【特集】初期『EverQuest』はいかに過酷だったのか―理不尽と中毒性そなえた伝説MMORPG 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【特集】初期『EverQuest』はいかに過酷だったのか―理不尽と中毒性そなえた伝説MMORPG

本稿では、初期『EverQuest』いかに過酷だったかを、実際に体験してきた筆者がご紹介したいと思います。

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巻き込まれたプレイヤーは死ぬ(かもしれない)、Norrath名物超特急「Train」

フィールドやダンジョン、場合によっては敵対勢力の街で一度Mobに気付かれてしまったら最後、戦うか、逃げるしか選択肢はありません。自分よりも強いMobだったら、MonkやNecromancerならFeign Death(死んだふりか)でやりすごすこともできますが、逃げるにも、そのゾーンから出るまでMobのHateは絶対消えることなく、死ぬまで追いかけ続けられるという仕様。そのため逃げている間に別のMobが次々とAggroし、雪だるま式に大量のMobに追いかけられるはめになります。ゾーンの入り口に向かって逃げるプレイヤーを大量のMobが追いかけている光景は、“Train”と呼ばれて恐れられていました。

ゾーン内に響く「Trainがゾーン際に向かってる!逃げて!」というShout(ゾーン内全てのプレイヤーに表示される赤字のチャット)を聞くのは日常茶飯事で、別の場所で安全に狩りをしていたパーティーや、ゾーン入口で休憩やAFKをしていたプレイヤーが次々と無残に轢き殺されていくのです。

レアMobの再出現時間とプレイヤーまかせのアイテム配分

レアアイテムや特別な装備をドロップするMobの大半は、みな固有の名前を持っており、それらは”Named”と呼ばれていました。一度倒してしまうと次に出現するまでの期間はそれぞれ異なり、短いものは数分周期ですが、Raid級Namedは1週間以上待つこともあります。 それゆえに狙っているプレイヤーも多く、加えて初期はインスタンス型ダンジョンも存在しなかったため、出現したNamedを前に複数のRaidギルドがにらみ合いをするような場面は珍しいことではありませんでした。

また、それらのNamedからドロップしたアイテムは、グループメンバー内なら誰でもLootできるため、トラブル回避のため、プレイヤー間でルールを決めてアイテム配分を行う必要がありました。実際に、仲間を裏切ったギルドメンバーや、通りすがりのパーティーメンバーが、アイテムを全部盗んで逃げるという“Ninja Loot”行為も発生しています。


Namedは1パーティで倒せるものから大勢で長時間戦わなければ倒せないタイプまで様々


ぼっちには辛い仕様

『EverQuest』では、あるレベル以上になると、特定のクラス以外はソロでの戦闘が厳しくなるため、日常的な経験値キャンプでも基本的にパーティープレイが必須。 さらに、高レベル帯になると、TankやHeal、DPSといった基本ロールに加えて、Mana回復上昇やDebuff魔法を持ったクラスもパーティーにほぼ必須になり、前述の移動の問題も手伝って、パーティーを組むこと自体が非常に困難でした。

強力な装備を得られる一部のクエスト途中には、数十人規模のRaidが必要な過程もあり、大型のギルドに属していて、Raidグループ組織できるコミュニケーション能力も要求されるため、その手のアレンジが苦手なタイプのプレイヤーには辛い仕様でした。


数十人規模の戦闘はプレイヤーの最終目標であり、いずれ日常の一コマに


ゲームにのめり込む人が多すぎてリアルへの影響も

経験値の要求量や移動時間の長さ、Namedの再出現待ち、さらに何時間にも及ぶRaidでの攻略など、初期の『EverQuest』は全てにおいて膨大な時間が要求されるゲーム性だったため、リアルの生活に深刻な影響をおよぼすケースも多々あったようです。

例えば、アメリカでは、『EQ』の世界に行ったまま帰ってこなくなった夫を持つ、「EverQuest未亡人の会」が発足したという話は有名です。仕事を辞めてしまったり、遊びすぎて自分の会社を潰してしまったという恐ろしいエピソードも噂として耳にしたことがあります。とは言え人間同士がゲーム内で関わる部分は今も昔も同じ。これほど過酷でハードなゲームだったにも関わらず、ゲーム内で出会った男女が現実の恋に発展して結婚したようなケースも、昔からあったようです。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


以上、初期『EverQuest』のあまりにも過酷な仕様をいくつかご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

当時を振り返ると、その過酷さが逆に「自分が今本当に危険な場所にいる」という没入感に繋がり、常に「冒険をしている」という感覚に陥らせていたと思います。 その感覚はまるで麻薬のようにプレイヤーをのめり込ませ、気がついたら膨大な時間をゲームにつぎ込んでしまった人は少なくないはず(筆者も)。 Norrathから離れた今でもその頃の思い出は鮮烈に記憶に残っており、全く面識のない人でもそれが同じ『EQ』プレイヤーであれば当時の経験値キャンプやアクシデントの話だけで数時間は楽しく語りあえてしまうかもしれません。

余談ですが、初期『EverQuest』(『The Scars of Velious』まで)を再現した、Daybreak Game Company公認のエミュレーションサーバープロジェクト『Project 1999(P99)』がファンによって運営されており、当時を懐かしむ多くのプレイヤーが今もログインして、過酷なNorrathの世界を冒険しています。

もし、読者の皆さんの中にも『EQ』プレイヤーがいらっしゃったら、コメント欄で思い出話を教えてください。

■参考記事
【特集】日本上陸、そして撤退した欧米MMOの軌跡―『EverQuest』
《菜種》
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