3Dホラゲーの草分け的存在『Alone in the Dark』はどんな道を歩んできたのか?業界の流れとともに名作サイコホラーの足跡を振り返る【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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3Dホラゲーの草分け的存在『Alone in the Dark』はどんな道を歩んできたのか?業界の流れとともに名作サイコホラーの足跡を振り返る【特集】

3Dサバイバルホラーの原点はいかにして生まれ、いかにして復活を遂げたのか。その歴史に迫る!

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3Dホラゲーの草分け的存在『Alone in the Dark』はどんな道を歩んできたのか?業界の流れとともに名作サイコホラーの足跡を振り返る【特集】
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数少ない弾薬やアイテムを管理しながら敵から生き延びる、強い恐怖感と緊張感が味わえる人気ゲームジャンル「サバイバルホラー」。これまで歴史的傑作が多く生み出されてきたため、このジャンルのファンである人も少なくないでしょう。

そんな同ジャンルを3Dで表現した始祖的存在のゲームをご存知でしょうか。それは、『Alone in the Dark(アローン・イン・ザ・ダーク)』シリーズです。

本記事では、3月20日にリ・イマジネーション版を発売し、再始動を果たす元祖3Dサバイバルホラー『Alone in the Dark』シリーズについて詳しく深掘り。当時のゲーム業界も振り返りながら、本シリーズが辿った歴史をご紹介します。

リ・イマジネーション版『Alone in the Dark』ってどんなゲーム?

3月20日に発売する『Alone in the Dark』は、狂気でプレイヤーを恐怖に追いやる「サイコホラー」と、アメリカ南部の雰囲気を再現したグロテスクな「南部ゴシック」のテイストが特徴のサバイバルホラーゲームです。

戦間期のルイジアナ州に位置する奇妙な精神病棟「デルセト屋敷」を舞台に、失踪を遂げた屋敷の主人の姪であるエミリー・ハートウッド、もしくは私立探偵のエドワード・カーンビーを操作して、退廃的でトラウマに立ち入るような闇の世界に足を踏み入れます。

本作はリ・イマジネーション作品として制作されており、シリーズ初期の三部作をベースに再構築されています。1992年から1995年にかけては同様のシステムを用いた三部作が発売され、その後4作目となる『新たなる悪夢(The New Nightmare)』が発売。その後2008年にリブートを迎え、これまでとはテイストの異なるアクション色の強い作品が展開されました。

【これまでに発売されたメインシリーズ作品】

  • 『アローン・イン・ザ・ダーク』(1992)

  • 『アローン・イン・ザ・ダーク2』

  • 『アローン・イン・ザ・ダーク3』

  • 『アローン・イン・ザ・ダーク 新たなる悪夢(Alone in the Dark: The New Nightmare)』

  • 『アローン・イン・ザ・ダーク』(2008)

  • 『Alone in the Dark: Illumination』

  • 『アローン・イン・ザ・ダーク』(2023)

ここからは、1992年に発売された初代『アローン・イン・ザ・ダーク(Alone in the Dark)』から、本シリーズはどのような歴史をたどり、どのようにして現代に蘇るに至ったのかを深掘りしていきます!

歴史はここから始まった。元祖ながらサバイバルホラーの要点を押さえた『アローン・イン・ザ・ダーク』(1992)

1992年、MS-DOS向けにひとつのゲームが産声をあげました。フランスのゲームスタジオInfogramesが開発した『アローン・イン・ザ・ダーク(Alone in the Dark)』です。日本ではコンソール版が3DO独占で発売されたほか、PC-9821やPC-9801、DOS/VやFMTOWNSなどのPCにも発売されました。

物語は、著名な芸術家でデルセト屋敷の主人である“ジェレミー・ハートウッド”が自殺したという報せが届くところから始まります。

プレイヤーは主人の姪であるエミリー・ハートウッド、もしくは古美術商に依頼されて調査に派遣された私立探偵のエドワード・カーンビーの2人から選択し、不気味なデルセト屋敷に足を踏み入れます。H.P.ラヴクラフト作品をモチーフにしており、奇怪なクリーチャーとの戦闘をはじめとした狂気的な描写が特徴的。カメラを固定カメラであることを生かしたホラー演出も盛り込まれています。

飛躍した解法のパズルや即死トラップ、絶対に倒せない敵などクラシックゲームならではの難しさはありつつも、弾薬の管理や銃による敵との戦闘、マップを行き来する謎解きなど、サバイバルホラーの要点をしっかり押さえた内容になっていることに驚きます。

本作は1996年発売の『バイオハザード』にも影響を与えたと言われており、男性・女性のダブル主人公やフィールド上に残された日記によるストーリーテリング、突如窓を割って入ってくるモンスターや固定カメラ視点など共通する点がいくつか挙げられます。

グラフィックスタイルも、「人物」や「インタラクトできるオブジェクト」をリアルタイムレンダリングのポリゴンで描いてプリレンダの背景上に配置するという、初期3Dサバイバルホラーではおなじみのスタイルを採用。実際に、世界初の3Dサバイバルホラーとしてギネス世界記録にも認定されています。

1992年当時のゲーム業界は、ほとんどが2Dのゲームでした。主流のコンソールはスーパーファミコンやメガドライブで、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』や『ストリートファイターII'』『Mortal Kombat』『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』などの作品がヒット。疑似3D的な表現を採用したゲームとしては『スーパーマリオカート』や『Wolfenstein 3D』などが挙げられるほか、『バーチャレーシング』がポリゴンによる3D表現を実現しています。

サバイバルホラーとしては、ファミコンでリリースされた『スウィートホーム』が原点と言われており、『バイオハザード』の着想元のひとつとなったと言われています。しかし日本以外で発売されなかったため、本作への影響があったのかは定かではありません。

キュートな販促用体験版『Jack in the Dark』

続編となる『アローン・イン・ザ・ダーク 2』のデモ版として制作された短編です。『2』に登場する重要人物の少女グレイス・サンダースが主人公となっており、ハロウィンの日に訪れたおもちゃ屋に閉じ込められるところから始まります。

本編とは大きく異なり、閉じ込められたサンタクロースを助けてあげるというキュートな内容となっています。操作は基本的に同じですが、おもちゃたちによるにぎやかな演出が特徴的です。

よりアクション性が強く!『アローン・イン・ザ・ダーク2』

1993年に発売を迎えた本作は前作の3ヶ月後を舞台にした作品で、主人公はエドワード・カーンビーひとりに絞られています。日本では前作同様3DOやPC-9801/9821、FM TOWNSなどに発売されたほか、後にPlayStationやセガサターンといった比較的メジャーなコンソールにも進出を果たしました。

グレイス・サンダースの誘拐事件を捜査するという物語になっており、「片目のジャック(One-Eyed Jack)」と呼ばれるギャングが住む屋敷「ヘルズキッチン」へと足を踏み入れます。ホラーとしてはブードゥー教をベースにしていますが、海賊や魔女といった敵との戦いが描かれます。

ゲームプレイは、アクション性がかなり押し出されたものに変化。ゲーム序盤からトミーガンを携えて大量の敵と撃ち合いをするという場面があり、高難度な作りとなっています。前作と大きく異なるテイストには、ファンや批評家の間で賛否が巻き起こりました。

1993年には3Dポリゴンを活用したゲームがより多く登場します。特別なチップで3Dポリゴンを実現した『スターフォックス』や最初の3D格闘『バーチャファイター』『Star Wars: X-Wing』などが人気を集めたほか、フル3Dでない作品ではFPSの金字塔である『DOOM』も誕生しました。

三部作の完結編。西部開拓時代をテーマとした『アローン・イン・ザ・ダーク3』

初期シリーズ最後の作品となった本作は、1995年にリリースされました。過去作のPC版は主にフロッピーディスクで発売さていましたが、本作はCD-ROMでのみ発売されたため、リッチなカットシーンやボイス付きのセリフ(国ごとに吹き替えも用意)など大容量を生かした作りになっています。コンソールでは3DO版の発売が予定されていましたが、北米においてはPCでのみリリースとなりました。

過去2作の実績から「超常現象探偵」と呼ばれるようになったエドワード・カーンビーは、映画プロデューサーからの依頼によって、モハベ砂漠のゴーストタウン「スローター・ガルチ」でウエスタン映画を撮影中だったクルーが行方不明になった事件の調査を始めるところから物語が始まります。クルーの中には脚本家になったエミリー・ハートウッドもいたことから、カーンビーに依頼が入ったのです。

本作のテーマは西部開拓時代です。スローター・ガルチは元々インディアンの墓がある聖地でしたが、とある金の像が発見されたことにより、アウトローたちによってゴールドラッシュの町へと変化。しかし、住民が次々と不審な死を遂げ、ついには誰もいないゴーストタウンと化してしまったのです。

そんな背景から、本作での主な敵はゾンビと化したアウトローたち。リボルバーやレバーアクションライフルを携えて襲ってきます。

ゲームプレイとしては初代と『2』の中間のようなデザインになっており、アクション性と謎解きがバランス良くミックスされています。酒場や廃墟など「西部劇」あるいは「ゴーストタウン」という設定を生かした豊富なロケーションも魅力的です。

本作発売の前年にはPlayStationやセガサターンといった3Dポリゴンを扱えるコンソールが発売を迎えたほか、アーケードでは初代『鉄拳』や『バーチャファイター2』といった2大3D格闘ゲームがリリースされました。

1995年はデモリション・ダービーをテーマにした『ツイステッド・メタル』や『鉄拳2』、反重力レース『ワイプアウト』や3Dプラットフォームアクションの初期の例と言われる『ジャンピングフラッシュ! アロハ男爵ファンキー大作戦の巻』などフル3Dポリゴンのゲームが人気になった一方で、『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』や『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』など一部3D表現を用いた2Dアクションもまだまだ衰えてはいませんでした。

この年のホラーゲームはカットシーンを操作するような『Dの食卓』、2Dホラーアドベンチャー『クロックタワー』が発売されたほか、リバーヒルソフトによって開発され3DOで発売された本シリーズのフォロワー『ドクターハウザー』では背景までフルポリゴン化と、大きく進化を遂げました。しかしながら『バイオハザード』が発売される前の『アローン・イン・ザ・ダーク』三部作が、革新的な存在であったことは想像に難くありません。

高品質グラフィックで蘇る!『アローン・イン・ザ・ダーク ~新たなる悪夢~(Alone in the Dark: The New Nightmare)』

時は経ち、2001年に発売されたのが『アローン・イン・ザ・ダーク ~新たなる悪夢~』です。開発は『Cold Fear』『I Am Alive』などユービーアイソフト発売のホラーゲームで知られるDarkworks。PlayStation/ドリームキャスト版が中心に開発され、DC版をベースにPlayStation 2/Windowsなど他機種にも発売されました。日本でもPS/PS2版がカプコンより2002年春に発売予定でしたが(当時の報道)、最終的な日本語版はWindows版のみにとどまりました。

時代設定は2001年で、主人公は超常現象専門の探偵であるエドワード・カーンビーが謎の島「シャドーアイランド」を調査していた親友の訃報を聞きつけ、真相に迫るべく現地に向かいます。「あれ?カーンビー雰囲気変わったな?」と感じるかもしれませんが、本作のカーンビーは共通点はあるものの、設定上は別人となっています。

本作では人類学教授の女性、アリン・セドリックがもうひとりの主人公として据えられ、ダブル主人公制が復活しました。初代は主人公を変えてもプレイの大筋は変わりませんでしたが、本作ではカーンビーが二連式リボルバーを用いた銃撃戦・アクション中心のゲームプレイ、セドリックが初期状態で武器を所持していないためホラー・謎解き色の強い内容になっており、特に前半の流れは大きく異なる内容に。時折通信をしながら物語が進み、ライトを照らして敵を倒したり、重要アイテムを見つけたりといったシステムが特徴的です。

画像はDC版ベースのWindows(Steam)版ですが、グラフィックはすさまじく向上しました。プリレンダ背景に3Dキャラという描画方式は変わらないものの、美麗なライティングやキャラモデルにかなりの進化を感じさせます。グロテスク表現もあり、瀕死の人物の腕の断面が見えていたり、狂犬が化け物に肉を引き裂かれるプリレンダカットシーンがあったりと、強烈な表現がみられます。

頻繁に挟まる短い演出カットシーンや、体力表示が「状態」方式への変更、グロテスク表現の強調など『バイオハザード』シリーズからの影響もちらほらとみられます。本作発売までの間に『バイオ』シリーズは多数の続編をリリースしました。

実は本作は携帯機にも初進出しており、ゲームボーイカラー版が発売されています。操作キャラがカーンビーひとり、戦闘がエンカウント式で見下ろし画面になるという変わったシステムにはなりましたが、雰囲気がうまく携帯機に落とし込まれています。現在は、海外版「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」でプレイできます。

前作から6年という空白期間には、NINTENDO 64やドリームキャスト、PlayStation 2が発売されたほか、本作の発売後にもゲームキューブや初代Xboxの北米発売を迎えるなど、3Dゲームを取り巻く環境は大きく変化しました。

『ファイナルファンタジーX』や『METAL GEAR SOLID 2』『グランド・セフト・オートIII』『Halo: Combat Evolved』『デビルメイクライ』などなど今日のゲームシーンに多大な影響を及ぼした重大な年のひとつといえます。据え置き機では『大乱闘スマッシュブラザーズDX』や『風のクロノア2』など、2D的なメカニクスを採用したゲームでも3Dポリゴンを用いた作品が見られました。

この間のサバイバルホラーは、サイコホラーとしてスタイルを確立した『サイレントヒル』シリーズが評価され、2001年には『2』が発売。ジャンルのマイルストーンとして大きな名を残しました。他にもカメラで幽霊を倒すというユニークなシステムを備えた『零 ~zero~』も人気を集めました。

あの迷監督が手掛ける「アローン・イン・ザ・ダーク」(映画)

主にゲームで展開してきた本作ですが、実は映画も撮影され、2005年に公開されています。その名もズバリ、「アローン・イン・ザ・ダーク」。日本では日活が配給を担当しました。

本作の物語は、1万年前に姿を消したと言われる部族・アビカニ族の異物を手に入れたクリスチャン・スレーター演じるエドワード・カーンビーが、自分の身の回りでさまざまな怪事件が巻き起こることをきっかけに、真相を究明していくというあらすじです。

本作でメガホンを取ったのは、あの悪名高きウーヴェ・ボル監督。「ハウス・オブ・ザ・デッド」「ブラッドレイン」「POSTAL」「G.I.フォース(原題:Far Cry)」といったゲーム原作映画を多く手掛けた同監督ですが、そのほとんどが低評価というある意味伝説的な映画監督です。

本作においてもそれは例外ではなく、最低の映画を表彰するラジー賞では最低主演女優賞と最低監督賞の2つでノミネートされました。

賛否両論も、意欲的なシステムを取り入れた『アローン・イン・ザ・ダーク』(2008)

またまた時が飛び、2008年に再始動を果たしたのが本作です。オリジナル版開発は『V-Rally』シリーズや『テストドライブ アンリミテッド』シリーズなど、車のゲームを得意とするEden Games。PC/Xbox 360向けに開発されたほか、内容の異なるPS2/Wii版や前者のバージョンをベースに改善や追加要素を施したPS3版と、多岐にわたってリリースされました。

Steamストアページより

本作のカーンビーはまたしても別人……ではなく、1938年に悪魔によって封印された後、2008年に記憶喪失のままオカルト集団に悪魔祓いされて目を覚ますという驚きの経歴を持っており、初期三部作と同一人物ということになっています。舞台はニューヨークのセントラルパークに設定されています。

Steamストアページより

リアルなオブジェクトの物理演算や、スプレー缶とライターを組み合わせて簡易火炎放射器を作るといったアイテム同士の組み合わせシステムなど、最新技術をふんだんに使用したユニークなシステムを搭載しています。基本は三人称視点ながら、銃撃の際のみ一人称視点になるというカメラスタイルも特徴的です。一方ゲームの作りとしては、ストーリーがひとつなぎだったこれまでとは異なり、エピソード形式へと変更されています。

Steamストアページより

ユニークなシステムは評価されたものの、技術的欠点から批評家やユーザーからの賛否を巻き起こしました。しかし、発売から2ヶ月後時点で全世界120万本以上の売上を達成するなど商業的には成功したほか、改善が施されたPS3版はより高い評価を得ています。

2008年といえば、すでに世間はPS3やXbox 360の発売を迎えており、HDゲームの時代が到来していました。『グランド・セフト・オートVI』『Fallout 3』『METAL GEAR SOLID 4』といった次世代を感じさせるインパクトある作品が多数登場し、評価されてきました。

また、WiiやニンテンドーDSといったゲーム機も高い人気を博し、『マリオカートWii』などが全世界的にヒットしたほか、『Wii Sports』が継続的な売れ行きを見せます。これらのプラットフォームの人気は、本作がWii版を展開することになったことと無関係ではないでしょう。

サバイバルホラーとしては、2005年にシューターとしての完成度が高い『バイオハザード4』やバレットタイムが特徴の『F.E.A.R.』、2008年にCo-opシューターの金字塔『Left 4 Dead』、四肢切断というユニークなメカニクスを搭載した『Dead Space』が登場したことなどから、アクション性の高い作品が席巻します。

前作とは全く別の物語に…「アローン・イン・ザ・ダークII」(映画)

評価の低い映画に仕上がった映画第1作目ですが、2作目も製作されました。ウーヴェ・ボル氏は監督からプロデュースへとまわり、キャストやストーリーも一新されました。

本作の物語は、元魔女ハンターのアブナー・ランドバーグ(ランス・ヘンリクセン演)がかつての宿敵であった危険な魔女・エリザベス・デクスター(アリソン・ラング演)と対峙すべく、エドワード・カーンビー(リック・ユーン演)に協力を仰ぐところから始まります。

前作同様B級な出来のようで、こちらも評価はさんざん。一方、ゲームの『2』と同様、魔女という敵を扱っていることは興味深いです。

Co-opシューターへ変貌、しかしシリーズ最低評価に…『Alone in the Dark: Illumination』

アクション性の高いホラーゲームの潮流をさらに強く受けたのが、2015年発売の『Alone in the Dark: Illumination』です。開発は業界経験者が集ったスタジオ・Pure FPSが担当し、PCでのみ発売で、日本版は発売されませんでした。

本作の物語は、時系列的には2008年版『アローン・イン・ザ・ダーク』の続きとなり、バージニア州のローウィッチという町が舞台です。この町は炭鉱によって栄えた工業都市となりましたが、洪水による被害でゴーストタウンと化してしまいました。主人公たち一行は、それぞれ別の目的を持ってこの町の調査を行います。

ゲームデザインとしてはCo-op向けシューターとなっており、次々と現れる敵に銃で立ち向かいながら、ランダム生成される部屋やイベントを攻略していきます。当時から人気の根強い『Left 4 Dead』を始めとした、Co-opシューターに強く影響を受けていると考えられます。

「The Hunter」こと、セオドア・“テッド”・カーンビー

本作の操作キャラの中には、セオドア・“テッド”・カーンビーやサラ・ハートウッドといった、初代に登場した2人の主人公の直系の子孫という設定の人物が加えられています。オリジナルキャラも行方不明の炭鉱夫の父を探す女性、ローウィッチの調査に派遣されたカトリック神父などが登場します。

2015年はPS4/Xbox One/Wii Uなどがすでに発売を迎えており、ゲームは多様の一途をたどります。『ウィッチャー3』『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』『Fallout 4』『Bloodborne』など大手発売の作品が多数発売されたほか、『Undertale』や『Nuclear Throne』といったインディーでも高く評価される作品が当たり前に登場していた時代です。

そんな中、本作は残念ながらMetacriticでは19点とかなりの低スコアを記録します。いくつか面白い試みは見られるものの、ほとんどの要素がうまくいっておらず、アルファ版のような出来だと散々な評価に……。名シリーズに泥を塗ったことに対する怒りを表明するようなレビューも多くみられました。

本作の不振や低評価もあってか、発売3年後には2008年版から発売を担当していたAtariからTHQ NordicへとIPが移行。ここで一旦シリーズの幕が下ろされることになります。

復活前夜。期待感を高めてくれるデモ版『Grace in the Dark(Alone in the Dark: Prologue)』

本シリーズが再度のリブートを果たす復活前夜、2023年に本作のデモ版として『Grace in the Dark』が無料でリリースされました。このデモは約10分ほどとかなり短いプレイ時間ではありますが、本作のグラフィックの美しさや操作の仕上がりなどを体験できます。

本作の主人公はタイトル通りグレイス・サンダースで、ジェレミー・ハートウッドから頼まれてエミリー・ハートウッド宛に手紙を送るという内容です。ある意味『Jack in the Dark』のリ・イマジネーション版と言えるのかも……!?

ついに復活を果たす『Alone in the Dark』

『アローン・イン・ザ・ダーク』シリーズは、ジャンルを打ち立てたという偉大な功績を持っていながらも、時には大きなジャンル変更も厭わないほどの挑戦を繰り返してきたフランチャイズです。全てが成功したとは言えないものの、その功績は偉大でしょう。

そしてついに復活を果たすのが、3月20日発売の『Alone in the Dark』です。本作は初期シリーズの雰囲気をベースにした「リ・イマジネーション」作品になっており、エドワード・カーンビーとエミリー・ハートウッドのダブル主人公が復活。現代の基準で描かれるグラフィックやサウンドをもって、より不気味で美しく仕上がったデルセト屋敷を楽しめます。物語はリセットされていますが、初期シリーズのファンにとっては理想的なリブートと言えるのではないでしょうか。

謎解きはもちろんたっぷり楽しめるほか、アクションも現代の基準に即したものに進化しました。ユニークなサブキャラクターもたくさん登場するほか、日本語吹き替えにも対応しています。

『バイオハザード RE』シリーズや『The Last of Us』シリーズなど、この30年で培われたサバイバルホラーへのリスペクトを感じさせつつ、『Alone in the Dark』ならではのテイストで味付けした作品に仕上がっており、ジャンルを熱心に追うファンはもちろん、ホラーゲームに興味があるゲーマーにもおすすめできる作品となっています。ぜひ、3Dホラーの原点・『アローン・イン・ザ・ダーク』の新たな第一歩を体験してみませんか?


『アローン・イン・ザ・ダーク』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けで3月20日に発売予定です。

なお、デジタルデラックスエディションにはサントラやディレクターのコメンタリー、そして初期シリーズのような見た目に変更できるスキンや画面フィルターなどが付属します。懐かしさ満点のスキンでプレイしてみるのも、また面白いかもしれませんね。

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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《みお》

超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

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