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【JRPGの行方】第8回 スマホ時代の「王道」と「追憶」

様々なメーカーから競うように「大作RPG」がリリースされていた全盛期。翻って今はシリーズ作品、過去のリメイク、まれに新作という感じですが、ではかつての百花繚乱のRPGたちは、どこに消えたのでしょうか?

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【JRPGの行方】第8回 スマホ時代の「王道」と「追憶」
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■RPGはどこに消えた?

様々なメーカーから競うように「大作RPG」がリリースされていた据え置きゲーム機の全盛期。RPGだけで年間の購入スケジュールが埋まってしまう、あるいは同時期発売のRPGで選択を迫られるほどの撩乱が、かつてはありました。新規IPの作品も次々と生まれ、戦闘システムやグラフィック、世界観の差異で多様性を表現しつつ、しばしば「圧倒的スケールで送る、感動の超大作RPG。」というクリシェでアピールしてきました。

ときにはニュースを賑わせ、ゲームにそれほど関心のないカジュアル層を巻き込み、ミリオンヒットを刻む。ゲームの中心には、間違いなくRPGがありました。

翻って今はどうでしょうか。RPG全盛期から連綿と続くシリーズ作品が数年ごとに発売されながら、ときおり過去のリメイク、まれに新作……という感じでしょうか。では、かつての百花繚乱のRPGたちは、どこに消えたのか?

結論からいうと、消えてませんでした。

iTunes Storeで「ロールプレイング」と検索すると……ありました。百花繚乱という例えでは追いつかないほどの膨大な数のゲームが! わたしは、この“RPG”群を前にして、もはや「RPGの定義」など考察する意味はなく、逆にあらゆるゲームはRPGなのではないか、と考えてしまうのです。

個別に作品をみていくと、わたしたちがイメージするRPGとは異なるゲームでも、「RPG」という言葉を使っていることがしばしばあります。そこではRPGの要素のひとつ「育成」をフィーチャーしていることがわかります。ソーシャルゲームにおいて一世を風靡したカードゲームも、こうして「RPG」になりえています(ちなみに、ここでいう「ソーシャルゲーム」とは、「基本無料・スタミナ制・ガチャ・フレンド」といった要素を持つゲームのことを指します)。

■「王道」「本格」のスマホRPG

そんな中でも、わたしがイメージする「RPG」に該当しそうな作品を任意に選び、それらがどのような紹介をされているのか調べてみました。ソーシャル、MMO、スタンドアローンは問わず、条件は「ファンタジー」らしさのみ。このファンタジーらしさは、「ファンタジー」や「ドラゴン」といったキーワードや「○○の○○」といった作品名の傾向だけでもうかがうことができます。

    ・王道MMORPGの本格バトル
    ・簡単だけど奥深い本格RPG
    ・正統派本格RPG
    ・想像を超えるクオリティではじまる本格RPG
    ・本格3DアクションのオンラインRPG
    ・心躍る本当のRPG
    ・圧倒的なスケールを誇る上質な王道RPG
    ・王道ながら、新しい! 片手持ちの本格ダンジョン探索RPG
    ・魔者を駆使して冒険する王道RPG
    ・「光」と「闇」の王道ストーリー
    ・コマンド選択式バトルを搭載した本格RPG
    ・本格シミュレーションRPG
    ・次世代スマートフォンRPGの完成形
    ・本格3DアクションRPG
    ・無料で遊べる王道系のRPG
    ・新感覚王道ファンタジーRPG
    ・片手で楽しめる本格シミュレーションRPG
    ・王道ファンタジーシミュレーションRPG
    ・本格対戦ファンタジーRPG
    ・魔者を駆使して冒険する王道RPG
    ・最も壮大で最も身近なファンタジーRPG
    ・超迫力の本格アクションRPG

対象となるものを抽出しているので、この重複はもちろん恣意的なものではあるのですが、それでも看過できない数の「王道」と「本格」。では、なぜこれほどまでに「王道」「本格」なのでしょうか。

その答えはひとまず置いておくとして、この撩乱は、かつてのRPG全盛期の姿を想起させるものでした。新規IPの作品が次々と生まれ、戦闘システムや世界観の差異で多様性を表現する。ただし一見、RPG全盛期のような様相ながら、「RPG」の変容からも逃れられません。以前と比べると、今は「感動」や「壮大」というキーワードはあまり使われていないように思います。

《Kako》
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