなくなった時や、敵が大技を仕掛けて来る時にもセリフがあったりと、ただ「目的が同じだから行動している」のではなく「お互いがお互いを信頼していて、仲間としての絆があること」が感じられるように描かれています。

これは、前作までで描いてきた世界やキャラクターの関係性を深堀りする『FF7 リバース』とのコンセプトに非常にマッチしているともいえます。

一方でガードや回避といった要素や、キャラクターごとの固有のアビリティなどはあるものの、やはり戦闘のメインは「ATBゲージ」を活用したコマンドバトル。本作から入るプレイヤーにとっては、クラウドが華麗な剣戟を連続で叩き込むような「アクション要素」を期待すると、少し肩透かしを食らったような気分になってしまうかもしれません。

総評

『FF7 リバース』では前作の『FF7 リメイク』で指摘されていた「プレイヤーの選択」や「探索の自由度」といった点が改善され、さらに前作から新要素を追加したことでバトルアクション面も進化しました。また、ストーリーもキャラクターの心情や細かい描写、新しいシーンによってさらに深堀りされ、『FF7』のストーリーをさらに豪華で壮大なものにしています。

ストーリーと探索要素をどちらもハイレベルでまとめ上げたそのクオリティは非常に高く、「ひとつのRPG」としてみればゲーム史に残るような作品であることは間違いありません。

しかし一方で『FF7 リメイク』の続編としてみると、やはり「3部作の中間」として歯切れの悪い終わり方をしてしまっているのもまた事実。オリジナル『FF7』をプレイしていて、本作に触れたプレイヤーが抱いた感情が、3作目でどのように昇華されていくのかには期待したいところです。

また、前述の通りアクションRPGとしての完成度は屈指のレベルで、本作から『FF7』の世界に触れるというプレイヤーでも楽しめる内容にはなっていますが、ダイジェスト動画以外にも『FF7 EC』や前作『FF7 リメイク』といった作品で予備知識をある程度つけておくと、本作の壮大なスケールで描かれるストーリーや、キャラクターの細やかな描写を120%楽しめるでしょう。

総合評価:9/10

良い点
・圧倒的なグラフィックで描かれるフィールドを探索できる自由度の高さ
・『FF7』既存プレイヤーも新規ユーザーも惹き込まれるようなストーリー展開
・戦術とアクションが融合した独自のバトルシステム

悪い点
・終盤で「尻すぼみ」を感じてしまうようなストーリー展開
・新規ユーザーに対するストーリーや人物関係の詳細なフォローが足りないと感じる部分も




《kurokami》

チャーシュー麺しか勝たん kurokami

1999年生まれ。小さい頃からゲームに触れ、初めてガチ泣きした作品はN64の『ピカチュウげんきでちゅう』です。紅蓮の頃から『FF14』にどハマりしており、Game*Spark上ではのFF14関連の記事を主に執筆しています。

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