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Game*Sparkレビュー:『タクティクスオウガ リボーン』やりごたえ抜群の新要素はまさしく“再生”の名に相応しいが、カジュアルプレイには向いていない【年末年始特集】

さまざまな新要素によって、ここでしか味わえない作品として復活。

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Game*Sparkレビュー:『タクティクスオウガ リボーン』やりごたえ抜群の新要素はまさしく“再生”の名に相応しいが、カジュアルプレイには向いていない【年末年始特集】
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スクウェア・エニックスは、2022年11月11日にPS5/PS4/ニンテンドースイッチ/PC向けタクティカルRPG『タクティクスオウガ リボーン』をリリースしました(PC版は11月12日発売)。

スーパーファミコン向けに1995年に発売された『タクティクスオウガ』は、高低差のある立体的なマップや高い戦略性、プレイヤーの決定によって大きく変化するシナリオなどで高く評価され、今も語り継がれるタクティカルRPGの金字塔とも言える作品です。

そして『タクティクスオウガ リボーン』は、2010年にプレイステーション・ポータブル向けに発売されたオリジナル版の再構築作品『タクティクスオウガ 運命の輪』をベースとしたタイトル。グラフィックやサウンドの向上のほか、今の時代に即したゲームデザイン改善などが施されています。

本稿では、新たな作品として生まれ変わった『タクティクスオウガ リボーン』のレビューをお届けします。

『タクティクスオウガ リボーン』について

本作は紛争の絶えない「ヴァレリア島」を舞台に、主人公“デニム”が体験する壮大な物語を描く作品。プレイヤーの選択によって島の運命はもちろん、姉の“カチュア”や友人の“ヴァイス”をはじめとした仲間や軍団の行く先にも大きな変化が訪れます。

ゲームは章ごとにワールドマップを移動し、発生する戦闘に勝利してストーリーを進めていく方式。人間はもちろん亜人やドラゴン、ゴーストなど多彩な種族が存在する世界で、プレイヤーはクラスや装備品を組み合わせて自分だけの軍団を編成できます。

そして、本作の魅力のひとつが、重厚な物語をある程度自分の手で導けるシナリオ分岐です。序盤の大きな「運命の選択」によって道中の物語はガラリと変わり、登場NPCが味方にも敵にも変化していきます。決してどの選択が正解というわけではなく、自身の選んだ道の結末を見届けていきましょう。

本作はオリジナル版およびPSP版とは異なる要素が豊富に用意されています。新要素の概要については、公式サイトおよび過去記事をご覧ください。




魅力的すぎる世界観を堪能して欲しい

本作の物語は、異なる思想や立場を持つ民族による紛争を中心に展開します。各勢力の代表者のセリフも民族間での対立に関するものが多く、この島での民族紛争の歴史がいかに根深いものであるかと考えさせられるものがあります。ゲーム内でもキャラクターごとに「ウォルスタ人」「ガルガスタン人」「バクラム人」などの民族表記があるのも印象深い要素です。

ベースとなった『運命の輪』では、その民族の関係やキャラクター間の関係を大幅に追記し、より深く重厚な物語を構築しました。プレイヤーが関与していない出来事を語る「ウォーレンレポート」などとあわせて読むことで、作品の世界観をたっぷり味わえます。

主人公・デニムが率いる軍団は初期こそ自身が所属するウォルスタ人が中心になりますが、やがて多数の民族が加わっていきます。それはデニム達の存在がいかに島にとって特異な存在であるかを示すと同時に、ゲームとしての自由度をユーザーに語りかける内容になっているのではないかと思います。

ゲーム内ではストーリー上のデニムの選択によって大きく「L/N/C」の3つのルートに分岐し、道中の展開や加入する仲間が異なっていきます。ルート選択以外でも、各民族との関係に影響を与えるものやNPCキャラクターの仲間入りに関するものなどの選択肢も多く、プレイヤーは定期的に決断を迫られることになります。極端な話をすれば、仲間になるNPCキャラクターを見殺しにすることも不可能ではありません。

もちろんゲームプレイを有利にする選択はいくらでもあるのですが、どんな選択肢を選んでもクリアが不可能になるわけではありません。物語を戻せる機能「運命の輪 W.O.R.L.D.」も用意されているので、まずは自分なりの物語を楽しみましょう。フルボイス対応も、ストーリー面の満足度を高めるうれしいポイントです。

敵のやられセリフも魅力的。こちらもフルボイスで嬉しい。
カチュア姉さんのボイスが個人的にヒット。

『タクティクスオウガ』らしい豊富な戦略性は申し分なし!

『タクティクスオウガ』の戦闘は、高い位置に陣取って遠くの相手を弓で射抜いたり、HPや防御力の高いキャラクターで道を塞ぐなど、立体的なマップを利用した戦い方が重要。また、キャラクターごとに行動順が異なるWT(ウェイトターン)システムも特徴的です。

戦闘では敵の行動をある程度予測・コントロールしながら、いかに自分に有利な戦いに持ち込むのかを考える必要があります。戦闘前のユニット編成画面でマップや敵構成を確認できる「偵察」コマンドを使用し、マップや敵構成に合わせて出撃メンバーやスキル、装備アイテムなどを変えて万全に挑むことも可能です。

例えば敵にドラゴンが多いなら、スキル「ドラゴンキラー」を持つユニットを出撃させて早めの撃破を狙ったり、逆に勧誘スキルを持つユニットで手勢を増やすことを考えたりと、その戦い方は千差万別です。豊富なクラスとスキルのおかげで、プレイヤーの数だけ攻略法が存在します。

なお、本作はオリジナル版&PSP版とも違う要素が数多く採用されています。最大HPが増加したことでユニット運用が変わっていたりと、それが新たな戦略と魅力を生む一方で、本作の攻略を少し難しくしている印象です。

新要素・バフカードは評価が分かれる

本作はPSP版がベースとなっていますが、バトルデザインのリメイクとして多くの新要素が加わえられています。その中でも最も影響が大きいのが、拾ったユニットに攻撃力アップなどの効果を戦闘中に与える「バフカード」の存在です。バフカードはマップ内にランダムで出現し、両軍のユニットが自由に拾うことができます。その効果は絶大で、強化によっては後衛ユニットなら一撃で倒されてしまうことも。

本作ではボスユニットとして各勢力の有力キャラクターが登場しますが、彼らの多くが最大所持数4枚のバフカードを戦闘初期から所有しています。簡単に言えば最高強化状態で登場し、ゲーム中盤までは前衛ユニットを含むほぼすべての味方が一撃か二撃で倒されてしまいます。

これが相手が自力で集めたバフカードであれば仕方ないのですが、初期で4枚持っているとなると少々不公平さを感じずにはいられません。また、大抵のボス戦は比較的狭いマップで戦うことになるため、こちらの準備が整う前に接敵することも少なくありません。

ランダム出現のカードがユニット救出マップなどで思ってもいない事故を引き起こすことも。バフカード自体はなかなか面白いシステムなのですが、場合によってはプレイヤーにストレスを与えてしまっている部分があるかな、という印象を受けます。

高難度はやりごたえでもあることを学ぶ

ゲーム内ではストーリー進行によって上昇する「ユニオンレベル」によって、ユニットの最大レベルが決定します。これはいわゆるレベルキャップで、今作ではストーリー攻略中の部隊の強化はある程度までしかできなくなっています。

また、ストーリー上で登場する敵の多くが、こちらの上限よりも少し高いレベルに設定されています。そのため、よほどの縛りプレイでもしていない限りは「演習」で自軍レベルを上げて攻略することがほぼ必須です。バフカードの仕様も含め、こういった要素が本作の難易度が高いと感じる理由でもあります。

しかし難しいとはいっても、決して理不尽な難易度というわけではありません。クラスごとのスキルや武器の必殺技はいずれも強力な物が揃っていますし、ボスを除くほとんどの敵には睡眠や魅了などの状態異常が通用します。また、ショップで購入できるデバフアイテムはボスにも効果を及ぼします。

敵を勧誘するのも重要な戦略。

初回プレイだと、中盤以降の重要な局面で正面から戦うのはかなり難しいと思います(ドラゴンなどの大型ユニットを使用すれば不可能ではありませんが……)。あくまでデニムたちは少数精鋭で運用している部隊であるため、ある程度の搦め手を使えということでしょうか。

筆者はオリジナル版(SFC/PS/SS)とPSP版をプレイしていますが、最初はその癖でデバフを意識せずにプレイしていました。その結果、とある一騎打ちで「詰み」状態に陥り、試行錯誤の結果バフ/デバフアイテムでなんとか乗り切りました。そこから本作の遊び方を自分なりに構築し、以降はかなり快適にプレイできるようになりました。

本編攻略中のパーティー。頼りになるメンバー。

繰り返しますが、本作は高難度なタクティカルRPGでありつつも、決して理不尽ではありません。何度も手持ちの戦力を考えながら、試行錯誤して遊んでみてください。なお、拠点攻略の連戦前のセーブデータは分けておきましょう。

拠点突入前は必ずセーブデータを別にしておきましょう。

総評

『タクティクスオウガ リボーン』は、オリジナル版『タクティクスオウガ』とPSP版『運命の輪』の良いエッセンスを取り込み、その上で多彩な新要素が用意され、これまでとまた違うプレイフィールを実現した作品です。リメイクではなく「リボーン(再生)」の名に恥じない作品だと思います。

バフカードなどで多少のランダム性があるものの、巻き戻し機能「C.H.A.R.I.O.T.」である程度はリカバリーも可能。しかし、バフカード初期装備のボス戦はやはり相当な難易度なので、そこだけは数回やり直す覚悟で“ゲームのやりごたえ”をつかんで欲しい部分ではあります。アイテムが重要ですよ、本当に。

人間ドラマが魅力的。

多少の難しさは松野泰己氏からのメッセージであると解釈し、今回の総評として個人的には満点です。ただし、カジュアルに遊びたい!と言う人には多少オススメしづらい部分もあります。つらい時期を乗り越えると一気に育成や攻略に幅が出るので、まずは試行錯誤を繰り返してクリアを目指してみてください。本編はもちろん、クリア後の要素などやりこみ要素もたっぷりですよ。

総評:★★★

良い点
・決して損なわれない世界観と物語の魅力!
・豊富に用意された育成と、場にあった編成方針を組み立てる面白さ
・『運命の輪』から引き継がれたやりこみ要素も充実
・新要素たっぷりで新旧ユーザーも新鮮な体験

悪い点
・「バフカード」など難易度を引き上げる要素も
・難しさを含め決して万人向けではない作品
・プレイ時間などカジュアルを求める人にはオススメできない



《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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