いきなり個人的な話で恐縮ですが、筆者のゲーマー人生においてPS3の『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』はとても思い出に残っているタイトルのひとつです。まるで実写と見まごうようなリアルなグラフィック、ダイナミックで映画的なアクション、HDMI出力の美麗な映像などなど、筆者にとっては初めて体験すること尽くしでした。ゲーム序盤で崖から落ちかけている電車をよじ登っていくシーンのドキドキ感は今でも忘れられません。
そんな筆者にとって『アンチャーテッド』シリーズは「プレステのすごいゲーム」というイメージでした。それが今では、もっともっと美麗なグラフィックで描かれる『アンチャーテッド』の最新作がPCでも遊べてしまうようになというのですから、時代とゲーム業界の情勢の変化を感じますね。
Game*Spark編集部では、10月20日にいよいよ発売するPC版『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』を発売前から先行プレイする機会を得ることができました。本稿では、PC版が持つ独自の機能などにも注目しつつご紹介いたします。なお、本稿で使用しているスクリーンショットはPC版でグラフィック設定をプリセットの「高」に設定して撮影しています。
『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』とは?
本作は、『アンチャーテッド』シリーズの最新作である『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』とその追加エピソード『アンチャーテッド 古代神の秘宝』が収録されたコレクション。シリーズの主人公であるネイサン・ドレイクの最終章と、別のトレジャーハンターであるクロエ・フレイザーの視点から描かれるもうひとつの物語を1本で楽しめます。
PC版は4K解像度やウルトラワイドモニターに対応。更にリッチな体験が楽しめるほか、DualSenseコントローラーを有線接続することでハプティックフィードバックやトリガーエフェクトといったコントローラー機能を体験できます。
グラフィックが綺麗すぎる……!かつて感じた『アンチャ』の感動はPC版でも健在
筆者がプレイしたのは2作目の『黄金刀と消えた船団』のみで、それからは古いゲームやPCゲームに傾倒していたため『アンチャーテッド』シリーズがどのように進化したのかはまったくと言っていいほど知りませんでした。
最新作とはいえ『海賊王と最後の秘宝』が6年前の2016年に発売したゲームとなると、当時と比べて感動は薄れてしまうのではないか?と少しの心配が芽生えました。結論から言えば、それは杞憂でした。
『海賊王と最後の秘宝』では、船で島を目指して走るシーンからスタート。激しい荒波の海面に揺られながら、銃撃してくる敵船から逃れる極限状態から始まります。射撃や体当たりで敵と抗戦しますが、波によって船が浮くことも多くかなり危ない状態です。『アンチャ』の面白いところといえば、絶体絶命の極限状態。ネイサンが「やべやべ!」と叫ぶのも、もはや名物ですね。
「すごいんだろうな」とわかっていても、やはり非常に高品質なグラフィックには驚かされます。ネイサンのシワや髭、腕の血管や水濡れの表現が非常にリアルです。別の場面では、敵が鼻血の付いた手を服で拭うと、血の跡がべっとりと付着。『The Last of Us Part I』の際にも驚かされましたが、Naughty Dogのこだわりを味わえる作品になっています。
シーンが移り変わると、今度はネイサンの子供時代に。ネイサンは両親を失ったためキリスト教の修道院で保護されていましたが、素行が悪く修道女の手を焼いており、周りとも馴染めていないようです。ネイサンが外を見ると、修道院を抜け出した兄・サムがこっそり敷地内に忍び込んでいるのを発見。サムと合流するため、修道女の目を盗んで外に出ます。
『アンチャーテッド』の醍醐味のひとつであるパルクールアクションが楽しめるのはこのパートから。建物や壁をよじ登ったり滑り降りたりして、修道院の外を目指します。
パルクールの操作は非常にシンプル。目的の方向にスティックを倒しながら×ボタンを押すだけでジャンプしたり崖を登ったりできます。
複雑な操作は要求されないにもかかわらず手に汗握る体験が楽しめるのは、高所やギリギリの飛び移りなど緊張感の高いシチュエーションのおかげでしょう。シンプルかつ難易度/操作も幅広く設定できるため、誰もが主演になれるアクション映画のようなゲーム……とも言えるかもしれません。
物語序盤に訪れる独房跡も魅力的。かなり古い建物であるためところどころがもろく、パルクールにもより一層の緊張感が漂います。筆者は廃墟好きであるため、建物に絡まった大量のツタやジメッとしていそうな内部などかなりグッとくる要素が多いのもお気に入りです。
主人公がクロエに交代した『古代神の秘宝』では、ガネーシャの牙を手に入れるために冒険を繰り広げます。インドが舞台なだけあって、美しいグラフィックでヒンドゥー教の異国情緒あふれる景色を楽しめるのも、『海賊王と最後の秘宝』とはまた異なった楽しみ方ができて良いですね。
きれいな景色とは裏腹に、クロエが訪れた地は紛争地帯でもあります。そのため、兵士がうろうろしていたり、爆撃が起こったりします。路地裏や看板が薄っすらと汚れていて、どこか寂れた雰囲気があるのも特徴的です。
『アンチャーテッド』は“カットシーン(映像パート)”と“ゲームプレイ(操作パート)”の境目がほとんどなく、物語がシームレスに進行するのも魅力。迫力あるカットシーンとひとつなぎになっている体験は、「プレイする映画」というコピーに相応しいものとなっています。とはいえ、カットシーンをスキップしたり、話が理解できなかった場合にリプレイすることも可能となっています。
PC版ならではの機能も搭載!DualSenseコントローラーも使える
本作は、PC版ならではの機能も搭載。対応環境があれば4K解像度やウルトラワイドモニターでプレイすることができ、高い没入感をもってプレイできます。また、テクスチャやモデルクオリティ、影や反射といったグラフィック設定の細かい調整も可能で、PC環境に合わせた設定で楽しめます。
美しいグラフィックのゲームはそれに比例して動作が重くなりがち。ちょっと古めのGPUだとフレームレートが低めなんてことも起こりますが、本作はアップスケーリング技術であるAMDのFSR 2およびNVIDIAのDLSS機能に対応。対応するGPUであれば、オンにすることでグラフィックの質を保ちながらフレームレートの向上が見込めます。
操作デバイスに関しても、キーボード・マウスはもちろん、各種ゲームコントローラーやDUALSHOCK 4などに対応。さらに、DualSenseコントローラーをType-Cケーブルで有線接続すれば、トリガーエフェクトやハプティクスフィードバックといった機能もオンにすることができます。
『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』は、非常に美麗なグラフィックで描かれるスリリングな冒険を楽しめるコレクションです。筆者がかつて『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』で感じた迫力のある映画のような体験は、本作でも十分に楽しめると感じました。「アンチャ」といえばPlayStationならではのゲームというイメージですが、本作のPC版は独自の機能と合わせて楽しめるのも魅力です。
ただ、本作からシリーズに入るとストーリー的に理解しづらい部分もありそうなので、第1作目から第3作目までが収録された『アンチャーテッド コレクション』もぜひPCでプレイできる環境が欲しいと感じました。
『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに配信中です。