気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Licorice ehfとStudio Evil開発、PC向けに12月1日に早期アクセスが開始されたレトロ風な電子工作シム『Retro Gadgets』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ピクセルアートで描かれる、レトロ風なガジェットを工作可能なシミュレーションゲーム。基板やボタン、外装などのカスタマイズが可能なほか、プログラミング言語Luaによるコーディングにも対応し、ゲーム機や気象観測機といった様々なガジェットを作成できます。記事執筆時点では日本語未対応。
『Retro Gadgets』は、2,300円で早期アクセス配信中。
――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Marco Bancale氏(以下Marco)イタリア出身で、アイスランドに住んでいるインディーゲーム開発者、Marco Bancaleです。ゲーム開発は12歳の頃から始めましたが、『Kingdom』というゲームをリリースしたのが大きな前進となりました。これは今Steamで『Kingdom: Classic』として販売されています。
ゲーム最高の思い出は、プレイするその時期や状況にもよるものなので、一番好きなゲームというものはありません。例えば、1983年にZX Spectrumで遊んだいくつかのゲームにはとても良い思い出がありますが、これらのゲームが一番好きというわけではありません。それでもいくつか好きなゲームの名前を挙げるとすれば、『Soma』『A Plague Tale』『Firewatch』『RimWorld』『Dying Light』などですね。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Marco私はPICO-8(ファンタジー(実在しない)コンソールエミュレータ)でたくさん遊んでいたことから、エミュレータを作るというアイデアを気に入っていました。しかしPICO-8のクローンを作りたかったわけではありません。
一方、私は電子回路やArduinoでも遊んでおり、突然、「ファンタジーコンソールを作り、そのプログラミングをする」というゲームのアイデアが生まれたのです。それがより一般的な「ガジェット作成ステーション」みたいなものに進化していきました。
――本作の特徴を教えてください。
Marco本作は多くの意味でとても特徴的だと思います。本作は(私が知る限りでは)初の実際に動き何かの役に立つガジェットを作ることができるゲームです。本作のインターフェースも一般的なものではありません。100%ダイエジェティック(内包されているの)で、これはつまり、すべてのインタラクションが「本物の」オブジェクトを使い行われます。
本作ではダイアログボックスが現れるようなことはありませんし、UIテキストが表示されることもありません。例えば、自分のガジェットに色をつけたければブラシを手に取り、それを使わなくてはいけないのです。ショートカットは存在しません。
他の特徴的な点は、将来的に、コンピュータ上で実際に動く、本物のアプリを作れるようになるということです。
――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Marcoある人が本作のことを「オタク狙い撃ちゲーム」と呼んでいました。(笑)ですので、はい、本作を楽しんでいただける方は、主に電子回路やプログラミング、ゲーム開発、レトロコンソールに興味があるオタクの方々でしょう。ニッチかもしれませんが、そこにとても力を入れています。
――早期アクセスはどれぐらいの期間を予定していますか?今後どのような要素が追加されるのですか?
Marcoまだわかりませんが、少なくとも一年です。たくさんの新要素を追加したいと思っていますし、よりクレイジーなガジェットを作れるよう、特に新しいコンポーネントやAPIを追加したいですね。また、先ほども話したように、ガジェットをコンピュータ上で動く本物のアプリに変換できる要素を追加したいです。
なので、もし電卓を作ったら、それをエキスポートし、バックグラウンドで本作を起動していなくても、デスクトップ上でその電卓を使うことが出来るようになりますよ!
――早期アクセスとしてリリースしてみた感想を聞かせてください。
Marco素晴らしいです!反応はとてもポジティブで、コミュニティも素晴らしいものとなっています。彼らは私たちの予想を超える、信じられないようなガジェットを次々に作ってはシェアしてくれています。彼らからのフィードバックも、まさに私たちが早期アクセスの間に求めているものです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Marco上でも述べたように、本作はPico-8から影響を受けましたが、『SHENZHEN I/O』からの影響もあります。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Marcoはい、日本語対応予定はあります。有志翻訳に興味がある方がいらっしゃいましたら、メールでご連絡ください。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Marcoうーん、それほどありませんでしたね。本作の開発は2年前に始まりましたので、新型コロナの時期にどっぷりでした。私たちはすでにそれに慣れていたのです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Marcoもちろんです!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Marco私たちは日本が大好きで、開発メンバーの中には何度も旅行で行っているものもいます。本作は日本語対応予定もありますので、Discordで良い日本人コミュニティが出来上がればと思っています。あと、私はよく寿司を食べていますよ!
――ありがとうございました。
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。