気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Bludgeonsoft開発、PC/Mac/Linux向けに11月5日リリースされた人工生命シム『Vilmonic』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、人工生命シミュレーション。ゲーム開始時に1体の生物がプレイヤーに渡され、周囲の環境を整えていくことで繁殖・進化していきます。地面を耕して植物を植えたり、地面を掘って池から水を引いたりと、地道な作業をしながら環境づくりに勤しみます。やがて生物はその環境に適応し、進化していきます。記事執筆時点では日本語未対応。
『Vilmonic』は1,520円で配信中。
――まずは自己紹介をお願いします。
Mark Stramaglia氏(以下Stramaglia氏):ミュージシャンでデジタルアーティストのMark Stramagliaです。いつもは「Wizard Master」という名義で活動しており、独自のサンプリング兼シークエンスソフトウェアのBackToBasics、WMCP、Abominaclaviaを使い、音楽やアートを作っています。
私の音楽ソフトウェアはWired Magazine、Computer Music Journal、Computer Music Magazineにも取り上げられ、フランスのブールジュで行われたInternational Festival of Electroacoustic Musicで特別賞をいただきました。
――本作はいつどのようにして開発が始まったのでしょうか?
Stramaglia氏:私は「世界」を舞台とするゲームを作りたいと思っていました。多くのゲームにおいて、環境はただ通り過ぎるだけのものであったり、何かを得るために利用するものだったりします。本作は、バーチャルワールドの中で生命とその成長をゆっくりと楽しむものなのです。
本作の開発は、ゲーム開発のあらゆる面を学ぶ場としてスタートしました。そのため、本作は完全に自己資本であり、手作りで開発されています。本作におけるパレット変化アニメーションエンジン、GUIフレームワーク、シミュレーター、グラフィック、デザイン、マーケティング素材など、すべて私一人で作っています。
――本作の特徴を教えてください。
Stramaglia氏:本作は奥深く、複雑な人工生命シミュレーターです。本作における生命は本物の生態系を形成しており、これはコンピューターシステムが生態系を形成しうるという主張に基づいています。本作内の生き物の行動はプログラムされておらず、彼らは自分たちの脳内のニューラルネットワークに刻まれた、とてもシンプルなルールに沿って行動しています。
本作内の個々の生命は個性的で、形態(形&色)は個々の遺伝子によって決められています。そして形態は個々の中身と行動を決定します。例えば、体における外側と内側のドット比率により、新陳代謝でどれだけの水が蒸発するか決定します。そのため、各生物のドット絵は本作のシステムに直結する、とても大事なものなのです。
遺伝と進化のルールは自然選択の規範に忠実に従っています。この世界において、進化に方向性はありません。人間に進化することはありませんが、環境に応じてサバイバル特性を持った驚くような進化を見せます。
同時に、本作は風変わりで可愛らしく、まったりとしています。多くのアイテムや建築素材をクラフトすることができますし、この世界を地球のようにしたり、家を建てたり道路を作ったりもできます。探検して宝(もしくはガラクタ)を掘り出したり、この世界にいる自分勝手なゾンビトンたちと共生を目指すこともできますよ。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Stramaglia氏:本作の風変わりなところは『Dazzeloids』のRodney Alan Greenblat氏や、高橋慶太氏(注:『塊魂』シリーズのゲームデザイナー)、『Glitch』のAnna Pickard氏から影響を受けています。他にもVera Molnar氏、Brian Eno氏、John Cage氏からの影響もあります。生物学と人工生命のインスピレーションは、Richard Dawkins氏とLynn Margulis氏から受けていますし、「ライフゲーム」、「Creatures」、そして「Tierra」からの影響もありますね!
――本作の日本語対応予定はありますか?
Stramaglia氏:日本語は是非対応させたいです。可能な限り多くの言語に対応させる予定で、そのリストの中でも日本語は一番上にあります。でも日本語翻訳者の知り合いがいないのです!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Stramaglia氏:是非DiscordやSteamのコミュニティにご参加ください!そして人工生命のことでも、アートのことでも、音楽のことでも、ゲームデザインのことでも、何か質問があればご連絡ください。
本作は見た目以上に複雑ですので、シークレットを見つけ出すにはある程度時間がかかるでしょうし、科学的な考え方も必要になってくるでしょう。
――ありがとうございました。
編集部おすすめの記事
特集
連載・特集 アクセスランキング
-
『Stellar Blade』「顔」も「髪」も「尻」もいい! 新時代の美少女表現は、ポニテの長さまで自由自在【フォトレポ】
-
高自由度ファンタジー人生シム『ワールド・ネバーランド2 ~プルト共和国物語~』Steamへの移植なぜ?シリーズの“今後”に迫る【インタビュー】
-
敵の力を身につけながら進むソウルライクなメトロイドヴァニア配信!悪鬼を倒し、自分自身が悪鬼になる―採れたて!本日のSteam注目ゲーム6選【2024年4月10日】
-
正義と愛とで輝く星を守り抜け、ロボアクションADV『UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも』丁寧な再現度、たまにシュールさ…開発の情熱で原作未視聴でも楽しめたヒーローの勇姿【先行プレイレポ】
-
新作MMORPG『HIT: The World』でまさかの“プレイヤーvsゲームメディア”実現!“日本向けMMO”もいよいよリリース間近【イベントレポ】
-
「より多くの人が納得して、優れたゲームプレイを楽しめること」を追求する…アクションRPG『Horizon Forbidden West Complete Edition』PC版移植チームが注ぎ込んだ情熱とは?【インタビュー】
-
海外レビューハイスコア『Inkbound』―友達や見知らぬ人と一緒に様々な“本”の試練を受けるのは間違いなく楽しい体験だ
-
幻想郷の迷宮を巡る奇妙な旅へ出発しよう!『東方 Artificial Dream in Arcadia』プレイレポ
-
【クラフトサバイバル名鑑】「英雄コナン」が原作の『Conan Exiles』増え続けるコンテンツで魅力を失わない!多彩すぎる遊び方でプレイヤーごとの楽しみが味わえる
-
豪華絢爛ピクセルアートによるオープンワールドRPG『ELEMASTA -エレマスタ-』は、業界歴29年のクリエイターが作りたい世界の結晶だった【東京ゲームダンジョン2】