先日、発売日の決定に合わせて配信された『プラチナデモ - ファイナルファンタジーXV』。主人公ノクティスが子供の頃に見た「夢」の世界を描く、技術デモの色合いも強い体験版です。
前回の『EPISODE DUSCAE』と比べてやや肩すかしの感があった人もいるかもしれませんが、わたしは今回のデモで、積年のテーマである「ゲームにグラフィックは必要か?」に対するひとつの答えのようなものを見つけました。
カーバンクルに導かれながら『FFXV』の特徴に触れられる今回のデモでは、戦闘や探索、車両による移動といったアクションと同時に、天候や時間の変化の中で、自然あふれる森や、洋風な石造りの街並み、現代的なビル群といった様々な舞台設定を体感できます。
天候と時間は、地面に設置されたパネルですぐに切り替えられる他、少しずつ変化していきます。「昼」と「夜」だけじゃない、その中間くらいの瞬間があり、うまくいけばこの世界の”マジックアワー”に出会うこともできるのです。
さらに「天気×時間」の組み合わせが見せる特別な風景があります。雨の夜、ランプに照らされる濡れた石畳、晴れた夕暮れ、少しずつ朱に染まる山々……といった風景は、レディメイド、あるいはプリレンダな美しさとは異なる、個人的な風景です。
ソーシャル時代のスタンドアローン・ゲームのあり方。それはシェアすることだ、という一つの見方において、変化する天気・時間、本作の特徴であるオープンワールド、FFシリーズが誇る美しいビジュアルは強力な武器となります。観光地へ行って写真を撮ってFacebookへアップするようなソーシャル行為を、シングルプレイのRPGで、誰もがやりたくなるのです。
ゲームの一場面を”個人的な体験”にできるのは、フリーカメラとオープンワールド、天気と時間の変化に依るものです。そしてこれは、『FF』がこれまで追求してきた、上質なプリレンダムービーというパブリックな体験とは真逆の体験です。
ゲームの決定的瞬間を収めて、それをシェアするというのは昔からあって、特に珍しいことでもありません。しかし、これまでは”普通の風景”に過ぎなかったものを撮って共有したくなるのは、映像の進化のおかげであり、特別な知識や機材がなくても、誰もがかんたんにスクリーンショットを撮れる現行機は、この流れを加速させてくれるのです。
わたしは『Fallout 4』のレビューでも同じようなことを書いていて、こういった見方しかできないといえばそうなのですが、逆に言えば、あの『FF』を『Fallout 4』と同列に並べて語ることができる、そのこと自体が『FF』におけるエポックだと思います。
ゲームにグラフィックは必要か、という問いに対する一つの答え。それは「ゲーム自体には必要かはともかく、その体験をシェアするときには必要だ」と考えます。プレイヤーが見つけた、プレイヤーが切り取った瞬間。それは映像作品では絶対にありえないもので、その瞬間を保存・共有するとき、被写体や画質にこだわりたくなるのは当たり前なことです。”FF”という「有名観光地」ではさらにBuzzが高まります。
ゲーム中に「カメラ」を使うことで、もっと自由に写真を撮ったりできたらいいなあ。自撮り棒でパーティ全員の集合写真とか、好きな人にはいいんじゃない? ……と思っていたら、店舗別予約特典と、『ULTIMATE COLLECTOR'S EDITION』』の購入特典にアイテム 「カメラキット」の記載が。”ゲーム内で使用できる「カメラ」に関するアイテムの詰め合わせ”と書いてあるので、このキットがないとカメラが使えない、というわけではないと思うのですが……。
『ファイナルファンタジーXV』は、PlayStation 4とXbox Oneで2016年9月30日発売です。
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