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『RimWorld』火星探査は地質が重要!硬さも性質も千差万別、世界遺産にみる石材の特性【ゲームで世界を観る#50】

石材は人類と宇宙の歴史を教えてくれます。

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『RimWorld』火星探査は地質が重要!硬さも性質も千差万別、世界遺産にみる石材の特性【ゲームで世界を観る#50】
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『RimWorld』では建物に使える資材として石材が登場します。砂岩、石灰岩、大理石、粘板岩、花崗岩の5種類があり、それぞれ加工する硬さや地域の分布が異なります。人類の歴史にも欠かせない建材で、自然と人工、両方でユニークな造形の世界遺産が数多く存在します。それぞれの岩石にはどんな特徴があるのでしょうか?まず、岩石は生成過程に於いて3つのカテゴリーに分けられます。

火成岩

地下のマグマや地上に噴出した溶岩が冷えて固まったもので、岩石のできる過程に於いて最も基本となるもの。宇宙空間に於いては最も普遍的な岩石と言えるでしょう。

堆積岩

風化や浸食によって砕けた砂などが圧力によって固められたもの。地球上では主に湖や川、海底に沈殿した泥砂が積み重なってできるもので、柔らかく脆い性質のものが多いです。

変成岩

一度できた岩石が再び圧力や熱を受けることで、違う性質に変化した岩石。マグマの移動や地質の圧縮が起こったことを示しています。

これに基づき分類すると、花崗岩は火成岩、砂岩と石灰岩は堆積岩、粘板岩と大理石は変成岩になります。基本的には堆積岩が柔らかく加工しやすい、火成岩と変成岩が硬くて上部という傾向です。

花崗岩はマグマがゆっくりと冷えて固まった火成岩で、山岳まるごとの巨大な一枚岩を形成することがよくあります。花崗岩は「節理」という縦横に直線的な割れ目ができる特性があり、地上に隆起して風化すると、刀で切り落としたような断崖絶壁の地形になりやすいです。耐久性は抜群で風化のスピードが遅く、重厚な壁として城の石垣としてもよく利用されます。

中国の三清山国立公園は花崗岩の作り出す絶景から霊山と見做され、道教の修行の場となっています。

砂岩は山岳から削られた砂が溜まった場所でできるため、三角州や海岸線付近だった場所で形成されます。石材としてはかなり柔らかく、加工のしやすさから鉄のない古代から世界中で利用されてきました。刃物を研ぐ砥石としても優秀です。その反面劣化しやすいため、風雨によってひび割れや風化が起こりやすく、維持するのがやや大変です。

「インディージョーンズ」の撮影に使われたヨルダンのペトラ遺跡は、巨大な砂岩の一枚岩から削り出された建物です。

粘板岩は砂岩より細かい泥が固まった「泥岩」がさらに圧力を受けて固まったもので、別名「スレート」と呼ばれる石材です。板状に割りやすい特性があり、目が詰まって水を通しにくいことから、東京駅の黒い屋根など屋根材として現在もよく使います。イタリアの「アルベロベッロのトゥルッリ」では、普段は瓦のように積んで屋根にしているのを、徴税の役人が来るときにはさっと外して、住居に見えなくすることで税金逃れをしていました。

石灰岩は生物が作った岩石とも呼ばれ、巨大な珊瑚礁や小さな微生物の死骸が海底に堆積することで生成します。主成分である炭酸カルシウムは生物の骨や外殻、貝の殻として作られるため、その場所には必ず生き物がいた、地球では海の底であったと分かるのです。石灰石は成分が水に溶けてしまうため、地下水が流れ込むと巨大な鍾乳洞になります。さらに流れていった先で固まると棚田のような地形ができます。

トルコの温泉地域であるパムッカレは石灰棚が美しく、地下から湧き出す温水が石灰石の地質を通り、地上で固まった石灰の成分が重なってできた地形です。古代ローマ時代から湯治場としても利用されてきました。

大理石は石灰岩がマグマの熱に触れてできたもので、加工がしやすい柔らかさと、結晶化で磨いたときの美しさが両立した石材です。耐久性の面ではやや弱いですが、細かい彫りがやりやすいため装飾や美術品には最適です。ギリシャやミケランジェロの彫刻は人物の存在感がリアルに再現されていますね。

総大理石でできた世界遺産と言えば、シンボルマークにもなったギリシャのパルテノン神殿と、インドのタージマハルが有名ですね。白の美しさは年代を経ても変わることはありません。

舞台は地球と異なる系外惑星ですが、地球の地質学は宇宙でも広く共通するものと考えられており、今火星や小惑星で行っている岩石のサンプル採取は最も重要な調査となっています。火星の探査で最も注目されているのが堆積岩のカテゴリーです。風が削った砂が積もってできたものもありますが、液体の水でなければできない特徴の砂岩が既に発見されています。この中から有機物も検出されているので、生命存在の可能性を探る上で砂岩が注目されているのです。

石ひとつを見るだけで土地がどのように形成されたのかを知ることができ、初代はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの塵すらも、太陽系40億年の歴史の手がかりになります。身近で拾った小石から、是非地質学的な想像を膨らませてみてください。


《Skollfang》

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