「G502 X」から見えるロジクールG・ゲーミングマウスの未来とは――。Logitech Internationalショートインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「G502 X」から見えるロジクールG・ゲーミングマウスの未来とは――。Logitech Internationalショートインタビュー

G502 Xから見えるLogicool Gマウスの未来。Logitech Gショートメールインタビュー

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発表会には株式会社ロジクール クラスターカテゴリーマネージャー 伊達 Matt 玄四郎氏、マインクラフトのプレイ動画で知られる雨栗氏が登壇

去る2022年10月27日、Logitech Internationalの日本法人である株式会社ロジクールより、「G502」シリーズの上位モデルとなる「G502 X」シリーズが発表されました。“ICON REINVENTED”のキャッチコピーと共に待望の日本上陸を果たした本機は、ロジクール曰く“全世界で最も売れたゲーミングマウス”であり、国内外問わずファンも多い「G502」に時代のトレンドに沿った改良を加えたモデルです。


ただただ「軽い!」と感じたあの日。今では筆者の相棒となりました

ワイヤレスの「G502 X PLUS」、ワイヤレスの「G502 X LIGHTSPEED」、ワイヤードの「G502 X ゲーミングマウス(本機種のみ、以下“G502 X”)」のラインナップを揃え、すべてのモデルでブラック・ホワイトのカラーバリエーションを展開するなどのトレンドを抑えつつも、やはり大きなポイントは、デザインの一新、軽量化、メカニカルとオプティカル双方の特徴を併せ持つ新型スイッチ「LIGHTFORCE」の搭載、ワイヤレスモデルに搭載される「LIGHTSPEED」のアップデートといった技術面にあるでしょう。その上で、G502が築いた「クセが強いけどハマる人には最高のマウス」という確固たる“ICON”を継承しつつ、“REINVENTED”を果たしたG502 Xシリーズ。この記事を読んでいる方にも、そのユーザーが数多くいらっしゃるのではないでしょうか。

Game*Sparkでは過去に3モデルのテスト・検証を行っていますが、テストの最中にいくつかの疑問が浮かび上がり、その開発意図や経緯について“G502 Xの開発チーム”へと質問を投げかけました。ここからは、Logitech Internationalに伺った「G502X」独占インタビューの模様をお届けします。


――G502 Xシリーズを開発するにあたり、どのような目標を掲げましたか。

Logicool G製品担当者:G502の上位モデルとして、「G502のユーザーの満足している点を損なうことなく、ゲーミング体験をさらに向上できるモデル」として満足度のさらなるアップを目指しました。G502はすでに定評のある、世界で最も多く売れたゲーミングマウスです。それ以上のゲーミング体験を提供するために、何が今のゲーマーに必要とされているのか、どこが愛される機能として求められるのか、多くの研究、調査の時間を費やしました。その努力の甲斐もあり、より多くのゲーマーに愛されるゲーミングマウスに仕上がったと思います。

――目標実現のためにどのようなアプローチを取りましたか。

Logicool G製品担当者:我々は人を中心としたデザインにより、より良いギアを提供しています。「今、多くのゲーマーが何を必要としているのか」に耳を傾けるアプローチを取りました。

――開発にあたり、ユーザーのフィードバックはどの程度参考になりましたか。また、どのようなフィードバックが多く寄せられましたか。

Logicool G製品担当者:特定のモデルやケースについて回答はできませんが、我々は常にユーザー、ゲーマーの声を傾聴しています。フィードバックは我々にとって非常に大切です。

G303 SHROUDに続きUSB-TypeCポートが装備。これもコミュニティから多く声が上がっていた部分でしょう

――2014年からの長年に渡り、アップデートを続けながら、LogitechGの主力製品ともなっている「世界で最も売れているゲーミングマウス」G502の上位モデルとあり、開発には相当なコストが費やされていると思います。象徴的なエピソードがあれば教えてください。

Logicool G製品担当者:コストに関する回答はできませんが、すでに多くのユーザー、コミュニティに支持されている製品をさらに昇華させるには、強いプレッシャーもありました。ですが、これまでのコミュニティの反応や市場のトレンドなどを総合的に判断し、G502 Xはユーザーにとってより良い体験を提供できる傑作と認識しています。もちろんこれが最後のゴールと言うわけではなく、我々は今後もゲーマーたちを中心とした、ユーザーに寄り添った製品を開発していきます。

――G502Xシリーズの外観はG502を踏襲しつつも、全体的にエッジが取れた印象を受けます(日本ではG502シリーズをクワガタムシと呼んだりします)。このようなデザインへと変更されたのはなぜですか。

Logicool G製品担当者:ゲーミングマウスは重量といった数字で現れるスペックはもちろんですが、毎回、日常的に使うものです。これはマウスに限ったことではありませんが、ユーザーに愛されるデザインである必要があります。さまざまなトレンドを取り入れ、このデザインの採用に至っています。

確かにクワガタムシっぽいG502

――G502の特徴でもある複数のボタンですが、G502XはG502と比較して、全体的に面積が拡大され、押しやすくなっている印象を受けました。順当な進化を遂げている面だと思いますが、どのような経緯で拡大が行われましたか。

Logicool G製品担当者:コミュニティのトレンドや、直接ユーザーから頂戴するフィードバックに基づき開発しておりますが、詳細については非公表とさせていただいております。

――G502シリーズと比較し、ワイヤレスモデルで最大約14g軽い約99.7g(G502X LIGHTSPEED)、ワイヤードモデルで約32g軽い約89gと、特にワイヤードモデルの軽量化には目を見張るものがあります。どのような設計、改善でこれを実現していますか。

Logicool G製品担当者:G502 Xはすべてのモデルで内骨格設計(エンドスケルトン)を採用しており、外殻でマウスにかかるストレスと重量を支えることで、内部をよりシンプルな設計にしています。そのため、G502 XとG502ワイヤードモデルを比較すると、設計段階でG502 XはG502有線モデルよりもはるかに軽量であり、スクロールホイールに軽量素材を用いるなど、より大きな軽量化を果たしました。反面、G502 Wirelessは、すでに内骨格設計をとっていました。このような経緯があるため、G502 Xのワイヤードモデルの重量はワイヤレスモデルよりも大きく軽量化されているように見えますが、ワイヤードモデルがワイヤレスモデルと異なる構造というわけではありません。

――G502ではワイヤレスモデルの方が軽いスペックでしたが(G502 HERO/121g、G502 LIGHTSPEED/114g)、G502Xではそれが逆転しています(G502X Gaming Mouse/89g、G502X LIGHTSPEED/99.7g)。LEDを搭載したG502 X PLUSはともかく、LED非搭載同士のモデルで、このような現象が起きているのはなぜですか。

Logicool G製品担当者:先の通り、G502ワイヤードモデルとG502ワイヤレスモデルは形状こそ似ていますが、内部的には全く異なるマウス設計です。そのため、バッテリーを搭載していてもワイヤードよりワイヤレスの方が軽かったわけですが、G502 Xはすべてのモデルが内骨格設計を採用しております。そのため、バッテリーを搭載しなければならないワイヤードモデルの方が、重量は重くなっています。通常、ワイヤードとワイヤレスではワイヤレスの方が重くなりますが、G502の時が例外であったと考えていただければ幸いです。

シリーズ内で最軽量をマークするG502 X ゲーミングマウス。筆者の手元にある個体は85g(参考値)

――G502シリーズの特徴でもあったウェイト(重り)の追加機能はオミットされました。どのような理由でオミットしましたか。

Logicool G製品担当者:ウェイトを装着するスペースを作るだけで重量が増加します。様々な要望をコミュニティから頂戴していますが、全体的には「重くしてほしい」「バラストを使用している」よりも「軽くしてほしい」という要望の方が多かったため、軽量化を優先するためにオミットしました。【筆者注:G502 Xシリーズはあくまで“上位モデル”という扱いであり、従来のモデルを好むユーザーに向けG502シリーズも継続して販売されている】

G502シリーズはマグネット式で底面が着脱できた。このマグネットも重量増加の一因と考えられたのだろう

――G502と比較して、G502 Xはマウスソールの面積が拡大しています。拡大や、この形状に変更した理由を教えてください。また、センサー周囲のソールがG502 LIGHTSPEEDから(G502 Xシリーズを含め)、下部が切り取られたような形状になっています。これはなぜですか。

Logicool G製品担当者:マウスソールの大きさはマウスの滑りやすさに直結します。ただし、単に滑りやすければ良いというわけではなく、止めたい時にストレスなく止めることができるのも重要です。G502 Xでは素材にPTFEを採用し、滑りやすさをG502と比較して強化しました。形状も上記の通り、よりコントロールのしやすい形状から採用したものです。

――応答速度が従来比で約1.7倍、応答速度と耐久性に優れた光学式スイッチと、メカニカルスイッチのクリック感の特徴を併せ持った「LIGHTFORCE hybrid optical-mechanical switches」はどのような経緯で開発されたのでしょうか。

Logicool G製品担当者:ゲーミングユーザーがゲーミングマウスに対して常に求めている複数の潜在的なニーズ、「応答速度」「耐久性」「クリック感」を満たすために開発したものです。 光学式スイッチの応答速度の早さと耐久性、メカニカルスイッチのクリック感など、双方の持つ特長を組み合わせて優れたゲーミング体験を実現しています。 開発アプローチはG502 Xの開発を通じて共通で、ゲーマーを中心にしてコミュニティのニーズに耳を傾けました。その結果、スピードとクリックのフィードバックを求めていること分かり、ハイブリッドスイッチの開発に至りました。

――今後、「LIGHTFORCE」を採用する製品は“増えていく”という認識を持ってもよいですか。

Logicool G製品担当者:将来の製品ロードマップについてお答えすることはできませんが、LIGHTFORCEがゲーマーに受け入れられれば、必然的に採用していくモデルは増えていくものと思われます。

――日本地域の担当者より、新型のLIGHTSPEEDは遅延が最大約68%減少していると伺っています。「遅延がない。なんなら有線より速い」というのがLIGHTSPEEDのポイントだったと思いますが、ここまで速くなると、もはや「単純に有線より速い」のではないかと考えてしまいます。実際のところは、どのようなデータがあるのでしょうか。

Logicool G製品担当者:我々のLIGHTSPEEDは非常に安定しており、かつ高速です。その安定感を損なわず、速度を表現するため、従来のLIGHTSPEEDとの比較結果である「最大約68%」を数値としてお出しいたしました。詳細データは非公開です。

――混線環境でも妨害をより受けにくくなったと聞いています(もはや体感できるレベルを越えた話かもしれませんが)。どのような改良、メカニズムで耐性を向上させたのでしょうか。

Logicool G製品担当者:瞬間での操作が重要なゲーミング環境においては、応答性の早さが重要であると同様に、そこがワイヤレスで且つ複数のプレイヤーがいるような環境の場合、混線が起こる事態は憂慮すべき問題です。LIGHTSPEEDテクノロジーは混線防止対策も強化されており、理想的なワイヤレスゲーミング環境を実現するために生み出されたソリューションです。 様々な周波数を発することができ、最悪とも言える通信状況を再現できるルームが我々のラボにはあります。その状況下で日々、様々なシナリオで検証し、更なる改良を重ねた結果が、今回の性能向上です。

――最後に、Logicool G(Logitech G)ブランドのアクセサリを好んで使用しているユーザーに向けてメッセージをお願いします。

Logicool G製品担当者:Logicool G(Logitech G)製品をご愛用いただきありがとうございます。我々はこれからもゲーマーに必要とされ、愛されるテクノロジーを開発して参りますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。


“これからもゲーマーに愛され、必要とされるテクノロジーを開発していく”という終わりの一言がなんとも“粋”。愛されるだけでもなく、必要とされるだけでもなく、“愛されて、必要とされるテクノロジー”という言葉にLogitech Internationalの思想が伺えます。PC周辺機器全般の巨人であるLogitech International・ロジクールに今後も期待したいところです。


《夏上シキ》

フリーランスライター 夏上シキ

ゲームと美味しいご飯とお酒が好き。

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