UbisoftのE3プレスカンファレンスにてその存在が明らかとなった新IP『For Honor』。中世の騎士、ヴァイキング、侍が戦いを繰り広げる映像が公開され、その洗練されながらも、血なまぐささ溢れる無骨な作風のトレイラーに心奪われた人も多いであろう本作。E3 2015にてクリエイティブディレクターJason Vandenbergue氏へインタビューを敢行しました。
ーー自己紹介をお願いします。
Vandenbergue: Ubisoft Montrealの『For Honor』クリエイティブディレクターJason Vandenbergueです。
ーー突如インパクトのあるタイトルが公開されましたね。本作のコンセプトを教えてください。
Vandenbergue: 本作は、プレイヤー自身があたかも戦場にいるかのような疑似体験を味わえる作品になっています。ヴァイキング、騎士、侍の3クラスが存在し、それぞれ攻撃的なタイプ、守護的なタイプ、鍛錬を重ね強さに磨きをかけるタイプに分けられた、異なる戦闘スタイルを持つキャラクターが特徴になります。
ーートレイラーでもその3クラスは登場していましたね。3クラスは今後も固定ですか?
Vandenbergue: 現段階では確定はしていないですが、本作ではこの3つのクラスが、ゲーム性のバランスを保てると思っています。
ーー本作の開発に至るまでの経緯について教えてください。
Vandenbergue: 『For Honor』は今から12年前に構想を思い付きました。当時私はウエスタンマーシャルアーツ(WMA)を習っていたんですが、稽古の帰りにそのWMAで使用するロングソードのフォームをゲームに反映させることができるのでは、と。コントローラーのスティックを駆使して、剣術の「構え」が再現できる、といったことから着想を得ました。
本作への自信を持ちながら、Ubisoft内で提案をしましたが、なかなかGOサインが出ませんでした。Ubisoftのタイトルの多くはシューター作品が中心となっていて、なかなか開発へのGOサインが出なかった。
その後、10年間提案を続けました。提案しては却下され、提案をしては却下されを繰り返していたところ、2年前にUbisoft MontrealがYannis Mallat氏と話す機会が訪れました。彼はNOと言う返事の代わりに『Naruto: Rise of a Ninja』を開発したチームを紹介してくれて、初めて『For Honor』のマインドを共有することができた。チームと議論を続けてゆくなかで、まだ荒削りな部分、バランスが崩れていた箇所などが発見できました。それらの点に改良を加えてゆくことで徐々にゲーム性が固まってゆき、現在開発が進められています。
ーー開発に着手するまでの道のりが長かったんですね……。Yannisさんはなぜ意見を聞き入れてくれたのでしょう?
Vandenbergue: ひとつは、Ubisoftという場所そのものが、そういった場所だからということです。Ubisoftは常にアイデアは求め続けるし、挑戦を厭わないからだと思っている。ふたつめは、Yannis氏自身が騎士だからかな。彼はこの手の作品を好むタイプです。また、ちょうど彼に就くクリエイティブディレクターが不在であったこともあり、そのポジションを欲しがっていたといった状況も、聞き入れた理由ではないかと思います。
ーーチームにリーダーが求められていたんですね。本作はまだ開発段階ということもあり、詳細はこれから明らかになってくると思います。現段階ではマルチプレイトレイラーが公開されていましたが、シングルプレイ用ストーリーなどは決まっているのでしょうか?
Vandenbergue: 例えば、ヴァイキングが侍とヨーロッパのフィールドで戦うことはありませんでした。詳細はまだ語れませんが、ストーリーでは歴史上交わることがなかったこの3つの種族が、うまく共存した舞台を用意します。
ーー最後に日本のユーザーへメッセージをお願いします。
Vandenbergue: 日本の文化のひとつである「侍」を取り入れたのは、個人的にも深い意味があります。また私は、黒澤明監督にもインスパイアされており、表面的なものだけでなく、その歴史背景や魂などに魅了されました。「侍」という文化は魅力が詰まっていると思っています。そういった意味でも、ゲームがリリースされた際にはぜひ日本のプレイヤーにも触ってもらいたいです。
ーーありがとうございました。
インタビュー中は、熱い思いを吐露しながら、愉快な一面もふんだんに見せてくれたVandenbergue氏。完成への道のりはまだありますが、実質10年以上の時をかけ、E3 2015にて初お披露目が叶った『For Honor』。現段階では発売日は未定ですが、作品のことを語りながら見せてくれた少年のように輝いた目とその熱意で、血湧き肉躍る大作を生んでほしいと感じられるインタビューとなりました。
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