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少数精鋭だからこそ鋭いゲームが生まれる!『DAVE THE DIVER』の成功は、潤沢な資金があった上で果敢な挑戦をした成果【G-STAR 2022】

『DAVE THE DIVER』成功の要因をミントロケットのファン・ジェホディレクター、Nexon Koreaのキム・デフォン副社長はいかに分析しているのか?

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少数精鋭だからこそ鋭いゲームが生まれる!『DAVE THE DIVER』の成功は、潤沢な資金があった上で果敢な挑戦をした成果【G-STAR 2022】
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  • 少数精鋭だからこそ鋭いゲームが生まれる!『DAVE THE DIVER』の成功は、潤沢な資金があった上で果敢な挑戦をした成果【G-STAR 2022】
  • 「ミントロケット」ファン・ジェホ/撮影:乃木章
  • 「Nexon Korea」キム・デフォン/撮影:乃木章
  • 「Nexon Korea」キム・デフォン、「ミントロケット」ファン・ジェホ/撮影:乃木章
  • 少数精鋭だからこそ鋭いゲームが生まれる!『DAVE THE DIVER』の成功は、潤沢な資金があった上で果敢な挑戦をした成果【G-STAR 2022】
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11月17日から20日までの4日間、韓国・釜山で「G-STAR 2022」が開催されました。4年ぶりのオフラインイベント出展したNexonは、韓国内Steam売上1位を記録した『DAVE THE DIVER』の本作初となるスイッチ版をプレイアブル出展していました。

本作は生態や地形が変化する神秘的なブルーホールを背景とした海洋アドベンチャーゲーム。ダイバーのデイヴと武器商人のコブラ、寿司レストラン板前の番長を中心としたB級感漂うギャグ、ユーモアに富んだストーリーが展開。ちなみに、スイッチ版ではゲームシステムや演出に大きな影響はないとのことでした。

昼は2Dと3Dが融合したユニークなグラフィックで表現された海を探索しながら、槍やショットガンなど異色の装備を使って数十種類の海洋生物を捕獲するすアドベンチャー」要素を楽しめます。そして夜は、捕獲した海洋生物を使って寿司を販売しながら寿司レストランを成長させる「タイクーン」要素をプレイ可能。

Nexon内の独立した開発スタジオ「ミントロケット」が5年の歳月をかけて生み出した初タイトルであると同時に、ヒット作となったことに多くのメディアやユーザーが注目している本作。大手ゲームメーカーであるNexonですが、クリエイティブに集中できる20~30人の少数精鋭のスタジオだからこそ生み出せる独創的なゲームを求め、幾度となくテストプレイを繰り返し、十分な時間をかけて本作をリリースしました。

また、会期中にはミントロケットのファン・ジェホディレクター、Nexon Koreaのキム・デフォン副社長による合同インタビューも実施。ここからは、そのインタビューの様子をお届けします。

――ミントロケット成功の要因をどのように分析していますか?

キム・デフォン:成功を収めるに必要なのは「戦略」と「実行力」です。ミントロケットが得たものはまだ小さな成功ではありますが、ものすごくいい戦略があったわけではありません。ただ目指す方向性に向かって地道にやって実行したから結果がついてきました。何よりも開発の段階で生半可なフィードバックをしないこと、開発陣だけでなく経営陣もしっかりと理解して改善につなげることを大切にしました。

また、Nexonは鋭い才能(エッジ)のあるファン・ジェホディレクターのような人材発掘に力をいれました。良いゲームを作るためには人が必要で、思い切って権限を与えて、エッジを守るためにクリエイティブいな作業に専念できるように守るためサポートをしてきました。小規模で運営するのは鋭い独創性を保つためであり、20~30人規模がちょうどいいと考えています。クリエイティブに集中できるように、プラットフォームでの対応、マネジメント、リスク管理など経営面でのサポートをしていきたいです。

――今後は『DAVE THE DIVER』のようなジャンルを追求していくのでしょうか?

キム・デフォン:「こういう面白さを追求します」と断言するのは難しいところです。新しいものを作ろうとした時に内部で挫折してしまわないように、日の目を見られるようにサポートするのが大切だと考えます。これまで無かったようなジャンルを乗り越えた新しいゲームを生み出すことを大事にしたいですね。デベロッパーの鋭利な視覚を持って、プレイヤーを驚かせられるようなタイトルを目指しているだけで、ある特定のジャンルを目指しているわけではありません。Nexon内部ではフィジカルなゲームもあれば、戦略的なゲームもあり、特定のジャンルを追求したガイドラインを設けて制作指示することはありません。

もちろん、こう言うガイドラインはあります。例えば、「パッケージゲームを作るならカラーのあるゲームを作りたい」といったような。対戦ゲームを作るとしたら、PVPゲームは新しい幅が広すぎると難しいゲームになってしまうので、そこのハードルは下げたい。そういった若干のガイドラインはありますが、他の指示はありません。ミントロケットのようなスタジオには、Nexonがたくさんのお金をかけて実行しているものとは違うジャンルのゲーム開発をさせたいです。

――『DAVE THE DIVER』がSteamで高評価を得ていることを、どのように受け止めていますか?一方で、スイッチ版をプレイしましたが、文字が読みにくいこともあり、UIの品質は残念だと感じました。

ファン・ジェホ:リリースしてから肯定的な評価を得て感謝しています。バグが多くて直すのにいっぱいで、人気があるのを実感する余裕がありませんでした。周りの方に教えられて気がついたくらいです。スイッチ版については、チームの規模もあってコンソールに適切な対応ができていないのが実情です。

スイッチのカスタマイズはアルゴリズムがあまりに小さいと感じており、そこを改善したいと考えています。一回の学習で対応できることではなかったので、最終バージョンまでにはもっと良いものに仕上げたいです。スイッチに限らず、大きなプラットフォームに伝達していきたく、ゲームの楽しみが歪曲しないよう注意したいです。

キム・デフォン:スイッチ版はNexonとしても初めてなので苦労していますが、ほかのプラットフォームでは十分な経験があります。プラットフォームだけでなく、ミントロケットの様々な技術的な部分をNexon経営陣がサポートできるように取り組んでいきます。

――ユーザーからはマルチプレイの要望も出ていますが、今後実装される予定はありますか?

ファン・ジェホ:本作がある程度成功し、準備する余力があれば、ユーザーのニーズに合わせて検討したいと考えています。

キム・デフォン:マルチプレイについては開発段階からファンディレクターが悩んでいましたが、「まずはソロプレイでいく」との回答をもらっていました。ニーズがあれば考えていきたいですね。

――『DAVE THE DIVER』はクリアするまで約8時間ほどのボリュームです。今後、新たなストーリーが追加される予定はありますか?また、リリースに至るまでのテストで手応えを感じた瞬間を教えてください。

ファン・ジェホ:実は、ストーリーをもっと盛り込みたい気持ちはありました。海が与えられる楽しさのイメージをさらに表現したかったのですが、人員の問題で断念しました。今後は、世界観をより拡張していくよりは、魚を増やすなどステージの充実に注力していく考えです。

キム・デフォン:ゲームのバランスとして重要な部分がなんなのか、ファンディレクターとしっかり話し合いました。その結果、ストーリーは深掘りし過ぎない形になりました。あとは、とにかくテストをたくさん重ねましたね。経営陣ではなくいろいろな専門家の方にお見せして、フィードバックでこれまで見たことがないような点数が出ました。改めて、開発チームが自信を持てる環境を作ることを大事にしたいと思いました。

――現在、Nexonとしては投資以上の利益は回収できる見込みが立っているのでしょうか?新しいIPとしての可能性はいかがでしょう。

ファン・ジェホ:投資以上に稼ぐ目標があります。社内でシステムがきちんと整う前は、Nexonの経営陣の方の助言を聞かずにやってしまった部分があったにも関わらず、迷った時は励ましてくれるなど、しっかりとサポートしていただきました。だからこそ、しっかりと還元できるようにしたい想いが強いです。

キム・デフォン:IPはキャラとストーリーが重要。『DAVE THE DIVER』はそれらが揃っています。韓国版Steamでは依然として1位(インタビュー時点)。投資した分の元金は既に回収していると思いますが、IP化するとしたらどれくらい育てられるか悩んでいます。しかし、非常に重要なIPのひとつになると思っていますので積極的にサポートしていきたい。

――ミントロケットは今後、インディーゲームのような作品を作っていくように見受けられます。次の構想はあるのでしょうか?

ファン・ジェホ:現時点では考えていませんが、素晴らしいご意見をいただきました。ゲーム開発においては、やりたいというよりは、このマーケットで勝てるものを作りたいです。ミントロケットも5年くらいやってきて、やっと評価されました。次はこれまでの蓄積を活かした作品にしたいです。

キム・デフォン:Nexonの強みは、十分な資金を持ったうえで果敢なチャレンジができることだと思っています。デベロッパーの方は開発の上で常に時間の圧迫を感じています。小規模なスタジオですが時間をもっと与えたい。新しいゲームを完璧に作るには時間がかかるのを分かっていますから。人が多いことはエッジのあるゲーム開発では邪魔になります。ディレクターがゲームの楽しみだけを見つめることで、大変瞬発力のあるゲームができると思いますので、そうであれば十分な時間を担保したいです。インディーゲームのような環境で良い作品を作る方もいますが、私たちはより有利な環境を与えたいんです。クリエイティブな作業以外の業務はNexonがサポートして、クリエイティブに集中できるようにさせたいと常に思っています。

――新しいインディーゲームについて、専門学校卒業生の方の能力をどう見ていますか?

キム・デフォン:もしも我々と気が合えばたくさんの方と一緒に仕事をしてみたいですね。まず内部で新しいチャレンジをしたい人を探すのが大切ですが、新しいことをやってみたい彼らがNexonに入りたいと思ってくれるようにしたいです。そもそもNexonは特別なものを作るために少人数で集まって始まったので、社内にそういうスピリットを持っている方がたくさんいたからこそ、今回のミントロケットのようなプロジェクトを立ち上げるに至りました。

――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

ファン・ジェホ:本作はNexon経営陣が定期的にハードルを設けたので、何度もトライしました。様々な人を対象にテストを行いました。ありのままのフィードバックを受けられて非常によかったです。開発初期段階で足りなかった点を補足していくことで着実に点数が上がりました。厳しいスパーリングを得て世の中に配信することで、好評価してくれる人が多い。今後のゲーム開発の軸になるので感謝を申し上げます。

キム・デフォン:Nexonは素晴らしいIPと運営を実現できている会社だと、業界から認識されているでしょう。しかし、Nexonは引き続き挑戦と開発を続けていきたいです。これらは数年前から試みていますし、やっと実現に漕ぎ着けられるところまで来ました。Nexonが「運営以外でも新しいものを作り出す、韓国を代表するゲーム企業」だと見られるように、今回の成功をきっかけにやっていきたいです。Nexonから出るゲームが楽しみだと思ってもらえるようにしたいですね。

撮影:乃木章(@Osefly)

提供:Nexon


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《乃木章》

現場に足を運びたい 乃木章

フリーランスのライター・カメラマン。アニメ・ゲームを中心に、親和性のあるコスプレやロリータ・ファッションまで取材。主に中国市場を中心に取り上げています。

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