Zbrushでフィギュアを作ろう!
いよいよVoronを作っていきます。使用するのは「Zbrush」という造形用のソフト。知らないうちにゲーマーもお世話になっているのをご存じでしょうか。というのも実は、ゲームのキャラクターモデリングに使われる場合が多いツールなのです。紹介されている使用例でもフロム・ソフトウェア(DARK SOULS、SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE)やユービーアイソフト(ファークライ6)、プラチナゲームズ(NieR:Automata)、とゲーマーならば絶対にお世話になっている有名タイトルばかり。
ただ、実は筆者はこのソフトを使ってフィギュアを制作するのは2体目。それも、本格的に勉強し始めたのは昨年の12月下旬と、あまり慣れていません。(そもそも、今回のVoronも練習用に作ったらなぜか編集部の目にとまって記事を書くことになっていた……)ですので、「素人が言ってら」くらいの気持ちで読んでください。
まずはヘッドから作っていきます。あらかじめ用意されている素体ヘッドのサブディビジョンレベル(ポリゴンの粗さ)をレベル1にし、粗くします。
Moveブラシを使い、粗い状態で大まかな形を作りつつ(粗い方がポリゴンが大胆に動いて作りやすいのです)徐々にサブディビジョンレベルを上げて劇中のVoronに近くなるようにしていきます。ここで気を付けたいのが、実際に立体にした時の立体感。ミニチュアは少し大げさに凹凸を付けないと、のっぺりとした印象になってしまいます。
服はマスキングしてからサブツール→抽出→厚さを設定→抽出で大まかな形を作り、襟やフードはPolySphere(球体)をMoveブラシで歪めながら作っていきました。ここで手や銃もZbrushのサブツール(部品)に入れ、全体を合わせていきました。
キャップや手袋も造形していきます。これらはMoveブラシとStandardブラシを組み合わせた、非常に初歩的な造形方法で制作しています。
あらかじめFusion360で作っておいたComTac(ヘッドセット)をZbrushに入れ、顔に合わせていきます。また、立方体を縮めて、プレートキャリアの土台を作っておきました。
間違い探しのようですが、PolySphere(球体)をMoveブラシで歪めてリュックを造形。肌色にしているのは色を変えることで立体感を新鮮に把握するためです。
さらにシワや縫い目の掘り込みを入れたら、サブツールの結合→表示結合から、全ての部品を結合した造形物を作ります。
最後の仕上げとして、Zプラグインからデシメーションマスター→プリプロセスでデータ量を削減する準備をします。プリプロセスが終わったら、デシメーションマスター→デシメートでデータを「軽く」していき、造形完了です!
Zbrushで作ったデータはChituboxというソフトで3Dプリント用に加工していきます。これは『ちびロボ!』の記事でも説明しましたね。
データの準備が完了したら、いよいよ現実世界に呼び出していきます。使用するのは画像左のElegoo Mars3という3Dプリンター。今回は0.02mmの層を積み重ねて出力していきます。
待つこと約5時間……ついに現実世界に召喚できました!ただし、0.02mmの層を積み重ねているので、一見綺麗に見えても、実は凸凹しています。ですので、サーフェイサーを吹き、やすりで表面処理をして……
立体化完了!筆者の手と比べてサイズ感が分かるかと思います。(約1/10スケール)
自分の好きなコンテンツを立体化し、手元に置いておく。世界に一つだけの立体物を作る行為は、素晴らしく上質な体験をあなたに提供してくれます。最近は3Dプリンターの値段も下がり、無料の造形ソフトもあります。ぜひ、皆様も自分の好きな物を立体化してみてはいかがでしょうか?
さて、ここまで「Escape from Tarkov. Raid.」よりVoronの制作をお届けしてきましたが、本来であればここから塗装の工程が始まります。
また、現実世界で実際に見てみると、もう少しディティールを彫り込んだ方が良かったな…とか、シワの造形が少し不自然だな…と反省点も多いです。
反響が大きければ、さらなる造形のブラッシュアップに加え、塗装も記事にできるので、ぜひ拡散・コメントをよろしくお願いいたします!
あまり反響がなく今後の記事化がなくても、塗装する場合は筆者のTwitterで公開していきます!