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アメリカはやっぱり「Xbox優勢」の国? 現地ゲームショップGameStopに突撃!【アメリカ渡航レポート】

土地が変われば人々の感性も変わります。

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土地が変われば人々の感性も変わります。この度ロサンゼルスに渡航した筆者は、様々なものを目の当たりにしました。その中でも現地のゲームソフト小売店「GameStop」の様子は、ゲームメディアで筆を執る者としては非常に考えさせられることがあります。

一言で言えば、日本とはゲーム事情が全く異なるのです。

日米それぞれの市場の様子を知ることで、新しい発見を見出すことができます。本記事ではGameStopの店内の模様と同時に、ロサンゼルスではどのようなゲームがプレイされているのかを考察したいと思います。

Xboxコンソールの存在感

日本は以前から「特殊なゲーミング環境」と言われることがあります。

それは日本のメーカーが魅力的なタイトルやハードを輩出している証拠でもありますが、一方で「どのようなジャンルのゲームが流行っているのか」「どのメーカーのハードが普及しているのか」という点で、小さくない温度差も見られます。

どのような分野にしろ、相互理解は「温度差の認識」から始まります。さて、筆者はとある取材の合間に地元のショッピングモールに足を運び、GameStopの店舗を覗いてみました。まず目に飛び込んだのは……。

出入口に隣接するように、Xboxコーナーが設置されています。ここからして、既にアメリカらしい光景です。日本では特に洋ゲーが好きな方が所有しているイメージの強いXboxコンソールですが、アメリカではPSコンソールと肩を並べています。

『アサシン クリード ミラージュ』や最近発売された『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』も販売されていますが、アメリカンフットボールのゲーム『Madden NFL 24』も並んでいます。日本ではマイナーな競技で、しかも某大学の運動部のせいで良くないイメージがついてしまったアメフトですが、アメリカでは野球やバスケットボール、アイスホッケーに並ぶ大人気スポーツ。アメフトを題材にしたゲームも、もちろん数多くあります。

ニンテンドースイッチは「『マリオ』と『ゼルダ』をプレイするためのハード」

あくまでも筆者の印象ですが、GameStopの店内ではXboxとPSが拮抗しているようです。その一方、第三の勢力としてやや低い位置から上を眺めているのがニンテンドースイッチ。

アメリカではニンテンドースイッチは「『マリオ』と『ゼルダ』をプレイするためのハード」というイメージが根強いらしく、陳列の仕方も『マリオ』を前面に押し出しています。『『マリオ』VSドンキーコング』や『プリンセスピーチ Showtime!』のプレオーダーも受け付けていました。

それに比べると、日本で大人気の『スプラトゥーン3』はかなり影の薄い存在です。もちろんソフトの取り扱いがないというわけではないのですが、『マリオ』や『ゼルダ』と比べるとややマイナーなタイトルになるかもしれません。

逆に言えば、アメリカでも『マリオ』と『ゼルダ』は大人気ということでもあります。

たとえば去年5月に『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』が発売された際は、ニューヨークの任天堂オフィシャルショップにファンが行列を作ったということもありました。YouTubeでも、数多くのアメリカ人ゲーム実況者が『ゼルダ』シリーズをプレイしています。

XboxとPSの二大巨塔を見据えつつ、『マリオ』と『ゼルダ』で着実にファンを取り込んでいるニンテンドースイッチ。端的ではありますが、これがアメリカのゲーム事情のようです。

ラインナップに日米間の大差なし

今回のGameStop訪問を通じてもうひとつ感じたのは、「ラインナップ自体に大きな差はない」ということ。

先ほど述べたのはあくまでも「現地ではどのようなゲームが人気か」ということで、棚に陳列されているゲームのほとんどは日本のショップでも見かけることができます。ニンテンドースイッチコーナーのラインナップを見たときの安心感、これをどう文章にすればいいのか分からないほどです。なんだ、日本で売られてるのと大差ないじゃん!

それは「ゲームは国際言語」ということでもあります。

40代以下の日本人で『マリオ』を一度もプレイしたことのない人は、あまりいないでしょう。そのあたりはアメリカ人も同様で、それ故に日本人と共通の話題で盛り上がることができます。

それを裏付ける出来事がありました。

ロサンゼルス市内の移動は、外国人観光客の場合は専らUberを使います。筆者もその例に漏れずUberで車両を呼び、乗車しました。するとその運転手が、YouTubeでゲーム実況動画を配信しているらしく「チャンネル登録よろしく」と呼び掛けていたのです。

オルデッタさんは4,000回以上も五つ星評価をもらっている優秀なライドシェアドライバーであると同時に、『マリオ』や『ゼルダ』やカービィのプレイ動画を積極的にライブ配信している任天堂マニア。筆者が「私は日本のゲームメディアのライターです」と自己紹介すると、ゲームの話題で大いに盛り上がりました。

英語が話せなくても、カタコトの単語と翻訳アプリを使いながら『マリオ』や『ゼルダ』の話で仲良くなることができます。日米の間では「ゲームによる国際交流」の土壌が完成されているのです。それは戦争のない平和な世界を構築する上で、最も重要な要素ではないでしょうか。

現代の「ノームとアラン」

実はこの取材の直前、筆者はロサンゼルス中心部リトルトーキョーにある全米日系人博物館を見学しました。19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカに移住した日本人は、奴隷に近い労働条件を強いられながらも少しずつ富を蓄え、アメリカ社会に影響力を及ぼすようになります。しかし1941年の太平洋戦争勃発を機に、アメリカ本土の日系人は全財産没収の上で強制収容所に移送されます。

開戦当時10歳だったノームという日系人少年は、家族と共にワイオミング州のハートマウンテン強制収容所に送られます。市民権を剥奪された苦しい生活の中、ノームは収容所の慰問にやって来たボーイスカウトの白人少年アランと知り合い親友になります。

数十年後、ノームことノーマン・ミネタは民主党の下院議員として、日系人の強制収容を謝罪する「市民の自由法」制定に奔走します。しかし、保守派を中心に市民の自由法に反対する声が巻き起こり、中には「強制収容所など存在しなかった」という人まで登場します。それに対して「私はこの目で強制収容所の実態を見た!」と反論したのは、共和党の上院議員になったアラン・コーイ・シンプソン。ノームの親友のアランです。

ノームとアランの絆は、市民の自由法制定の決め手になりました。ロナルド・レーガン大統領が署名した原本が、全米日系人博物館に展示されています。

今よりも人種間の格差が大きかった時代にも、こうした友情物語がありました。ゲームという交流ツールが確立した今、画面を通じて最強の絆を育むノームとアランが何百人、何千人、何万人と存在するはずです。

「ゲームは世界語」であることを再確認した今回の取材でした。

(提供:エレクトリック・アーツ)


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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