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【E3 2017】『アサシン クリード オリジンズ』プロデューサーに訊く―なぜ、エジプトなのか?

今から約10年前、『アサシン クリード』という作品が発売され、2017年のE3にて、10周年を記念した新作『アサシン クリード オリジンズ』が発表。シリーズプロデューサーのJulien Laferriere氏にインタビューを実施。

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今から約10年前、『アサシン クリード(Assassin's Creed)』という作品が発売され、その自由な動きと印象的な暗殺シーンが話題になりました。その後10年間、続編やスピンオフが発売され、ハリウッド映画も公開されています。2017年のE3にて、10周年を記念した新作『アサシン クリード オリジンズ(Assassin's Creed Origins)』が発表されました。古代エジプトが舞台の前日譚で、戦闘や多くのシステムが大幅にリメイクされました。そこで、Game*SparkはシリーズプロデューサーのJulien Laferriere氏にインタビューを実施しました。

――今回の舞台がエジプトですね。まずはどのような経緯で場所を選んだのでしょうか?

Laferriere氏:3年半前、『アサシン クリードIV ブラックフラッグ』の発売後すぐに開発が始まりました。昔からずっとエジプトを考えており、ファンたちも期待しているというのも知っていました。しかし、数千年の歴史を持つ古代文明なので、しっかりと制作しなければなりません。『ブラックフラッグ』が終わると、ようやくこのチャレンジに挑めるという自信が湧いてきました。エジプトを題材にするのであれば、国の全てを作ろうと最初から考えていました。。アレクサンドリアやメンフィスの大都市だけでなく、それらを繋げているナイル三角州や砂漠や湖といった、古代エジプトのすべてを再現したかったです。

プレイヤーの『アサシン クリード』体験をより自由に、カスタマイズ可能にするためには、まずゲームのシステムをオーバーホールする必要がありました。そのために行ったこと3つです。まず、ストーリーの進行をクエストシステムに変更しました。次に、戦闘にRPG要素を加え、さらにダイナミックな戦いを可能にし、プログレッションシステムとリンクをさせています。最後に、武器のレア度と装備のクラフティングを実装しました。これらのシステムにより、『アサシン クリード』の体験をもっと自由にカスタマイズすることができます。

――それについてですね、メインシリーズは『アサシン クリード オリジンズ』で10作目になります。どういった経緯で、今までの作品とは異なる要素をシステムに導入したのでしょうか?

Laferriere氏:クラフティングでのカスタマイズ要素は、『ブラザーフッド』の武器タイプから始まっていました。シリーズをアクションRPG要素でモダナイズする正しい時期だと感じており、本当に意味のある選択をプレイヤーができるようにすることが目的でした。私はとても良くできていると思っています。

――多くの人々は、例えば『ウィッチャー3:ワイルドハント』のようなオープンワールドRPGのタイトルがここ数年で次々に発売されていて、少し飽きているような風潮があります。『オリジンズ』も同じになってしまったという声もありますが、それについてはどう考えていますか?

Laferriere氏:3年半前から、私たちはシリーズをモダナイズしたいと思っていました。私達の目標は本当にすごい『アサシン クリード』体験を作ることで、過去を遡ることで今までの物語をより深めることができるというのが、とても面白いことです。アサシン教団創設のストーリーです。ファンは私達が作ってきた世界の大事な組織がどう創設されたのか知ることができます。しかし、新規プレイヤーにとっても、シリーズに飛び込むには良いポイントだとも言えます。アサシンや教団、テンプル騎士団とは一体誰なのかを知ることができます。だから良いスタートポイントなのです。鍵は世界とプレイヤーをどう触れさせるかです。プレイヤーは、儀式やエジプトの方式、普段の生活などを知ることができます。それが目標でした。


――プログレッションシステムですが、解除できるスキルの例を教えてください。

Laferriere氏:『アサシン クリード』のプレイヤーは大きく2種類に分けられます。ステルスが好きなプレイヤーと戦闘が好きなプレイヤー。戦闘好きのプレイヤーを意識しながら新しい戦闘システムを導入しましたが、ステルス好きのプレイヤーのことも忘れていません。スキルツリーで、自分にあったスタイルを選ぶことができます。3つの方向性があり、1つは、弓などの遠距離武器とステルスに特化した「ハンター」。もう一つは近接戦闘の「ウォリアー」。最後は、煙幕やポイズンダーツなどが使える「シーア」。鷲のアビリティもあります。鷲は敵の邪魔をしたり、共に戦ったりできるようになれます。ジャンプ中に弓の精度を上げるため、落下速度を下げるということもできますし、プレデターボウと呼ばれる特殊な弓を使って、飛んでいる最中の矢をコントロールできるスキルもあります。、全てのスキルを解除できるため、自分のプレイスタイルに応えることができます。

――『オリジンズ』と同じように、シリーズの今後の作品にも、同様のRPGシステムは期待できるのでしょうか?

Laferriere氏:『アサシン クリード』というシリーズは、初作品を出してからずっと、非常に強いファンコミュニティーに恵まれています。今年は『アサシン クリード』の10周年ですが、ずっとプレイしてくれているファンがたくさんおり、彼らの意見に常に耳を傾けているつもりです。今回の作品の方針やシステムに大変努力しましたし、愛しています。ファンに気に入ってもらえると嬉しいですが、結局はプレイヤーの意見が全てです。気に入ってプレイしてもらえるのであれば、シリーズにとって非常に良い兆候です。

――トレーラーやデモには現代のシーンは一切出ていませんでした。まだ秘密なのでしょうか?

Laferriere氏:E3では、美しい古代エジプトの景色とバヤクというキャラクターを公開することに集中しています。現代については、また後程お知らせします。

――主人公の名前を言いましたね。彼について少し教えてもらえますか?

Laferriere氏:わかりました。バヤクは古代エジプト人です。古代エジプトの価値観を反映しているキャラクターとは、ということについては色々と考えました。バヤクは最後のメジャイです。メジャイとは、古代エジプトの伝統を守る者で、彼はその時代のエジプト人のスピリチュアリティを代表しているキャラクターです。しかし面白いのは、ゲームは紀元前49年がスタートです。クレオパトラの時代で、ギリシャやローマの影響がエジプトに届いています。新世界の始まりと言い換えることもできるでしょう。バヤクは、古くからの伝統と海外からの脅威の軸のような存在です。この争いを描写するには彼が最適だと思います。

彼自身の物語について話すのはまだ早いです。プレイヤーの皆さんがゲームを買い、自分自身でストーリーを体験して欲しいと思っています。そして、アサシン教団の誕生にバヤクを通じて立ち会うことができます。そういった点で、彼はシリーズ全体にとって非常に重要なキャラクターです。

――シリーズの注力ポイントの一つは、歴史の有名人が出てくるところですね。クレオパトラという名前を言いましたが、彼女のほかにどんな人物に出会えるでしょうか。

Laferriere氏:クレオパトラは出ますし、他にも何人も歴史上の偉人がいますが、今日は隠しておきます。ゲーム内で明かされるまでのお楽しみです。


――Laferriere氏は、最初の作品からずっと『アサシン クリード』の開発チームのメンバーですか?

Laferriere氏:ユービーアイソフトのモントリオールスタジオで10年間働いています。私の最初の『アサシン クリード』は『アサシン クリードII』でした。『ブラザーフッド』と『アサシン クリードIII』にも関わっていました。これが私の4つ目の『アサシン クリード』になります。今の方針をとても誇りに思っていて、いちゲーマーとしてアクションRPG要素が気に入っていて、その自由が感じられると思います。新しい戦闘のシステムがプレイヤーたちにとっていいチャレンジになると嬉しいです。

――この10年間、『アサシン クリード』というシリーズはオープンワールドというコンセプトや、ゲーム世界での探検についての考え方に強く影響を出したと思います。Laferriere氏は『アサシン クリード』のレガシーについてどうお考えですか。

Laferriere氏:非常に良かったと思うのは、10年経ってもシリーズの柱はまだ健在です。ナビゲーション、ステルス、戦闘。しかし10周年を記念して、多少モダンな感じにリメイクしています。ナビゲーションはいつものままで、何にでも登れますし、戦闘は深まっています。「入りやすく、極め難し」が私の哲学です。そして、この広い世界に自身の目的を持つNPCがたくさんいて、この10年間学んできた技術やシリーズに対することがしっかりと反映されていると思います。ファンに気に入ってもらえると嬉しいです。

――最後に、このインタビューは日本のウェブサイトに掲載されます。日本のコミュニティーへの一言をお願いします。

Laferriere氏:喜んで!世界中のファンたちが大好きです。日本のコミュニティーには、特に良いフィードバックをたくさん出していただいています。そのサポートにはとても感謝しています。あなたたちが大好きですし、あなたたちのためにゲームを作っています。ありがとうございます。

――どうもありがとうございました。
《Cameron Gilbert》
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