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【今から遊ぶ不朽のRPG】第2回『ルナティックドーン 第三の書』(2000年)

今プレイしても充分楽しめるような、古典的RPGタイトルの魅力を紹介していく『今から遊ぶ 不朽のRPG』。前回の『Ultima VI』に続き、第二回目は90年代初頭に登場したアートディンクの看板RPGシリーズ『 ルナティックドーン 』をご紹介します。

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今プレイしても充分楽しめるような、古典的RPGタイトルの魅力を紹介していく連載コーナーとして、今月よりスタートした『今から遊ぶ 不朽のRPG』。前回の『Ultima VI』に続き、第二回目は90年代初頭に登場したアートディンクの看板RPGシリーズ『ルナティックドーン』をご紹介します。

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今から遊ぶなら…


1993年にPC-98用タイトルとしてリリースされた第一作目『ルナティックドーン』は、ハードディスクを使用した大容量のハイスペックゲームとして登場。圧倒的な自由度をコンセプトにした作風がヒットし、様々なプラットフォームで続編が制作されていきました。

続編を重ねるごとにシステムが大きく変化し、その違いからシリーズは大きく分けて3つの括りに分類されています。それぞれ異なるファンを獲得しているのもゲームの大きな特徴となり、以下にそれぞれの作品をまとめた簡単な表を用意しました。尚、分類名は便宜上筆者が勝手に命名したもので、正式な名称と括りでは無いのであしからず。

オリジナル系

『ルナティックドーン II』



前途系

『ルナティックドーン 第三の書』


  • ルナティックドーン 開かれた前途
  • ルナティックドーン 前途への道標
    (公式サイトにてダウンロード販売中)
  • ルナティックドーン 第三の書
  • ルナティックドーン オデッセイ
    (PSNゲームアーカイブスにて配信中)

アクション系

『ルナティックドーン III (PS版)』


  • ルナティックドーン III
    (PSNゲームアーカイブスにて配信
    I.II.IIIをセットにした『レジェンドパック』もダウンロード販売中)
  • ルナティックドーン IV

  • その他
  • ルナティックドーンFX
  • ルナティックドーン テンペスト

オリジナル系では、広大なフィールドを探索する事が可能(同社の『ATLAS』シリーズをご存知の方は探索航路設定のイメージです。)となり、リアルタイムコンバットシステムやスキル制を採用。一方で前途系では、ダンジョン以外を全て簡易的な移動方式に変更し、前作までのスキル制は一般的なステータス形式に。

アクション系では、オリジナル同様にフィールドマップを自由に移動する事が可能で、アクション風味の強いオンラインRPGライクなプレイスタイルが特徴となっています。その他に分類した『ルナティックドーンFX』は筆者未プレイの為、細かなシステムはお伝え出来ないのですが『ルナティックドーン II』と『前途への道標』を足して2で割った様なシステム。最新作の『ルナティックドーン テンペスト』は、他と比べてかなり毛色が違うので個人的にはあまりオススメ出来ません。

筆者は『ルナティックドーン II』がシステム、雰囲気、BGM共に一番お気に入りです。

その他、細かな違いは沢山ありますが『ルナティックドーン テンペスト』を除く全ての作品が一貫して「何をするのも自由」というコンセプトとなっているので、初めはマップを自由に探索したいならオリジナル・アクション系アイテム収集やハイテンポな冒険を楽しみたいなら前途系といったざっくりとした特徴から選んでみるのも良いかと思います。

今回は数あるシリーズの中から、PC向けのデモバージョンもリリースされている前途系の最終作『ルナティックドーン 第三の書』を中心にゲームの概要をお届けします。

ゲームの目的は生きること

メインストーリーを中心にゲームが進行し、合間にサブクエストを解決していくというのが一般的なRPGの形ですが、本作では目的が一切存在せず、プレイヤーはゲーム中に登場する無数のNPCの中から一人を選び、その人物の一生を体験する事になります。

各キャラクターには寿命が設定されており、限られた人生をどう生きるかは自由。悪党やモンスターを討伐し英雄として生きるか、街を転々としながら強盗や殺人を繰り返す凶悪犯になるかは全てプレイヤー次第。全く戦闘を行わず安全な仕事だけ全うして家族と共に生涯を終える事も可能です。

大きなイベントが発生すると世界中で噂となります。

この自由度の高さが一番の魅力であると共にネックでもあり、何をすればいいのかが全く分からないという状況にもなりがち。最初は行き当たりばったりに冒険するのも良いですが、慣れてきたら自分なりにゲームの目標を立ててみると良いかと思います。


人生にリセットボタンは無し

前作『前途への道標』ではセーブデータを手動で管理する事が出来たのですが『第三の書』では1つのデータでオートセーブ形式を採用。加えて、特殊アイテムの使用やイベントを除き、通常一度死んでしまったキャラクターは二度と復活する事が出来ないハードコアルールとなっているので、常に緊張感が漂うゲームプレイが展開していきます。

ゲーム開始時のキャラクターは貧弱な一般人と変わらない為、最初の戦闘から全滅する事もしばしば。また、現在のハイスペックマシンだとダンジョン中の処理が早すぎて道中の罠で死亡してしまうという事もありがちなので設定や操作には注意が必要です。

高難易度のダンジョンにはそれ相応のアイテムとボスが待ち構える。
中には数十年に一度しか出現しない最強のモンスターや伝説の悪魔も。

前項でも触れたように、キャラクターには寿命が設定され、およそ50代に差し掛かる頃からステータスの衰退が始まります。本作では結婚システムも存在するので、能力を引き継いだ子孫を残し、次世代の冒険者へ次々とバトンをタッチしていくのです。

ある一定の条件を満たすとゲームはエンディングを迎えます。ゲームオーバーを含め10種類の結末が用意されており、選択によっては世界そのものが消滅する大事件まで発展します。

家庭を疎かにすると愛想を尽かされる。酷い時は他のパーティメンバーと駆け落ちされます。


ランダムワールドとオンライン要素


属性によって登場する都市も変化。陸路や航路もある程度調整出来ます。

ゲームを開始したらまず最初に冒険の舞台となる世界を創造しなくてはなりません。本作の世界観は、4つの属性とそれを信仰する国家で構成され、どの属性を重視するかによって国の勢力や発展する文明、登場アイテム、魔法などが変化していきます。

1つの世界で全ての要素をコンプリートする事は不可能ですが、インターネットを通じて他のプレイヤーの世界へ訪問したり、アイテム交換で補う事は可能です。13年前のゲームですが、現在も公式サイトで次々とユーザーマップや交換依頼が登場しているので、互いに協力し合いながら冒険を進めると良いでしょう。


魔法に使用するカードは“椎王”というゲームでも使われます。


ダンジョンもランダム生産なので、たまにとんでもない迷宮が生まれる事も。

生きるために必要なお金を稼ぐ為に、各地の酒場で依頼をこなして行くのが基本のゲームプレイとなります。依頼は宅配といった簡単なものからダンジョン内に蔓延るモンスターの一掃、仇討ち、罪人逮捕の様な危険なものまで様々。

その他、イベントによって発生する特殊な依頼や、主人公が凶悪犯の場合のみ受注できる裏稼業も存在します。また、NPCも依頼を受けて生活しているので、仕事をこなして知名度が上がれば、それをよく思わない者によるプレイヤーの暗殺依頼が発生する事も…。

『ルナドン』の血を受け継いだ同人ゲームも人気に


硬派なのかそうじゃないのかよく分からない世界観も魅力。

本家シリーズは、2009年に発売中止が伝えられた『LUNATIC DAWN The Book of Eternity』以降、表舞台から姿を消してしまいましたが、現在の国内における同人・インディーシーンでは本シリーズを模範した作品も幾つか登場しています。その中でも、知名度・完成度共に非常に高いタイトルがElona

ゲームはローグライクがベースの2DRPGですが、フリーシナリオ型のシステムや依頼の概念などファンの間では『ルナティックドーン』+『ローグライク』の様なゲームとして、日本のみならず海外でも人気を獲得している作品です。

現在オリジナルの開発は終了していますが有志による改良版が次々とリリースされているので、興味のある方はこちらも是非チェックしてみて下さい。同人タイトルという事もあり『BioShock』のビッグダディやポケモンなど、様々なゲームや漫画などのパロディがあちこちに存在する非常にカオスな世界観となっています。

* * * * *

同年リリースの『Diablo II』やPC版『ファイナルファンタジー VIII』といった大作RPGに比べるとグラフィックはかなり地味。加えて派手なカットシーンや演出も皆無で、見た目のインパクトに欠けるのも取っ付きにくい点のひとつ。

『ルナティックドーン』はハマる人はとことんのめり込み、合わない人は開始数十分で飽きてしまうような極端な例も多いシリーズです。ゲーム時間で3年間プレイする事が出来るデモ版も配信されているので、本記事で興味を持った方はまずはそちらを試してみてはいかがでしょうか。尚、古いゲームではありますが、参考までに筆者のPC環境(Windows7 64bit)で、インストールから実際のプレイまで問題なく動作しています。


PCゲームのでかい外箱はなんだかテンションが上がりますね。

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《FURUKAWA》
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