Game*Sparkレビュー:『モンスターハンターライズ:サンブレイク』―理不尽過ぎない難度に遊び応えのあるボリューム | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『モンスターハンターライズ:サンブレイク』―理不尽過ぎない難度に遊び応えのあるボリューム

本文では触れていませんが、「知略の眼鏡」のレンズがちゃんと透明になっているだけでも個人的に100点です。

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ついに発売された『モンスターハンターライズ』の超大型拡張コンテンツ『サンブレイク』。今回はニンテンドースイッチ版だけでなく、PC版も同時にリリースされており、Steamでの最大同時接続ユーザー数が『ライズ』の約2倍になる盛り上がりを見せています

『ライズ』では過去シリーズと比べ、ガルクや翔蟲といった移動手段の追加だけでなく、「ホットドリンク」ならびに「クーラードリンク」の廃止といった快適性の向上が行われた一方で、エンドコンテンツの不足が指摘されていました。本問題は筆者も感じていましたが、今回の『サンブレイク』では『ライズ』の課題は解決できたのか、新コンテンツの感触はどうだったのか、などといったポイントを踏まえてニンテンドースイッチ版のレビューをしていきます。

また、筆者の『モンスターハンター(以下モンハン)』歴は、初代『ポータブル』から始まっています。以降『ダブルクロス』まで殆どプレイしており、『ライズ』では勲章やイベント・チャレンジクエスト等をコンプリートするほどにハマりました。『サンブレイク』では現在MR100ほどまでクリアしたほか、アップデートVer.10.0.2配信前に、一度新規からクエスト「雷神」をクリアしているので、本作エンディングまでとの難易度比較なども紹介します。

新規からプレイした際に使用した「スパくん」、せっかくなので彼もエルガド入り。

なお、本記事はVer.10.0.2でのプレイを基に執筆したレビューであり、現在配信されているバージョンと異なる部分が含まれている可能性があるので、ご了承ください。


『ライズ』との比較―難易度について

今回発売された『サンブレイク』は、『モンハン』シリーズで恒例となっているMR(またはG級)クエストを追加するアッパー版ですが、その難易度調整は過去作と比べてマイルドであり、簡単ではないがクリア出来ないほどではないという印象を受けました。

モンスターの火力という観点では、進行に合わせて装備を整えていれば3回程は攻撃を食らっても耐えられるので、『ライズ』の上位攻略中とあまり変わりない程度。MR装備には優秀なものが多く、火力を確保した上で生存能力を向上させる構成が可能になるので、プレイヤーによっては『ライズ』よりスムーズにエンディングまで進められるかもしれません。

左から下位、上位、MRの順でスキルが強化されているのがわかります。

一方、MRで追加されたモンスターのモーションに目を向けると、 “どう足掻いても避けられない”といった理不尽なものは少ないものの、“攻撃しながら飛び上がるorエリアを駆け巡る”ものが目につきました。せっかくモンスターのモーションに後隙が用意されても、ハンターの武器種次第では攻撃チャンスを上手く活かせないことがあり、結果的に平均的な狩猟時間が伸びることになるので、プレイヤー間で各モンスターの評価が分かれることが予想されます。

エンドコンテンツに改善はあったのか

『ライズ』ではクリア後のエンドコンテンツとして、マカ錬金が用意されていました。本要素は、狩猟を有利にするスキルが付与された装備品(護石)がランダムで手に入るシステムです。しかし、過去作でもこのシステムは存在する上に、護石の入手方法も他に用意されていたため、マカ錬金でしか護石を手に入れられない『ライズ』では、その非効率さと選択肢の無さがネックとなっていました

『サンブレイク』における護石周りの仕様を見ると、MRで解放されるマカ錬金では新スキルに対応したほか、『ライズ』時点で有用だった護石の抽選率が上がっており、「マカ油」や「迅錬丹」という入手ペースを向上させるアイテムが追加されています。護石の入手方法は依然と同じく“マカ錬金のみ”ですが、効率面に関しては多少改善を見せたと言えるでしょう。

「迅錬丹」を使用すれば即座に錬金結果が確認できるように。

詳細は後述しますが、「傀異クエスト」といった要素も用意されているので、『ライズ』の課題を完全に解決したとまでは行かずとも、筆者としては過去作と同レベルのボリュームになったのではと感じました

手を加えて欲しかったロビーによるマッチング

『ライズ』のマルチプレイ要素には、ランダムマッチングで即クエストを開始できる「参加要請」と、拠点に一度集まってクエスト開始前に意思疎通が行える「ロビー」が存在します。前者では気軽に遊ぶことができ、後者にはユーザー同士の交流や効率的な狩りの相談が行えるメリットがありました。

しかし『ライズ』で「ロビー」を作成する際は、募集文章が全てテンプレートからの選択のみになっており、自由に文章を設定できないこともあって“特定の武器種だけで遊びたい”といった細かい呼びかけが困難に。過去作のロビー機能では、任意の募集文章を書けるせいで公序良俗に反するものも存在したため、テンプレート式に変更する対処には理解も示せますが、結果として利便性を狭めることとなりました

『サンブレイク』ではテンプレートの選択肢が多少増えたものの、「マスターランクで遊びましょう」といった漠然なものばかりで、改善されたとは言い難いのが本音です。筆者個人としては、自由な文章の設定は不可能でも、テンプレートのバラエティを豊かにするなどの対応がほしかったところです。

放置されてしまった百竜夜行

「クロオビ」装備で百竜夜行に挑戦するスパくんの図。

『ライズ』発売時、新コンテンツの一つとして紹介されていた「百竜夜行」。本来アクションゲームである『モンハン』にタワーディフェンス風の要素を混ぜ合わせたクエストであり、発売前の注目度が高かったコンテンツでもあります。

いざ蓋を開けてみると、リプレイ性が重視される『モンハン』とタワーディフェンス風味の咬み合わせの悪さや、独自の仕様の多さからくるオンラインでの連携の取りにくさが見受けられ、まだまだ改良の余地を感じるクオリティと感じました。

百竜武器のデザインは初期装備と一緒ですが、着彩変更による個性付けが可能でした。

『サンブレイク』における本コンテンツですが、MR相当の難度は追加されず、記事公開時点では『ライズ』で完結した状態です。「百竜夜行」の報酬から作れる「百竜武器」には、武器の色を変更する「着彩変更」や、外見を他武器に変える「外装変更」といった機能がありましたが、MR相当の性能に強化できないため、実質『ライズ』限定の機能となってしまっています。

他メディアインタビューでMR版百竜夜行の登場が否定されていますが、『サンブレイク』ではアップデートによる「モンスターや“システム”の追加」が予定されているので、百竜夜行のブラッシュアップは無理でも、せめて百竜武器には何らかの形でテコ入れされることが期待されます。

『サンブレイク』新要素の感触―盟勇クエスト

『モンハン』シリーズは当初マルチを前提とした仕様が多く、作品が出されるにつれソロプレイを考慮したシステムが増えています。『サンブレイク』ではついに、ソロプレイでも複数人の狩りを体験できる「盟勇クエスト」が追加されました。

このクエストはNPC(盟勇)を狩猟に連れていける“ソロ専用”コンテンツですが、同行キャラクターが固定の「盟勇同行クエスト」のほか、キャラクターを自由に選べる「重要調査クエスト」も存在。後者ではエンディング後に登場する強力なモンスターを対象としたものも用意されているため、盟勇クエストだけで基本的な素材を殆ど集めることもできます。

狩猟対象に操竜したフィオレーネ、ちゃんと壁に突進させてくれます。

また、気になる盟勇の「AI精度」ですが、カウンター類の成功率が高い上に戦線から離脱したかと思えば他モンスターを操竜で連れてくるなど、時折マルチで他プレイヤーと遊んでいるかのような錯覚を覚えるほどです。しかし、盟勇によって「閃光玉」や「ガスガエル」といった、状況次第でプレイヤー側にも害を及ぼしかねないアイテムを使用する点には少々煩わしさも感じます。盟勇の使用アイテムは指定できないので、この点を問題視する場合は“該当する盟勇は連れて行かない”という選択をせざるを得ない点が、惜しいところと言えます。

「疾替え」が新規ハードルを上げずに多様化を実現

『ライズ』では「入れ替え技」という、武器ごとに用意されたアクションを入れ替えるシステムが実装されていましたが、『サンブレイク』で新アクション「疾替え」が追加されたことで、クエスト中に事前にセットした2種の入れ替え技を即座に切り替えられるように。「疾替え」後のスキを回避アクションで埋め合わせられる「先駆け」も併せて登場しており、プレイヤーが戦闘中に取れる選択肢が増えました。

とはいえ『モンハン』は元々アイテム・切れ味管理や地図の見方など、 基礎部分で既に覚えることが多いゲームです。本アクションの発表当初、筆者はゲーム性の進化に喜ぶ一方で、“カジュアルユーザーは着いて行けるのだろうか”と心の片隅で思っていましたが、『サンブレイク』で実際に使用してみたところ、その心配は杞憂に終わりました。

大きな理由として、「入れ替え技」にはそれぞれ単体で完結しているものが多く、『サンブレイク』で追加されたものも含め、他の技とのシナジーで強力になることはあれど、“あの技が無いと論外”というレベルのものは殆ど無いことが挙げられます。「疾替え」を使用せずともMRの攻略には問題ないため、“使いたい人が使えばいい”という程度の良いポジションに収まったのではないのでしょうか。

またゲーム側が用意した装備・入れ替え技で挑む「闘技大会」においては、MR相当のクエストが追加されており、「疾替え」用の入れ替え技が設定してあります。一見難度が上がったかのように見えますが、実際には片方のセットに装備と相性のいい入れ替え技が偏っているパターンが多く、使用する武器種の知識さえあればある程度判断できるため、詰め将棋的な側面が強化された形になりました。

こちらではオーソドックスな入れ替え技が【朱】に集中していることがわかります。

防具も上位後半~MR相当にアップグレードされているので、チグハグな装備で戦闘を強いられることも少なくなり、総合的に『ライズ』の闘技大会クエストよりは理不尽さが減ったと言えるのではないでしょうか。

これからの調整に期待の傀異クエスト

『サンブレイク』発売前日に突如存在を明かされた新システム「傀異化」。亜種やヌシとはまた別枠の、過去作で言えば「獰猛化」や「極限状態」に当たるシステムです。

傀異化したモンスターは、捕獲が不可能になり火力・耐久共に強化されるほか、一部の攻撃に状態異常「劫血やられ」が追加され、「傀異凶化」というメル・ゼナのような全身が赤黒くなる形態変化をするようになります。

しかし、傀異凶化はハンターにもメリットがあり、この状態のモンスターには「傀異核」という、体の部位に攻撃・破壊すると大ダメージを与えられる赤く光った斑点が現れるように。さらに傀異凶化中に多くのダメージを負ったモンスターは、「傀異鈍化」という一定時間動きが鈍くなる状態になるため、攻勢に出るチャンスが増えますが、逆にダメージを十分に与えられないと「傀異バースト」という強力な範囲攻撃を行うことも特徴です。

本クエスト中は傀異凶化→傀異鈍化というサイクルを繰り返すのですが、ギミックが多い割にいざプレイしてみると『ライズ』にもあった「高難度クエスト」とあまり変わらない印象を受けました

配信当時話題になったイベントクエスト、従来のものより火力・耐久が強化されていました。

理由として、傀異核や傀異鈍化といったシステムを加味しても、モンスターの耐久が大幅に増えているので最終的な狩猟時間が縮むこともなく、モーションも増えるわけでは無いので、極端な話“攻撃に当たらなければただの硬くなったモンスターでしかない”という感触です。

また傀異バーストを避けるため、傀異核を破壊してダメージを稼ぎたいところ。しかし、武器種によっては傀異核がリーチ外や元々ダメージを与えにくい部位に設置されるモンスターもいるため、ギミックを無視して弱点を攻撃した方が効率が良くなる場合があるという点も気になります。

傀異化し、どことなく亜種を彷彿させるフルフル。

傀異クエストで手に入る専用報酬のドロップ量が低いこともマイナスポイントではあるのですが、Ver.10.0.3ではさっそく傀異化モンスターに調整が入ったこともあり、8月のコンテンツ追加に期待したいところです。

総評

『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、間違いなく良作の部類です。気になる点は確かにあるのですが、土台となるゲーム部分は進化・改善されており、総合的には大満足の作品と言えます。

『ライズ』と同じく今回もアップデートで様々なモンスター・システムが追加予定なうえ、『サンブレイク』解禁に必要な上位クエスト突破に便利な装備も用意されているので、『モンハン』未経験の方でもアクションゲームが好きなら是非遊んでみて欲しい一作です。

おまけの「スパくん」のキャラレシピ、使ってみたい人は参考にしてほしいスパ!
総評:★★★

良い点
・程よい難易度のクエストに、ボリュームが改善されたエンドコンテンツ
・動作精度が高く、共闘感あふれる「盟勇クエスト」
・使用を強制することなく、プレイの幅を広げた「疾替え」
悪い点
・放置するには惜しい「百竜夜行」まわりの要素
・『ライズ』から同じ問題を抱えているロビーの仕様
・現状ではやや調整不足が感じられる「傀異」クエスト


《ケシノ》

ゆる~いゲーマーです。 ケシノ

主に午前のニュース記事を担当しているライター。国内外、様々なジャンルのゲームを分け隔てなくカバーしています。アメリカに留学経験があり、2022年1月よりGame*Sparkにてライター業を開始。一番思い出に残っているゲームは『キョロちゃんランド(GB版)』。

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