『ライブアライブ』発売記念、プロデューサー時田貴司氏インタビュー!シナリオ、キャスティングに音楽まで根掘り葉掘り聞いちゃいました | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『ライブアライブ』発売記念、プロデューサー時田貴司氏インタビュー!シナリオ、キャスティングに音楽まで根掘り葉掘り聞いちゃいました

28年の時を経て、待望の発売日を迎えたリメイク版『ライブアライブ』!サービス精神旺盛なプロデューサー時田貴司氏が弊誌の質問にモリモリ答えてくれましたので、熱々のままお届けします!

連載・特集 インタビュー
『ライブアライブ』発売直前!ディレクター時田貴司氏インタビュー!~シナリオ、キャスティングに音楽まで根掘り葉掘り聞いちゃいました!~
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こ、これは……時田貴司氏のインタビューじゃねーかッ!

28年の時を経て、7月22日に待望の発売日を迎えたリメイク版『ライブアライブ』。本誌では前回の先行プレビュー記事に加え、ディレクターの時田貴司氏にメールインタビューを決行しました。サービス精神旺盛な時田氏がモリモリ答えてくれたので、アッツアツのままお届けします!


シナリオについて

──「オムニバス形式にしよう」と思ったきっかけはありましたか?是非その経緯について教えてください。

時田貴司氏(以下、時田氏):オリジナル版『ライブアライブ』の発売時期はSFC後期で、「ドラクエ」、「FF」、「サガ」、「聖剣伝説」、「半熟英雄」など、他にも沢山のRPGシリーズが登場した収穫期でした。加えてROMカセットのメモリサイズも増えゲームのボリュームも大きくなり、プレイする側のプレイ時間も比例して長くなっていきました。

当時登場していたRPGの世界観もファンタジーだけではなく、SFや時代劇、西部劇的なエッセンスも増えてきました。

そんな中、初ディレクターとして新規のRPGを立ち上げるにあたり、オムニバス形式にすることで、それぞれの世界観を色濃くできること、"1日1編"など一気にプレイすることもできる自由度の高さを持たせること、そして複数の作家さんにキャラクターデザインをしていただくことで他にはないオールスター感のあるRPGが制作できる、と考えたのが発想の原点です。

──最初から7章(プラスアルファ)でいこう!と決められていたのですか?

時田氏:「8」という数字はコンピュータ上では基本となる数字なので、「8章」にするという発想は最初からあった気がしますね。王道の「中世編」は、あえて7章をクリアすると遊べるサプライズにして全編を繋ぐ核にしようというのは最初に決まりました。

※編集部注: コンピューターのメモリなどは8の倍数で構成される。

──「西部編」や「SF編」などの多様なシナリオはどのように採用していったのでしょうか?

時田氏:各リージョンのファンタジーな時代をベースにしていきました。「中世編」がヨーロッパのファンタジーならば、日本は時代劇、アメリカは西部劇、中国は功夫がありますよね。そこに、映画などでも定番の原始時代とSFの世界観を加えていった感じです。定番のジャンルにさらに「現代編」で格闘ゲームの要素を、「近未来編」では少年漫画やアニメ的な展開を加えていきました。8つの編のユニークな世界観に、戦闘でのジョブ感、RPGのシナリオ、テキスト、マップ、バトルなどの要素を組み合わせて、それぞれにメリハリつけてフィーチャーしていきました。

──ボツになった編などもしあれば教えていただけますか?
(ゾンビが出てくる「ホラー編」などもし企画段階でありましたら是非お伺いさせていただきたいです!)

時田氏:当初から上記のように各編を決めていったので、特にボツになった編はないですね。

各編のシナリオはプロットからマップ作成し、実装しつつ仕上げていったので細かい部分は未定のまま制作しながら決めていきました。

リメイク版のキャスティングについて

──今回初めてボイスが付きました。
キャスティングは全て時田さんが担当されているとのことですが、SFC版の制作当時には「このキャラクターはこの人」とイメージされていましたか?
また、今回それが実現したキャラクターなどいましたか?

時田氏:全てのキャラクターをイメージしていたわけではありませんが、「西部編」のマッド・ドッグはオリジナル版開発当初から古川登志夫さんの軽妙でニヒルな感じをイメージしていました。今回演じていただき30年の夢が実現しました!古川さんにもマッド・ドッグを気にいっていただけて感無量です。

他のキャラクターは改めてキャスティングを考え、ベストな方々に打診をしたのですが、皆さんにお引き受けいただけるとは思いませんでした。

コロナ禍以降の収録だったのですが、だからこそ皆さん「エンターテインメントを!」とポジティブに演じていただけたのだと思います。

他にも今まで『FF4』などで一緒にお仕事させていただいた方々、『ライブアライブ』を遊んで愛してくださっている方々に演じていただき、本当に熱く、素晴らしい作品にしていただきました。

──魅力的なセリフだらけの本作の中でも、「特にこのセリフを聞いてくれ!」というシーンを是非ピックアップいただきたいです。

時田氏:中世編の「あの世で俺に…」はいわずもがなですが、

原始編のセリフのない皆さんのお芝居
功夫編の弟子たちの「旋牙連山拳!!」
西部編の「……。」
幕末編の尾手院王全般。
現代編の決戦前
近未来編の無法松の「ポゲラルゴォ~!!」
SF編の伍長の最後のセリフ
中世編のハッシュ、ウラヌスの最期
中世編ラストのオルステッド

……は特に聞いていただきたいです。僕自身収録の時に鳥肌が立つほど感動しました。

ゲーム本編について

──今回のリメイクにあたって、どこを新しくして、どこをそのままにするかはどうやって判断していったのでしょうか。

時田氏:『ライブアライブ』を愛してくださった方々が長きに渡って応援してくださったからこそのリメイク実現なので、"基本的には変えない"というのが大方針でした。グローバルに発売することもあり、コンプライアンスや大時代的な表現は調整を加えましたが、ゲーム体験としては大きく変更はしていません。

新しくした部分は、現代のゲームとして遊びやすくするということです。テンポやわかりやすさなど、新規の若いゲームファンの方々が遊んできちんと楽しめるよう、開発のヒストリアの皆さんが積極的に提案、実装してくださいました。

──今回のリメイクで旧作からの改善を実施した部分について、最も力を入れた内容を教えてください。

時田氏:上記の遊びやすくする部分は多岐に渡りました。UI、レーダー、見取り図、チュートリアル、TIPS。そしてバトルのバランスは特にテンポを重視してストレスのないよう何度も調整しました。そしてボイスや3Dの演出が入ったからこその間、テンポ感。こちらは原作のメリハリを失わぬよう現場でスタッフたちと細かく調整しました。

ローカライズについて

──初の外国語ローカライズに加え、英語ボイスも初めて付きました。時田さんもキャスティングやセリフのチェックはされましたか?もしエピソードなどあればお伺いしたいです。
(個人的には「功夫編」が、キャストさんのイントネーション含め、しゃべり言葉が英語の功夫映画を見ているような感じでとても素敵だと思いました!)

時田氏:キャスティングは日本語の声優さんの声質に合わせてメインの翻訳をしたJohnにお任せしました。収録はリモートだったので可能な限り参加しました。イギリスのスタジオディレクションでアメリカの声優さんの収録を日本で聞くという、現代ならではのグローバルかつ合理的な収録方法でしたね。収録時間が夜10時から朝7時までというのがハードでしたが、各編を世界観を活かしたネイティブの声優さん方の演技は非常に刺激的でした。

──ローカライズ、また、リメイクにあたって、時代の変化と共に変更された点などはございましたか?

時田氏:現代のコンプライアンスの中で、丸く収めればいいというスタンスではなく、ギリギリまでオリジナルの良さを活かすよう、チェックのスタッフも一緒にローカライズしてくださいました。

──日本特有のエッセンスやロマンも沢山込められた作品だと思います。
特に初めて作品に触れる海外のファンに向けてここを見て、感じてほしい、という点ありましたら是非お伺いしたいです。

時田氏:「原始編」は万国共通の原体験、「幕末編」、「近未来編」などは日本ならではの作品性ですよね。一方「西部編」や「SF編」は、ドット絵ながら欧米の映画らしいリアルさを押さえた雰囲気を。「現代編」、「功夫編」、「中世編」~「最終編」は、プレイヤーの選択肢でその後の展開が大きく変わるゲームならではの要素と、海外の方々にも納得していただける普遍的な要素をインパクトある形で楽しんでいただけると信じています!

音楽について

──アレンジされて生まれ変わった楽曲たち。全て捨てがたくオススメだとは思いますが、とくにお気に入りの楽曲を是非3曲ピックアップいただきたいです。また、その理由についても是非お伺いしたいです。

時田氏:3曲!?

10曲でも足りないくらいですが、あえて語るとすれば以下の3曲です。

『届かぬ翼』

原作で最初に完成した曲です。これを聞きながら「中世編」のイメージを高めて制作に望んだ、個人的に『ライブアライブ』を代表する曲です。叙情的で、これから起こるドラマを想起させる楽曲ですが、オーケストラ版を改めて収録した際、非常に感慨深かった楽曲です。

『GO!GO!ブリキ大王!!』

やはりこれは外せないでしょう!

原作のプレゼント企画に、サントラ再販の特典、そして周年LIVEのクライマックスとして皆さんが愛してくださっている楽曲です。時代を超えて今、影山ヒロノブさんに満を持して熱唱していただき、笑顔と感動が止まりませんでした。英語版も最高ですので、是非聞いてください!

『Live for Live』

他にも挙げたい曲があるのですが、残り1曲ということで、ラストを飾るこの曲で。静かに始まるメインテーマのフレーズがフルオーケストラで奏でられる中、各編の楽器がフィーチャーされる後半……これこそ『ライブアライブ』を象徴する音楽体験だと再認識しました。是非エンディングで、各編への想いと共に聴いてください!

──生演奏オーケストラアレンジされた曲の基準などはありましたか?
(個人的に全編共通で使用される楽曲と、「鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳」など、ここぞ!という曲でアレンジされているように感じました。)

時田氏:こちらは音楽の下村陽子氏とサウンド制作チームで、オーケストラ編成か、バンド編成か、その他楽器をフィーチャーするかなど、原曲や各編の特徴からそれぞれアレンジに進んでいったと思います。

──音楽ゲストについて、Vocalを担当された影山ヒロノブさん、ライブでお馴染みのHIDE×HIDEさんに加え、牛尾憲輔さんや、間接的にDestiny8の面々も参加していますね!時田さんも参加ミュージシャンについてリクエストされたのでしょうか?思い入れや聴きどころを是非お伺いさせていただきたいです。

20周年記念の「LIVE A LIVE A LIVE」を企画制作してくれたaetasさんに今回の音楽制作をお願いし、周年LIVEを盛り上げてくれたミュージシャンの皆さんと今回の楽曲を是非作りたいと、AKIRA率いるLaiD Back Gorillaのメンバー、幕末編には欠かせないHIDE×HIDEのお二人、西部編を盛り上げてくれた口笛のYOKOさん、そしてDestiny8にも参加しているキーボードの上倉紀行さんにアレンジで、ギターの森空青さん、ドラムの岡島俊治さん(LaiD Back Gorillaでもドラムを担当)にも参加いただきました。

牛尾憲輔さんは『乙女ぶれいく!』という作品の主題歌でご一緒させていただいたのですが、今回「SF編」のアレンジを是非!とお願いしたところ、「小学生の頃遊んだので是非!」とご快諾いただきご参加いただきました。

「ブリキ大王」の影山ヒロノブさんは、今回世界同時発売ということで、海外にもファンの多い影山さんに最初から英語Ver.も込みで是非にとお願いしました。

オーケストラのメンバーの方にも収録時「『ライブアライブ』!リメイクするんですか!?』と喜んでいただけたのが嬉しかったですね。

──もしかして時田さんも原始編のコーラスや町人のボイスの中にこっそりいらっしゃったりしませんか?

時田氏:原始編の宴の楽曲「生贄の宴」は当初コーラスを入れる予定はなかったのですが、僕の現場での提案で、その場にいた男性陣全員で「ウホ!ウホ!」と収録させていただいて楽しかったですね。町人などボイスの方は、ぜひゲームの中で確かめてください!

──ふたたびライブを行う予定はありますか?ほかにもオーケストラコンサートなども予定はあったりされませんでしょうか……!?

時田氏:皆さんからリクエスト多数いただいています!

コロナ禍のご時世もあり、周年LIVEもしばらく実施できていなかったのですが、今回のリメイクが実現できたお礼も込めて是非実現できるよう頑張りますので引き続き応援よろしくお願いいたします!


以上、ディレクター時田貴司氏からのメールインタビュー回答でした。

ついに発売されたリメイク版『ライブアライブ』、7月22日(木)17時~19時にはビックカメラ新宿東口店にて時田貴司氏の一日店長イベントも。参加される方は、各自感染症拡散予防対策&ソーシャルディスタンスばっちりで楽しんでください。

クレジット
© 1994, 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN
© 1994, 2022 SQUARE ENIX CO., LTD.
© 1994, SHOGAKUKAN Inc.
Gosho Aoyama, Yoshihide Fujiwara, Osamu Ishiwata , Yoshinori Kobayashi, Ryouji Minagawa , Kazuhiko Shimamoto , Yumi Tamura


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《アネモネ・モーニアン(アニモ)》

ボーカリスト アネモネ・モーニアン(アニモ)

"アニモ"の愛称で親しまれるボーカリスト。カナダで培ったグローバルな感性を駆使した歌唱・音楽制作を得意とする。 その多様性を尊重する精神、そして英語力、また、映像作品・ゲームに対する愛から、時にライター・通訳・翻訳家としても活動している。

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