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初心者に向けての配慮は?オープンワールド採用で引き立てられた魅力は?発売目前の『ディアブロ IV』のあれこれを訊いた【合同インタビュー】

様々なハクスラ系ゲームが溢れる中、『ディアブロ IV』はどの点が優れているのか?など踏み込んだ質問も。

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初心者に向けての配慮は?オープンワールド採用で引き立てられた魅力は?発売目前の『ディアブロ IV』のあれこれを訊いた【合同インタビュー】
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2023年6月6日、ハクスラアクションRPGの金字塔である『ディアブロ IV』がBlizzard Entertainmentよりついにリリースされます。

2019年の初発表以来、幾度かのテストやメディア向け先行プレイ、インタビューなどが行われてきましたが、おそらく発売前最後と思われるメディア合同インタビューが開かれました。本稿では、そこからわかった内容をお届けします。


ロッド・ファーガソン/『ディアブロ』フランチャイズ代表

ジョセフ・ピエピオラ/『ディアブロ IV』アソシエイトゲームディレクター

――『ディアブロ IV』の完成、おめでとうございます。それと同時に、シリーズファンとしてありがとうございます!発売を直前に控えた今の率直な感想を教えてください。

ロッド・ファーガソン(以下、ロッド)興奮して眠れないほど楽しみな状態です!本作が発表されたのは2019年、発表から約4年もの時間が経ちました。自分が大好きだったゲームに関われるという本当に稀なケースに恵まれて(※注 ファーガソン氏はThe Coalitionなどで長年『Gears of War』シリーズに携わり、2020年にBlizzardに移籍した)、ずっと楽しんで開発を続けることができました。

上位エディション購入者向けの先行アクセスがもうまもなく解禁されますが、プレイヤーに早く触ってもらって、反応を見たいです。各ゲームメディアさんからのレビューも届いており、その内容やスコアもどんどん入ってきている状態なので、それをニヤニヤしながら見ています。発売が待ちきれないですね!

――初代『ディアブロ』が登場して以来、ゲーム業界には数多くのハクスラ系ゲームが登場しています。そんな中、本作が持つ特に優れた点や強みはどこにあるのでしょうか。

ジョセフ・ピエピオラ(以下、ジョセフ)『ディアブロ』シリーズは25年以上の長い歴史を持っています。その中の各ナンバリングタイトルで培った良い点をまとめあげ、本作のゲームプレイに落とし込んでいます。

初代『ディアブロ』。画像は日本語PS版。
『ディアブロ II リザレクテッド』オリジナルモードのスクリーンショット。

例えば初代『ディアブロ』からは、ダークファンタジーな世界設定や、閉所恐怖症の人が怖がってしまうかもしれないような恐ろしいダンジョンに潜るというゲームプレイを踏襲しています。『ディアブロ II』からはビルドシステムや、アイテムをどんどん探して自分を強化していくというコアなゲームプレイの部分を今回はさらに強化しています。

『ディアブロ III』。画像はストアページより引用。

そして『ディアブロ III』からはアクションやコンバットの気持ちよさという部分を抜き出して本作に入れているので、過去3作品すべての要素を兼ね備えた集大成的な作品といっても良いのではないかと思います。加えて、本作での新しい要素としてオープンワールドを採用し、プレイヤーが自由に遊べるという点に力を入れて開発したため、本作の世界をどっぷり楽しんでいただけるはずです。

――長い歴史を持つ中で、ゲーム業界やゲームジャンルにも変化が訪れていると思います。過去作の開発スタンスと比べて、『ディアブロ』というものをどう作っていくべきか、業界内でどういう存在であるべきかといったスタンスへの変化はありましたか。

ロッド初代『ディアブロ』は悪魔を題材にしていることもあり、とてもダークな作風になっています。そのため、当時は自分の親にプレイしていることを隠すレベルで後ろめたいものになっていたと思います。しかし25年経った今、「ウォーキング・デッド」や「ゲーム・オブ・スローンズ」といった作品が人気を博しており、ダークなトーンのコンテンツは一般に受け入れられやすいものになったと感じています。

ジョセフ本作ではストーリーを見せるという意味でもかなり注力しています。このシリーズでは天使と悪魔、天国と地獄の争いという題材を描いてきましたが、今回のストーリーはそれをメインに据えているので、ちょっと言葉は悪いのですが……結構苦しみながら作りました。

今回は、過去作にはしっかりと出てこなかった「リリス」「イナリウス」という2大キャラクターがストーリーのメインになっています。そのため、天使対悪魔の争いにいい意味でしっかりと巻き込まれながら個人の視点からストーリーを見ることができるというのは、今回の目玉と言えます。

制作体制の変化としては、20年ほど前と比べるとライブサービス型のゲームに近づいているのが一番の大きな違いでしょうか。ローンチがスタートラインになっているので、完成してもデイワンパッチや次のアップデート、拡張パックなどのことを考えなければなりません。

そのため、必然的にチームのサイズもかなり大きくなっています。昔は出したら一旦終わりで手を加えることができなかったので、チーム全員が休暇を取って旅行に行ったりしていました。

――『ディアブロ IV』はシリーズ初のオープンワールドということですが、一緒にプレイするプレイヤー間でレベル差がある場合、モンスターの強さはどうなるのでしょうか。

ジョセフ相手のレベルが高くても低くても、自分と同じレベルのプレイヤーと一緒に戦っているような感覚になります。レベル10のプレイヤーとレベル50のプレイヤーが外に出た場合、モンスターのレベルはプレイヤーごとのレベルに合わせたものになります。そのため、レベル50のプレイヤーが攻撃してもレベル10の視点で大きく削られているということはありません。レベルが高いプレイヤーが低いレベルの人とプレイして敵を一瞬で倒してしまったり、反対に低いレベルのプレイヤーが何もできないというような状況は避けました。

本作は孤独な旅の楽しみにフォーカスしているのですが、オープンワールドを採用した時点で他のプレイヤーにあった時にウザがられないというのも大事にしようと考えました。本作は同時接続やクロスプレイもサポートしているので、すべての意味で様々なプレイヤーと一緒にプレイできます。孤独感・閉鎖感があるゲームプレイの中で、他のプレイヤーに会うことがちょっと嬉しいと感じてほしかったので、このような調整になっています。

ロッド普通のMMOやRPGであればスタート地点のエリアはモンスターが低レベル向けの強さになっていて、高レベルになったらもうほとんど戻らないという状態になってしまうんです。しかし本作ではオープンワールドを作っている以上、戻らないエリアがあるという状況は避けたいと考えていました。そのため、どんなにレベルが上がったとしてもすワールドの各地に行く理由があって、いってもしっかりと楽しめるという作りになっています。

ひとつ補足しておくと、エリアの最後にはキャップストーンダンジョンというものがあり、このダンジョンは奥に待ち構えるボスを倒すことで次のワールドに行けるという構成になっています。こういったものはレベルが一定に定められているので、レベル差による調整は入りません。

――オープンワールドを採用したことによってこのシリーズが持っていた魅力や特色が損なわれるのではないかといった心配はあったのでしょうか。また逆に、オープンワールドを採用したことでより引き立てられた魅力などはあるのでしょうか。

ジョセフ初代と2はゲームの展開が1本道になっていて、どんなプレイヤーが遊んでもほとんど同じ展開になってエンディングを迎えるという作りになっていました。本作はオープンワールドでプレイヤーに自由な選択肢を与えるということをコアにしてはいますが、あまりやりすぎてしまうと過去作プレイヤーは違和感を感じてしまうと思いますので、ここのバランスはかなり慎重に作りました。

『ディアブロ』のゲームプレイにおけるコア部分は一本道ではなく、モンスターをガンガン倒して強いアイテムを手に入れて、自分を強くしていくという流れだと思います。これをオープンワールドでもしっかりと楽しませるというのが重要な点でした。

過去作プレイヤーのゲームプレイを見ていると、どちらかというと「どれだけ早くモンスターを倒して、どれだけ早くアイテムを掘れるか」というような効率化を重視したものになっていたので、あまり楽しいゲームプレイができていなかったんじゃないかと感じていたりします。この部分をもう少しナチュラルにゲームプレイに盛り込めたらいいなと考えており、別のキャラクターを作っても同じことを繰り返させるのはやめたいと考えました。

例えば本作にはリリスの祭壇という見つけたら嬉しいものがあるのですが、違うキャラで2週目を始めた際にこれをもう1回探さなければならないというのはあまり良い体験ではないと思いました。そのため、2キャラ目以降はこれを探す必要はなく、すでに開放された状態になっています。「同じことの繰り返しをいかに効率よくやるか」という部分は削減し、プレイヤーにはまず第一に、オープンワールドの冒険を楽しんでもらうということを念頭に開発してきました。

――私はハクスラ初心者で『ディアブロ IV』から本格的に挑戦してみようと思っていたのですが、先行プレイさせていただいた範囲ではすごく難しい、すごく分かりづらいといったハードルが少なく感じました。本作からこのジャンルに挑戦する初心者に向けて、配慮した点などはありますか。

ジョセフハクスラ初心者が問題なくプレイできるというのは我々が望んでいる反応でした。ありがとうございます!

開発初期の時点から、コントローラーとマウス+キーボードで操作するということは決まっていたので、どんなプレイヤーでもすんなり入っていけるようなベース作りをしようと心がけてきました。初心者であっても、ストーリーやゲームの流れを通じて新しい情報を学んでいくというのは我々が目指していたところです。

最初はシンプルなファイアボールなどのスキルを学んで戦って、レベルが上がっていくごとに新たなスキルや成長の選択肢が解放されていきます。それにつれて、ゲームプレイの部分でも新しいことを覚える場面が入ってくるようになっていくという、徐々にプレイヤーに新しいものをみせて少しずつ学ぶという作りを根本から行っています。

ロッド本シリーズは歴史が長いですから、4というナンバリングがついているところで「1から3やってないからいいかな」となってしまうかもしれませんが、全く心配はありません!メインストーリーに関しては100%楽しんでいただけるものになっていると思います。

一方で完全に過去作と切り離されているわけではないので、ファンにとっては世界のつながりを感じるものを見つけられるでしょう。例えば、メインキャラのひとりである「ロラス」というキャラがいるのですが、彼は『ディアブロ III』から登場しているキャラです。

オープンワールド部分に関しては、洞窟の中で目覚めて、そこからもうオープンワールドを自由に楽しんでください!という作りにしてしまうと、初心者は何をしていいか全くわからない状態になってしまいます。そのため、最序盤のレベル1から5のあたりまでの行動はほぼ計算済みで、様々なものを学びながらエンジンをかけてもらうパートになります。

開発チームの間では「学ぶこと自体は簡単だけれど、マスターするのは難しいゲーム」と言われています。そのため、初心者から上級者まで幅広いプレイヤーに楽しんでいただけます。

また、障がい者向けのアクセシビリティオプションも搭載しているので、そういった意味でも様々なプレイヤーに楽しんでいただけるようになっています。

――これまでに行われた3回のベータテストの中で、国ごとのプレイヤーの振る舞いや特徴の違いなどは出ているのでしょうか。

ジョセフ一般的なフィードバックとしてはバランスやレジェンダリーアイテムに関するものでしたが、日本からのフィードバックとしてはローカライズに関するものが多かったと思います。内容としてはもうちょっと詳しく知りたい、今の説明では物足りないというようなものが挙がっています。

本作は17の言語にローカライズされていますが、もちろんすべての言語で同等のローカライズ品質になっているとは考えていません。そのため、ゲームを運営していく中でアップデートでより良いものを作っていきたいと思っています。

加えて、ビルドメイキングに関してのフィードバックも多く受け取っております。リリースされたものは最終的なものではないので、こちらもたくさんのフィードバックをもらって、プレイヤーと開発が協力してより良いものを作っていくという旅になるのではないかなと思っています。

サーバースラム(発売前最後のテスト)で多かったフィードバックとして難易度が高いというものがあったのですが、このテストではレベルキャップが20に設定されていたことが主な理由だったのではないかと思います。

レベル20は、製品版で考えるとクラスごとのシステムやメカニクスを解放しきっていない状態です。プレイヤーがまだ経験していないレベル25以上からまたがらりとゲームプレイが代わり、クラスの真の姿が見えてくると思います。リリース時にはレベルキャップはなくこれらの要素が開放されているので、開発チームとしては反応やバランスを見ながらパッチでゲームを磨いていきたいと考えています。

――サーバースラムにて「アシャバ」というワールドボスに何度か挑ませていただいたのですが、爪の一振りでプレイヤーが3,4人死んでしまうほどの段違いの強さを見せつけられました。10人集まれば倒せるかも知れないけど、タイミングによっては3人しか集まらなかったというような場面もあると思うのですが、そういった場合でもワールドボスは倒せるような設計になっていますか?

ジョセフ結論から言えば、アシャバに関しては1対1でも倒せます。……ただし、限りなく難しいですが。先ほどもお伝えしましたが、サーバースラムではレベル20までというレベルキャップが付けられていたのに対し、アシャバのレベルは25に設定されています。

これは超強力なアシャバに戦ってほしいという意図のもと設定しましたが、製品版ではこうはならず、適切なレベルで戦えます。ただ、この不利な状態でもソロでアシャバに勝った猛者プレイヤーはいたので、レベルキャップがあったとしても勝てるようにはなっています。

ローンチ後はスキルや新システムなどが開放された状態になっていてアイテムもたくさん入っているので、プレイヤーの方も準備満タンで挑めます。プレイヤーのマッチメイキングに関してもサーバースラムやオープンベータでは人が少ない状況はありましたが、製品版ローンチ後はもっと桁違いにプレイヤーが入ってくるとみられるので、一緒に挑む人数が少ないということは稀な状況になるかと思います。

――最後に、日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

ジョセフ日本でのロンチを非常に楽しみにしています!『ディアブロ』シリーズ自体やハクスラARPGというジャンルはまだ日本のプレイヤーは慣れていない人も多いかと思いますが、ゲームプレイの楽しさには絶対的な自信を持っているので、ぜひ手にとって楽しんでみてください。日本のプレイヤーがどのような反応を示してくれるのか、こちらも楽しみです。

ロッド「IV」というナンバリングがついてはいるのですが、ゲームの作りとしては入りやすいものになっているので、ぜひ怖がらずに足を踏み入れてほしいなと思います。日本のRPG好きなプレイヤーたちが『ディアブロ』という長い歴史を持つダークファンタジーRPGにどういう反応を示すかというのは本当に楽しみで、早く見てみたいです。皆さんぜひぜひ、プレイしてみてください。

――ありがとうございました。


『ディアブロ IV』は、PC(Battle.net)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けで2023年6月6日に発売予定です。


《みお》

超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

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