他ジャンルとの融合を果たしたDRPG
他のジャンルと、DRPGを組み合わせたゲームも意外と多いです。
蒼き翼のシュバリエ+新釈・剣の街の異邦人
開発:エクスペリエンス
販売:NIS America(Steam)
発売年:2021
王道JRPGと異世界転生が、それぞれDRPGと融合!1本で楽しめる2つのDRPG
魔王に敗れたが精霊神の導きにより蘇った勇者、騎士に憧れる少年、運命を背負ったエルフの魔法使いの少女、亡国の姫騎士、異国の侍……など、JRPGでは定番と言える設定をあえて直球で盛り込み、DRPGとして仕上げたのが『蒼き翼のシュバリエ』となります。
主人公となる勇者は他のキャラクターの「先生」となり、生徒たちを導いていきます。魔王の操る魅了能力に負けないだけの絆を生徒と築き上げることがゲームの目標の1つです。
戦闘システムやダンジョン探索はオーソドックスながら、JRPG層向けにずいぶん遊びやすく仕上げられた本作。これをDRPGの入り口にするのも悪くないかと思います。
更に本作では『蒼き翼のシュバリエ』に加え、大きく異なるもう一本のタイトルを楽しむことができます。カップリングされている『新釈・剣の街の異邦人』では、『蒼き翼のシュバリエ』の直接的な続編となる物語が展開します。
こちらは「現実世界からの異世界転生者が冒険者として危険な迷宮に挑む」という内容になります。
本作は「HPが0になるとLPを1失い、LPが尽きるとキャラクターロスト」など古典的なDRPGを志向しており、またザコ戦でもごく稀にボス級の敵が混じることがあるため、慎重な戦力の見極めが必須です。
『蒼き翼のシュバリエ』と比較するとかなり難易度が高く、よくある異世界転生もののようにチート無双とはいかないのですが、その分モンスターを倒して強力な武具を手に入れたときの喜びは大きいので、チャレンジ精神を持ったゲーマーの皆様には是非ともこの危険な異世界にも挑んでほしいと思います。
また、『剣の街の異邦人』はウィザードリィ小説の名作を手がけたベニー松山氏によって「墜ちて修羅、鋼刃舞うは極夜の空」としてノベライズされており、ベニー松山氏らしい筆致で描かれた異世界転生小説として仕上がっていますので、ゲームプレイ後に読むとより楽しめるでしょう。
黄泉ヲ裂ク華(Undernauts: Labyrinth of Yomi)
開発:エクスペリエンス
販売:Aksys Games(Steam)
発売年:2021
昭和ノスタルジー+ホラー+DRPGの融合
『黄泉ヲ裂ク華』は、1979年の架空の日本を舞台にしたDRPGです。
東京に現れた謎の建造物・黄泉に埋蔵された新エネルギー源「アルゲン」を採掘する「地下探工士(アンダーノーツ)」を率いて、プレイヤーは未知の黄泉領域を探索していくことになります。
1979年という時代設定を反映して、キャラクターメイク用のデフォルトポートレートには昭和なネタが多め。また、作中の要所で使用される挿入歌「なめんなよ」もしっかりとした昭和歌謡で、ファンタジー世界や現代世界とはまた違う印象を受けることでしょう。
また、本作ではダンジョン内で突然片腕が異形化した少女に襲われる……など、ホラー的な描写も随所に存在。本作を開発したエクスペリエンスは『死印』『NG』といったホラーゲームでも知られるメーカーですが、本作でもそれらに連なる怖さは健在です。
ダンジョン内に「マモノの花」を設置して敵を呼び寄せてアイテムを狩る、登れそうな壁に「ハシゴの花」を使って登る……など、本作ではダンジョンで得た資源を使って作る「黄泉の花」を駆使してダンジョンを攻略していくことになります。
モンスターとの戦闘も1ターンの間スキルレベルを上げつつ消費MPが0になる「超電スイッチ」、受けるダメージを半減しつつHPをターン終わりに回復する「耐電スイッチ」、全員が先制攻撃しつつ使用ターンで敵を全滅させると報酬が2倍になる「神電スイッチ」の3つを絡めた戦闘が特徴的です。1ターン目に超電で全力攻撃して敵を半壊させ、2ターン目に神電でとどめを刺すことに成功した瞬間の報酬への期待感から得られる感覚は格別なものがあります。
DRPGとしての完成度は総じて高く、筆者おススメの1作です。
Infinite Adventures 無限の冒険
開発・販売:Stormseeker Games
発売年:2018
JRPGにリスペクトを捧げた海外製DRPG
本作はアメリカ発ながらも、アニメ絵風のイラストレーションを採用しているDRPGになります。
ゲーム開始時に5種の難易度を選択できます。5種の種族、10種の職業からキャラクターメイキングを行い、6人パーティを組んでダンジョンに潜るといった点はオーソドックスなDRPGと言えるでしょう。
実際にプレイしてみると、5階層ごとにがらりと変わるダンジョンの風景やスキルツリーシステム、マップ上に配置された強力な敵といった要素は『世界樹の迷宮』から、記憶喪失の主人公やダンジョンをめぐる人々を描いたストーリー面や6人パーティといった要素は『BUSIN ~Wizardry Alternative~』から……といった、様々なJRPGへのリスペクトが感じられるゲームとなっています。
また、本作にはメインストーリーの舞台となるダンジョンのほかに、自動生成されるダンジョンも存在します。ここでは通常のダンジョンで手に入らない強化されたアイテムが手に入ったり、一度倒したボスと再戦したり……と、キャラクターの育成に励むにはもってこいの場所となっています。
タイトルに日本語を含んでいるにもかかわらず、2022年現在でも日本語にローカライズされていないのが残念ではありますが、ダンジョンの攻略自体に英語を必要とする謎解きは一切存在しないので、『世界樹の迷宮』や『BUSIN』ファンの方は一度本作に触れてみてはいかがでしょうか。