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【E3 2016】『バイオハザード7』は“間違いなくバイオだ”と思える作品―開発者インタビュー

SIEが実施した「E3 2016」カンファレンスでサプライズ発表された『バイオハザード7 レジデント イービル』 。発表当日より体験版の配信が全世界で開始され、従来の作品とは全く異なる作風や隠された謎解きなどが話題になっています。

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ソニー・インタラクティブエンタテインメントが実施した「E3 2016」カンファレンスでサプライズ発表された『バイオハザード7 レジデント イービル』 。発表当日より体験版の配信が全世界で開始され、従来の作品とは全く異なる作風や隠された謎解きなどが話題になっています。


インサイド/Game*Sparkでは既に通常の体験版VR体験版のプレイレポートを掲載していますが、「E3 2016」会場でシリーズプロデューサーの川田将央氏、ディレクターの中西晃史氏(『バイオハザード5』のゲームデザイン、『バイオハザード リベレーションズ』シリーズのディレクターを担当)、プロモーションプロデューサーの神田剛氏にインタビューを実施することができましたので、様々な疑問点をぶつけてみました。


左から中西氏、川田氏、神田氏
中西氏のTシャツは本作のもので、物語のヒントが隠されているのだとか

――日本では『バイオハザード』、海外では『Resident Evil』という名前で展開されていますが、今回は『BIOHAZARD 7 resident evil』(海外では『Resident Evil 7 Biohazard』)と2つのタイトルが合体しています。これにはどういった意味があるのでしょうか。

川田:「バイオハザード=生物災害」という意味で、国内ではそういったイメージで捉えられていると思います。一方で海外は「Resident Evil=館に住む悪」なんですが、国によってイメージが違っていていたので、今作では一緒にしていきましょうと。

神田:我々がグローバルに「7」を打ち出すためのイメージというか、一種の決意として受け取って頂ければと思います。


――先日VR体験版をプレイさせて頂きました。従来の『バイオハザード』はサバイバルホラーでしたが、体験版はアドベンチャーの色合いがかなり強いですよね。

中西:『バイオハザード』では「恐怖」「探索」「謎解き」「リソースコントロール」「戦闘」が重要なキー要素だと考えていますが、今回のデモは「恐怖」にフォーカスしました。

逆に言うと、あの体験版の15分を延々と繰り返すわけではありません。そもそも一つの体験版で全ての要素を見て貰うのは難しいので、まずは「今回のバイオハザードは違う」というのを感じて頂きたく、特に強調したい要素「恐怖」に絞りました。


――では、なぜ「恐怖」を最初に強調することになったのでしょうか。

中西:『バイオハザード』は第1作から始まり、常に変化と挑戦をしてきたフランチャイズで、だからこそ20年間続いてきたと思っています。ですので、今回も「新しい事に挑戦しよう」というバイオにとっては当たり前の考え方から入ったんです。

従来と同じ路線の作品を望むファンの方もいらっしゃいますが、新たな事への挑戦とキープコンセプト、この2つに同時に応える事は非常に難しいんです。20年間、さまざまな事にチャレンジしてきた結果、ファンの望む「バイオハザード」も十人十色で、全ての声を採り入れしまうとよく分からないものが出来上がってしまいます。

じゃあ、何にフォーカスしようと考えたときに、僕自身の体験を基にしようと。初めて第1作の『バイオハザード』を遊んだ時、まったく事前情報もなかったのでめちゃくちゃ怖かったんですよ。「なぜここに居るのか分からないし、何かゾンビいるし、そもそも弾少ないけど!」って(笑)。なので、僕の原体験を今のプレイヤーに味わってほしいと思い、本作では「恐怖」にフォーカスしています。だから体験版でもまずは「恐怖」を強調しました。


――カプコンの作品と言えばMTフレームワークのイメージがありますが、今回は新しいゲームエンジンで開発されているとお聞きしました。

中西:新しいプラットフォームで『バイオハザード』の開発を始めるのにあたり、求められるクオリティーと言うものがありまして、それにたどり着くために自前の新エンジン『REエンジン』を構築することになりました。

川田:社外のエンジンを使用する選択肢もありましたが、新プラットフォームへの移行と言う、ブランドの成否に関わる作品の開発にあたっては「自社エンジンでなかれば厳しいのではないか」と私たちのトップの竹内(カプコン 第一開発統括の竹内潤氏、第1作『バイオハザード』からシリーズの開発に参加))が判断しました。

もちろんそれは凄くコストや時間が掛かる判断で、リスクになると思います。それでも敢えてエンジン開発を行うことで、社内技術の蓄積や開発の効率化に繋がりますからリターンも大きいですね。もちろん今回のエンジンも表現力や使いやすさの面からも、たいへん素晴らしいものになりました。私たち第一開発部では、今後もこのエンジンを使用してさまざまな作品を開発していきたいと思っています。


――新エンジンにはどの様な特徴があるのでしょうか。

中西:体験版のステージは狭いので分かりにくいのですが、製品版では色んな場所がシームレスでつながります。そして表現している密度は一般的なオープンワールド作品と同等です。そういったアセットベースの表現が可能になりました。後はライティングですね。これも室内なんで感じにくいですが、しっかり物理ベースで対応しています。

川田:表現以外ですと、VRデバイスが求める高スペックにも応えることができます。VRですと立体視のために2画面ぶんを一度に描画する必要があり、かつ高いフレームレートを維持する必要があります。これは我々の従来のゲームエンジンではできないことでした。


――さらに本作はグラフィックが写実的になっていますよね。

中西:アートディレクターの趣味などもありますが、怖さにフォーカスしようと思ったときに、どうしても嘘っぽい世界って冷めてしまうんですよね。なので、ビジュアルにしても設定にしてもナチュラルで説得力のあるものになるよう意識しました。

――本作では一人称視点が採用されていますが、この変更によるゲーム性の変化はありますか?

中西:先ほど挙げた「バイオハザードに必要な要素」に関しては変化なく、没入感がぐっと増しています。武器も大事な要素だと思っていますので、本編では手に持って攻撃することができますよ。

そしてこれはファンの皆さんにお伝えしておかなければいけないのですが、僕らは「バイオハザード」をリセットしたりリブートしているつもりはありません。ホラーゲームって情報が少ない方が楽めるじゃないですか。そういうことです。


――とはいえ、やはり気になります。まずはキービジュアルから……あれは女の子ですか?

中西:誘導尋問かな(笑)。これに対しては何も言えなく、今出せる情報は「体験版でXXXXXのロゴが出てくる」ぐらいです。

――なるほど(笑)。とはいえ本作はナンバリングタイトルですので、ストーリー面に期待されているユーザーさんも多いと思うのですが、その辺りはどうでしょうか。

中西:最新作でのストーリー面へのご意見、ご要望も沢山いただいています。「そろそろクリスとジルを結婚させろ」とかね(笑)。ただ、本作のストーリーについて今言えることはありません……。

神田:お約束できるのは、本編をクリアされた時に「これは間違いなくバイオハザードだ」と感じて貰えることです。ココは間違いないです。


――では少し聞き方を変えまして…ナンバリングとナンバリングではない『バイオ』の違いは何なのでしょうか。

川田:あらかじめジョークだとしておきますが、ナンバリングはとにかくお金がかかるというイメージです(笑)。お金と言うと生々しいですが、言換えれば開発期間が長くスタッフの稼働が増えるということです。

つまりそれだけしっかりゲーム開発に取り組めるわけですから、カプコンらしさをアピールできるチャレンジや拘りといったものもより高いレベルで要求されるわけですが、スタッフもそこに必死になって応えてくれるわけです。すごく良い流れが生まれて、ブランド全体を引っ張っていく作品を生み出すことができると考えています。


もちろん『リベレーションズ』はナンバリングじゃないから……といった意識はまったくないですよ。求めるものが違ってくるということですから、スピンオフにも様々な条件やチャレンジが存在します。ただ、重みが違うというか…この作品では『3』から『4』で行った変革と同様の変革にチャレンジすることによって、『バイオハザード』のブランドをリフレッシュしたいと考えています。

中西:企画次第ですね。『アンブレラクロニクル』はWiiユーザー向けに『バイオ』の世界を楽しんでもらう、『リベレーションズ』の場合は3DSの中で表現できる『バイオ』を新規ユーザーでも楽しめるようにと。そういう意味で言うと、ナンバリングは先ほどお話したコアな体験をしっかり出来るのが、ナンバリングである由縁ですね。

神田:作り手側はそういう想いですし、ファンの方もきっとそう感じていると思います。


――ここからはVRの話をお伺いしようと思います。まず、そもそもなぜVRに対応することになったのでしょうか。

中西:コンセプトの時点で“ホラーにフォーカスする”というものがありまして、そこで「どうやったらもっと怖くできるのかと」となった時に、まずアイソレートビュー(一人称視点)が生まれました。また業界的にも「いよいよVRが始まる」という機運が高まってましたので「 VRに挑戦しましょう」と。企画が始まったのは2014年でして、『KITCHEN』はその後に製作しています。

『KITCHEN』リリースの経緯としては、まずVRのエッセンスを入れたテックデモを作ろうと。そして僕らがやりたかったのは、“『バイオ7』の要素をVRにしたらどういう体験になるのか”というある種の実験でした。


――演出上、VRで苦労した点はありますか?

中西:ファミリーパンチって分かりますか?体験版の最後に登場するおっさんが「お前は家族だ」といって殴ってくるんですが、これがネットで「家族のパンチ=ファミリーパンチだ」と言われていまして(笑)。ここではキャラクターを振り向かせる演出が入るのですが、こういった演出はVRでの表現ではタブーなんですよ。ですので、そういった細々した部分はVR用に省いたり調整しています。

川田:VR部分に関してはSIEさんとも綿密な相談をさせて頂いていて、日々のクオリティアップに協力して頂いています。

――ではVRにして良かった点はいかがでしょうか。

中西:ゴーグルは外せないと思えたことですね(笑)。VRの臨場感は凄いので。特に後ろを振り返る動作とかリアルに感じるじゃないですか。

川田:臨場感や体感性というのは通常のゲームと全然違います。感覚が変わるためか、VRを装着するとまるで近くにあるものの匂いや息吹を感じるような幻覚を感じることもあります。この不思議な感覚が、とくにホラータイトルとは凄く相性がいいと思っています。


――実際にVRで体験させてもらいましたが、サウンドにも力が入っている様に感じました。

中西:ホラーにとってサウンド要素は重要で、通常プレイでもVRでのプレイでもかなり力を入れています。

川田:今作で気に入っている演出として、わざと足元の分かりにくい場所にビンとか缶を置いているのですが、足が当たるとあちこちでカラカラ音がして「誰かいるんか!」と疑ってしまうデザインになっているんですね。細かいところなんですけど、先に進むのも不安になるし、プレイヤーの行動に併せることができるので、素晴らしいホラー演出だと思います。


――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

神田:やっとアナウンスすることができました。まずは体験版で恐怖を感じてもらい、「今後どうなるんだろう」というワクワク感が続いていくようにがんばっていきますのでご期待ください。期待を裏切ることはありませんよ。

川田:今年で20周年ですが、それに相応しい大作になっています。順調に開発を進めていますので、続報をお待ちください。よろしくお願いします。

中西:ようやく発表できたことをうれしく思います。そして驚いてもらえたら尚、嬉しいです。発売までもう少しの期間、最上の作品がお届けできるよう、ギリギリまで詰めていきます。期待していてください。

――ありがとうございました。

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『バイオハザード7 レジデントイービル』はPlayStation 4/Xbox One/PCを対象に2017年1月26日発売予定。価格は、パッケージ版が7,990(税抜)、PS4+PCダウンロード版が7,398円(税抜)、Xbox Oneダウンロード版が7,400円(税抜)です。
《栗本 浩大》
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