冒険映画のような懐かしい体験を―『Grounded』正式リリース記念、開発インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

冒険映画のような懐かしい体験を―『Grounded』正式リリース記念、開発インタビュー

90年代のSFアドベンチャーをモチーフにしています。

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冒険映画のような懐かしい体験を―『Grounded』正式リリース記念、開発インタビュー
冒険映画のような懐かしい体験を―『Grounded』正式リリース記念、開発インタビュー 全 9 枚 拡大写真

おおよそ2年のアーリーアクセスを経て、『Grounded』が9月28日に正式リリースされました。民家の裏庭という小さいようで広大、そして自分たちの身近な場所で繰り広げられるサバイバルは、リリース後もなお「非常に好評」の評価を維持しています。小さくなった子供達が元に戻るストーリーも実装され、どこか懐かしいSF映画のような体験を楽しめます。

この度Game*Sparkではアートディレクターの有賀量徳氏にオンラインインタビューの機会を頂きましたので、本記事ではその様子をお届けします。着想の原点やクモのオプションを導入したきっかけなどを伺いました。

インタビュイー

有賀量徳(アルガ カズノリ)/アートディレクター

――まずは、正式リリースにおいて実装された要素について教えてください。フルパッケージとして完成したことで、どのような体験を提供しますか?

有賀一番大きいものはストーリーが最後まで搭載されたことですね。裏庭は大きく分けて2つ、下の層と上の層に分かれているのですが、これまで実装してきた下の層に加え、もう半分の上の層がコンテンツを整えた状態で遊べるようになりました。他には武器や物資などサバイバル系のコンテンツが盛りだくさんで、冒険して発見できるものがたくさん増えていると思います。

また、難易度の高い新しい虫も結構入っていますね。ストーリーにはあまり触れたくはないんですが、これまでのゲーム部分もストーリーが入ったことによって新しい体験になっています。これまでのコンテンツの延長線上で、ボリュームが増えたという感じですね。

――無事リリースを迎え、チーム内ではどのような話が出ていますか。

有賀好評を頂いてうれしいです。特に最近はゲーム配信でファンの人たちの反応がリアルタイムで見られるので、開発者としては最高ですね。よくあるのがクモに遭遇して、叫び声を上げながら逃げる様子が生々しくて(笑)、実況しながら観ることができるので、個人的にはそういう体験が確かめられるのが凄くうれしいですね。

チームとしては、この4年間皆頑張ってくれて、ストーリーなど今まで公開できなかったコンテンツが一気に公に出て、プレイヤーの実況をチーム全体でも楽しんでいますね。

――民家の裏庭を探検するというGroundedのアイデアは何が出発点だったのでしょうか。日本では借りぐらしのアリエッティ、ドラえもんのガリバートンネルを連想する人が見受けられました。

有賀これは、ディレクターのアダム・ブレネッキと、シニアデザイナーのボビー・ノールで飲みながら意見を交換していたときのことです。アイデアが絞られたときに90年代、特に僕たちの世代には懐かしいものとサバイバルの要素を組み合わせたらどうなるか、と考えたときに「Honey, I Shrunk the Kids」(邦題「ミクロキッズ」)が出てきて、こういう世界のゲームはあまり見ていないな、と目を付けたと聞いています。

――プリプロ段階ではどのような資料を参考にしましたか。

有賀検索で大量の資料を集めたほかには、この作品ならではなんですが、普段散歩している中で写真を撮ってきて、こんなものを見つけたとチームのチャットで送り合って、これは面白いとどんどん夢が膨らんでいくテーマだったので、アイデアは尽きませんでしたね。

――「クモ恐怖症」の対策を入れようと考えたきっかけは何でしょうか。

有賀テーマとして誰でも遊べる世界を開発は望んでいて、そこにクモが入ってきたときに自分より大きなものになると完全にホラーになってしまいます。プロトタイプで開発していた際に『Pillars of Eternity』からクモのモデルを持ってきて、Unrealエンジンに入れてみたところ、これはアウトだろうという声が多く上がりました。多くの人に遊んでもらいたいので、恐怖症対策はオプションとして入れるべきだと。

本作では他にもアクセシビリティの工夫を取り入れていて、マイクロソフトのテストチームの協力を得て、耳の聞こえない人、目が見えにくい人のフィードバックを参考にUIなどを向上しました。具体的な例としては、コントローラーのボタンを押し続ける操作が困難な人がいるというのを教わったり、色覚障害の人を考慮して赤い色の警告を調節したりしました。

――本作の開発に当たったチームの規模はどのくらいでしょうか。また過去の作品と比較して開発手法に違いはありましたか。

有賀Obsidianは本来大作RPGを作るスタジオですが、過去作品と比較すると本当に小さい開発チームで、初めは10人足らずの人数でした。骨子を作ってから20人ほどに増えましたが、開発者としては夢のような環境で、マイクロソフトのサポートのおかげで様々なアイデアを探索する余裕がありました。ただし少人数なのでどうしても一人が何役かをやる必要があり、自分は本来2Dアーティストなのですが、今作ではテクニカルアートも担当して、草に付く露の表現を提案するなど遊ばせてもらいました。

チームの構造としては、初期の頃は結構オープンで、トップダウンのようなものはなく皆でわいわいと話し合いをしながら進めました。最初の生け垣のステージが出来上がったときに、このゲームのパイプラインができた実感がありました。そこから他のエリアにしっかりしたパイプラインを持って移ることができました。

――約2年という長い期間のアーリーアクセスで、プレイヤーの意見を具体的にどう取り入れていったのでしょうか。プレイヤー発のアイデアはありましたか

有賀クラフトゲームなので何を作れるようにするかを検討するときに、オンラインでの意見を伺って取り入れていきました。その全てを反映するわけではありませんが、建築が組み上がらないなどの不具合を修正しました。また、コミュニティのアイデアに驚かされたのですが、トランポリンを何層も組み合わせて、エレベーターのようなものを作っていて、これは凄いなと思いました。縦に上るニーズがあるのを把握して、今はチームの方で正式にサポートを検討しています。

――アーリーアクセスを続ける中で苦労したことはありますか。新型コロナウイルスの影響はありましたか。また逆にアーリーアクセスを実施して良かった点はありますか。

有賀チームを組んだのが流行が始まる前で、メンバーも過去のタイトルで一緒に働いていたので、早くなじめていた点で私たちのチームはラッキーだったと思います。新しくチームを組むときは馴染み合うのが結構大変で、コミュニケーションがうまくいかないこともあります。インディーではゲームの方向性を決めるのと同時にチーム組みをするケースが多いので、その点私たちは恵まれていたと思います。リモートでもすんなりコミュニケーションを取れていました。

アーリーアクセスはフィードバックと、メンバーの士気を高めるのにも役立ち、ファンの熱量が私たちの活力になっていました。


小規模チーム、早期アクセスの実施と、Obsidian社の過去作とは違う手法で開発された本作。開発者自身が楽しんでいたからこそ、童心に返った冒険に私たちが心躍らせるのかもしれません。

『Grounded』はPC/Xbox SeriesX|S/Xbox One向けに発売中です。


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